幸せなひとりぼっちの紹介:2015年スウェーデン映画。妻に先立たれ会社はクビになった頑固者のオーヴェ。しかし妻の後を追おうとするたびに、不思議な縁で人と繋がり、彼の心は開いていく。フレドリック・バックマンのベストセラー小説をもとにした人間ドラマ。
監督:ハンネス・ホルム 出演:ロルフ・ラッスゴード(オーヴェ)、イーダ・エングヴォル(ソーニャ)、バハール・パルス(パルヴァネ)、ほか
映画「幸せなひとりぼっち」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「幸せなひとりぼっち」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
幸せなひとりぼっちの予告編 動画
映画「幸せなひとりぼっち」解説
この解説記事には映画「幸せなひとりぼっち」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
幸せなひとりぼっちのネタバレあらすじ:頑固おじさんオーヴェ
妻に先立たれ、長年勤めた会社をクビになったオーヴェは、妻の後を追おうと、首吊りを図った。しかし窓の外でバックできずにいる新しい住人の車を見受け、断念。規律を乱されることが嫌なオーヴェは、代わりに彼らのガレージにバックで車を入れた。
新しい隣人の妻はペルシア語しゃべる異国の女性で、車のお礼に、後日子供たちとサフランライスをおすそ分けにやって来た。オーヴェは初めての食べ物に文句を言いながらも、美味しかったとお礼のメモをつけて、タッパーを彼らの家に返した。
自殺を諦めきれないオーヴェは、車庫でガス自殺を図ろうとする。そんな彼の脳裏に浮かぶのは、父親との日々、早くに母親を亡くし、男手ひとつでオーヴェを育てた彼の父は、正直者でいるには後押しが必要だと、幼いオーヴェに教え、まだオーヴェが学生の時に職場の事故で死んでしまった。そして、二人で住んでいた家もなくなり、オーヴェは電車の中で寝ることにした。そこで後に妻となるソーニャと出会った。
幸せなひとりぼっちのネタバレあらすじ:オーヴェの隣人たち
異国の妻パルヴァネがオーヴェの車庫を訪ねたことで、自殺はまた失敗に終わり、さらには夫が梯子から落ちて怪我をしたからと、病院までの運転と二人の子供を見ることになった。
そして、住宅地内をうろつく野良猫を一匹飼う羽目になり、新聞配達の青年がソーニャのかつての教え子だったと知り、孤立無縁だった彼の周りには、知らぬ間に縁ができていく。
それでも諦めないオーヴェは駅で飛び込みを図る。すると見知らぬ男性がホームから転落し、父親の轢死を思い出したオーヴェはむしろ助ける側になり、名もなき英雄としてジャーナリストまでやってきた。
そんな彼の古い友人ルネは車椅子の寝たきり生活で、そんな彼を引き取りに役人の車が来るたびに、ここは車両禁止だと怒った。
幸せなひとりぼっちのネタバレあらすじ:オーヴェの秘密
パルヴァネに車の運転の仕方を教えることになったオーヴェは、ある日、休憩にと彼女をかつてソーニャと寄っていたカフェへ。そしてパルヴァネにソーニャの事を語り始めた。
結婚後、ソーニャの妊娠が分かると、二人は景色が見えるからという理由でバスでの海外旅行へ行った。しかしそこで不注意による事故に巻き込まれてしまう。お腹の子は流れ、ソーニャは一生車椅子の生活をすることになった。オーヴェは料理上手の彼女のためにキッチンを低く設えなおし、家の中の段差をすべて取り払った。そして、車椅子を理由に教員になることを断られている事を知ると、自ら学校へ赴き、一人で学校の階段にスロープを作った。晴れてソーニャは教員となり問題児たちに根気強く教え、半年前に癌で他界した。
オーヴェが自分たちの住む区画の見回り怠らないのは、すべてソーニャのためだった。
幸せなひとりぼっちのネタバレあらすじ:愛するソーニャの元へ
オーヴェが関係者以外の車両禁止にしている所へ、ルネの件でやってくる役人たちに、オーヴェは知り合ったジャーナリストにこれから連れて行こうとしている福祉施設の汚職についてつかんでいると話し、追い払うことに成功。すべてはうまくいくように思えた。
しかしある日、オーヴェは突然倒れてしまう。そんな時も救急車を区画に入れるなと頑ななオーヴェ。診断は心臓が大きいことが原因というもので、安心したパルヴァネは陣痛が始まり、三人目の子供を産んだ。オーヴェは昔作って使う事のなかった揺りかごを彼女にプレゼントした。
ある雪の朝、パルヴァネは向かいのオーヴェの家の玄関が朝の見回りの時間が過ぎているにも関わらず雪かきされていないことに気づく。急いでオーヴェの家へ行くと、彼はベッドの上で静かに息を引き取っていた。
彼は心臓が大きいと言われた時に自分は長くないと予感し、葬式はちゃんとした教会で、自分の事を認めてくれた人だけ来るようにとだけ遺言してあった。
そんな彼の葬式にはたくさんの隣人が出席した。そして、別の場所ではオーヴェとソーニャが出会った時と同じように列車に乗っていた。
以上、映画「幸せなひとりぼっち」のあらすじと結末でした。
幸せなひとりぼっちのレビュー・感想:一つの未来予想図
単身者の多さ(およびそれに伴う単身高齢者の増加)という点で、日本とスウェーデンは似ているとも言える。ひとつ違う点を挙げるなら、タイトルこそ「ひとりぼっち」とある者の、オーヴェには変わり者と呼ばれながらも属すコミュニティが存在していて、孤独ではなかった。単身であること、血縁がいないという事がこの作品の中ではけしてネガティブには描かれていない。もちろん先だった妻の存在は大きいと思う反面、彼の葬儀に参列した人々の顔ぶれを見るに、生きているうちにどのように人と関わるかという一つの予想図の提示のように思える。
大切な人の死という重いテーマを扱っている映画なのにも関わらず、思わず笑ってしまうようなシーンもたくさんあるので、見ていても暗い気持ちになるということはない不思議な映画。 最後まで見終えた頃には、偏屈で頑固なところもあるオーヴェを愛しい隣人のように思いました。