パララックス・ビューの紹介:1974年アメリカ映画。政治家暗殺の陰謀を一人のジャーナリストが暴こうとする政治スリラー。アラン・J・パクラ監督はこの作品の後、ニクソン大統領の陰謀を暴く「大統領の陰謀」を手がけることになる。
監督:アラン・J・パクラ 出演:ウォーレン・ベイティ(ジョー・フレイディ)、ウィリアム・ダニエルズ(オースティン・タッカー)、ヒューム・クローニン(リンテル)、ポーラ・プレンティス(リー・カーター)、ほか
映画「パララックス・ビュー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「パララックス・ビュー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「パララックス・ビュー」解説
この解説記事には映画「パララックス・ビュー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
パララックス・ビューのネタバレあらすじ:起
シアトルのスペースニードルのレストランで記者会見の最中、無党派のキャロル上院議員が凶弾に倒れます。犯人とされたウェイターは墜落死。会見場にいた女性テレビレポーターのリーもそれらの出来事を目撃していました。それから3年後、リーは元恋人で新聞記者のジョーを訪ねます。彼女の話ではその暗殺事件には裏があるというのです。凶行の目撃者6人のうち、5人がすでに死亡。次は自分だと確信してリーは怯えていました。彼女の怖れを一笑に付したジョーですが、やがてリーは死体で発見。警察によれば麻薬の過剰摂取によるものでした。
パララックス・ビューのネタバレあらすじ:承
調査を開始したジョーは、彼女から提供されていた手がかりから山沿いの田舎町へ出かけ、そこの保安官と面会します。保安官はジョーを騙してダムの放流地へ連れてゆき、彼を溺死させようとしますが、逆に自分が激流に巻き込まれ死亡。ジョーは保安官事務所の書類をあさり、パララックスという企業の存在を知ります。その企業はどうやら政治的暗殺者をスカウトするのが仕事のようです。
パララックス・ビューのネタバレあらすじ:転
次にジョーはキャロル議員の側近を訪ねますが、ヨットでの面談中、船中で爆発が起きます。ヨットは大破し、ジョーは死んだとされてしまいます。ジョーはこれを利用し、パララックスへ採用試験を受けにゆくことに。パララックスではおかしな洗脳教育をされますが、ジョーは何とか影響を受けずにすみました。そして、そこで会った男は、側近に見せられた写真に映っていたもう一人のウェイター。彼こそは議員を殺した真犯人なのです。
パララックス・ビューの結末
彼の後をつけ空港まで来たジョーは、そのまま航空機に乗り込みますが、男はいつの間にか消えています。そしてその機に一人の上院議員が搭乗していることを知った彼は、何とか機を空港に引き返させます。空港でその旅客機は爆発。間一髪でした。さらにパララックスの社員たちを尾行したジョーはやがてハモンド議員の政治集会に行き着きます。会場内に入った彼は自分が罠にかかったことを悟り、逃げ出そうとしますが、気づくのが遅すぎました。議員への暗殺は実行され、殺されたジョーは犯人とされてしまうのです。
この「大統領の陰謀」「ペリカン文書」を撮った、社会派のサスペンス映画を得意とするアラン・J・パクラ監督の「パララックス・ビュー」は、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件を思わせる、政治サスペンス映画の秀作だ。
「ダラスの熱い日」のような進歩派のメッセージ映画に終わらず、観ていてハラハラさせられる娯楽映画になっているのが面白い。
シアトルで、進歩派の上院議員が何者かに暗殺される。
事件は「狂人の単独犯」で処理されるが、その後も、事件の目撃者が、次々に不可解な死を遂げる。
女性ジャーナリスト(ポーラ・プレンティス)から、「あの事件は組織的な暗殺だった」と告げられた地方紙の記者(ウォーレン・ベイティ)は、はじめは信用しないが、彼女がその後、何者かに殺されるに至って、ブンヤ根性をかきたてられ、事件を再調査していく。
そして、進歩派の政治家ばかりを狙う、影の暗殺集団があることをつきとめる。
それは、プロの殺し屋の組織ではなく、進歩派にいじけた反発を抱く、プア・ホワイトたちを教育して、暗殺者に仕立てあげていく殺人教習所だった。
その組織の中核にまでウォーレン・ベイティが入り込んだ時、すでに影の手は彼自身にも及んでいた——-。
アメリカ進歩派のプア・ホワイトへの偏見。
それに対抗するプア・ホワイトの進歩派への、いじけたコンプレックス。
アメリカ社会のどうしようもない亀裂をうかがわせる。
製作者側は、もちろん主演のウォーレン・ベイティ、監督のアラン・J・パクラとも進歩派。
パクラ監督は、この後、ウォーターゲイト・スキャンダルを暴いた「大統領の陰謀」を監督することになる。
この映画は、間違いもなく、ジョン・F・ケネディ大統領を殺したのは、中西部のプア・ホワイト、それを操った保守反動どもだと言いたかったのだと思う。