リバー・ランズ・スルー・イットの紹介:1992年アメリカ映画。ノーマン・マクリーンの小説「マクリーンの川」を名優ロバート・レッドフォードの監督・製作により映画化したヒューマンドラマです。20世紀初頭のアメリカ・モンタナ州の雄大な自然を舞台に、フライ・フィッシングを通じて心を通わせ合う親子・兄弟の絆を描きます。第65回アカデミー賞で撮影賞を受賞しています。
監督:ロバート・レッドフォード 出演:クレイグ・シェイファー(ノーマン・マクリーン)、ブラッド・ピット(ポール・マクリーン)、トム・スケリット(マクリーン牧師)、ブレンダ・ブレッシン(マクリーン夫人)、エミリー・ロイド(ジェシー・バーンズ)、ニコール・バーデット(メイベル)、エディ・マクラーグ(バーンズ夫人)、スティーヴン・シェレン(ニール・バーンズ)、マイケル・カドリッツ(チャブ)ほか
映画「リバー・ランズ・スルー・イット」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「リバー・ランズ・スルー・イット」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
リバー・ランズ・スルー・イットの予告編 動画
映画「リバー・ランズ・スルー・イット」解説
この解説記事には映画「リバー・ランズ・スルー・イット」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
リバーランズスルーイットのネタバレあらすじ:起
1910年代のアメリカ・モンタナ州ミズーラ。
真面目で秀才のノーマン・マクリーン(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)と陽気な弟ポールは、スコットランド出身の牧師である厳格な父(トム・スケリット)から、神への信仰だけではなくフライ・フィッシングも教わりました。
兄弟は街の学校には通わずに父から読み書きを学び、午後からは自分たちの川と呼んでいた自然豊かなブラックフット川でフライ・フィッシングに明け暮れていました。
やがてノーマンは将来プロボクサーになるという夢を抱き、ポールはフライ・フィッシングのプロになる決意をしました。
1917年。
第一次世界大戦にアメリカが参戦、男たちは戦場に駆り出され、町には老人と子供だけが残りました。16歳になったノーマン(クレイグ・シェイファー)は材木伐採の現場で、ポール(ブラッド・ピット)はプールの監視員として働き、仕事の合間にもフライ・フィッシングを楽しんでいました。
そんなある夜、ノーマンとポールはこっそり家を抜け出し、仲間のチャブ(マイケル・カドリッツ)たちとボートで川下りに挑みましたが、仲間たちは激流に怖気づいてしまい、結局兄弟だけで川下りを始めました。案の定兄弟は激流に突っ込み、幸いにも無事だったもののボートを壊してしまいました。
帰宅した兄弟は父と母(ブレンダ・ブレッシン)から叱られ、その際にノーマンとポールは殴り合いの喧嘩になってしまいました。これが生涯で唯一の喧嘩となることも知らずに…。
リバーランズスルーイットのネタバレあらすじ:承
1919年。
ノーマンは実家から離れた東部の名門ダートマス大学に進学、それから6年もの間ほとんど帰郷することはありませんでした。一方のポールは地元の大学に入り、卒業後はヘレナ新聞社に就職して家を離れました。
1926年。
ノーマンは将来のことを決めぬまま故郷に戻り、ポールと再会して早速ブラックフット川へフライ・フィッシングに向かいました。釣りは久々だったノーマンはポールの芸術的ともいえる技に思わず目を見張りました。
やがてノーマンは、パーティーで知り合った快活な女性ジェシー・バーンズ(エミリー・ロイド)に想いを寄せ、電話をかけてデートに誘いました。闇酒場に向かったノーマンとジェシーは、先住民の恋人メイベル(ニコール・バーデット)を連れてきたポールと酒を飲み、楽しいひと時を過ごしましたが、店の人間はメイベルのことを快く思っていませんでした。
数日後、ポールはメイベルのことを侮辱されたことから喧嘩を起こし、警察の世話になってしまいます。引き取りに出向いたノーマンは、ポールが賭けポーカーにはまっており、度々警察の世話になっていることを知りました。
リバーランズスルーイットのネタバレあらすじ:転
ノーマンはハリウッドから帰郷してきたジェシーの兄ニール(スティーヴン・シェレン)を一緒に迎えに行きました。しかし、嫌味ったらしい変わり者なニールを好きになれないノーマンは、彼の鼻を明かそうと釣りに誘い、ポールと共に川で待ち合わせしましたが、二日酔いのニールは行きずりの女をひっかけて遅れて現れ、ノーマンとポールは裸のままで寝てしまい、こんがりと日焼けしたニールをよそに釣りを楽しみました。
やがてノーマンの元に、シカゴ大学から英文学の教授の採用通知が届きました。ノーマンは喜んでくれたジェシーに、彼女と離れて暮らすことはできないと想いを打ち明けました。
それを知ったポールは、ノーマンと祝杯を挙げて運を分けてもらい、賭博場へポーカーの勝負に挑もうとしましたが追い出されてしまいました。危険を感じたノーマンは、ギャンブルで借金が溜まるばかりのポールを連れて帰ろうとしましたが、ポールは翌日釣りに行く約束をすると、再び店の中に入っていきました。
リバーランズスルーイットの結末
翌朝、遅れて帰って来たポールを見てひと安心したノーマンは、両親にシカゴ大学の教鞭に立つことを伝えました。ノーマンは喜んでくれた父やポールと三人でブラックフット川に釣りに向かい、ポールは見事な腕前で幻の大魚を釣り上げ、ノーマンたちは早速写真に収めて喜びました。
ノーマンはポールをシカゴ行きに誘いましたが、ポールはモンタナを離れるつもりはありませんでした。
数日後、ジェシーと共にシカゴ行きの準備をしていたノーマンは警察に呼び出され、ポールが死んだことを知らされました。ポールは右手の骨をへし折られ、拳銃で殴り殺されたのです。ノーマンは詳しい死因を両親に伏せ、右手を潰された事実のみ伝えました。
それから父は終生ポールとの思い出に浸り、死の直前まで人を愛することの尊さを切々と人々に説いていきました。
月日は流れ、年老いたノーマンは、色々なことを回想しながらフライ・フィッシングに興じていました。
以上、映画「リバー・ランズ・スルー・イット」のあらすじと結末でした。
「リバー・ランズ・スルー・イット」感想・レビュー
-
派手なアクションシーンはないし、大きく心を動かされるような出来事もない映画です。それなのに、美しい詩を読んだり絵画を見た後のように深く心の中に刻まれて忘れることができません。
それはロバート・レッドフォード監督が紡ぎ出す原作をそのまま映像化したような美しいモンタナの風景と家族のあり方、そしてその中に完璧に溶け込んでいるブラッド・ピットの魅力があってこそだと思います。
ちょっと疲れたときやリラックスしたいときに何度でも見たい映画です。 -
予備知識もなく、レッドフォード監督が目について観た映画ですが、あの川の描写に驚きました。同時に兄弟の絆は感動でしたが、なんでポールが死んだのか心残りです。
-
ピットの良さが最大限に発揮された素晴らしい映画だった。
アメリカの男の子がどうやって育つのか、兄弟、父親との関係など、じっくりとあじわうことができた。名作です。 -
その当時の列車の走るシーンを再現するなど、ていねいに造りこんである作品。これがハリウッド映画だという感じ。
ハリウッド映画にありがちな、豪快なアクションなどの派手さは一切なく、自伝小説の世界観をそのまま再現した素晴らしい作品です。雄大で美しいモンタナの大自然を舞台に描かれた兄弟の絆、家族愛。澄んだ水面に差し込み陽の光、若き日のブラッド・ピット、とにかく全てが美しいです。監督を務めたロバート・レッドフォードの素晴らしさを再確認できる作品でもあります。