靴をなくした天使(別題:ヒーロー/靴をなくした天使)の紹介:1992年アメリカ映画。どうしようもない小悪党バーニーは有罪判決を受け、服役の危機に陥っていた。そんなある日彼は飛行機事故に遭遇し魔が差したように人助けをする。彼は名乗らずにその場を立ち去りったが故に、テレビは賞金を掛けその正体不明の人物を探し始めたが、それに名乗りを上げたのは全く別人のホームレス、ババーだった。聖人君子であるが騙りのヒーローと、性根の腐った小悪党だが真実のヒーローが織り成すハートウォーミングなコメディドラマ映画。
監督:スティーブン・フリアーズ 出演者:ダスティン・ホフマン(バーナード・“バーニー”・ラプラント)、ジーナ・デイビス(ゲイル・ゲイリー)、アンディ・ガルシア(ジョン・ババー)、ほか
映画「靴をなくした天使」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「靴をなくした天使」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「靴をなくした天使」解説
この解説記事には映画「靴をなくした天使」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
靴をなくした天使のネタバレあらすじ:起
バーニーは窃盗で有罪判決を受けました。彼の国選弁護人は判事に噛み付き、何とか六日間の保釈延長を得てきます。しかしその間彼は弁護士の鞄から財布を盗み、そこから現金を抜き取りっていました。
弁護士はバーニーに、量刑判決まで勤務態度等の評価を上げて貰い、離婚した妻と息子を相手に十分話し合ってくれと言います。バーニーは別れ際に彼女から先日貸した金を返してくれと言って来たので、彼はしれっと盗んだ金から返します。
バーニーは息子と面会し、自分を大きく見せようとある事ない事語ります。息子がトイレで財布を拾えば警察に届ければ礼を貰えるとさり気なく取り上げ、兎に角目立つなと教訓を述べます。
息子と別れ、バーニーは馴染みの酒場に入ります。彼は服役すると店主に嘆き、子供は無邪気だ、いずれヒーローになれると思っていると悲観的に語ります。その内、待ち合わせていた故買屋がやって来て、彼は先程拾った財布からカードを売り飛ばします。
ゲイルは自殺するという紳士のインタビューを行っていました。それが終わると紳士は飛び降り、カメラマンはそれを地面に落ち切るまで追っていきました。
編集を終えた映像を見せると、上司達は良い取材だったとゲイルを誉めます。彼女は、彼を助ければ美談になったのにと言いながら、次の予定である報道賞授賞式の出席について、上司達と簡単な打ち合わせします。一泊する事を許可されましたが、上司達は去って行った彼女が日帰りしてくると賭けをします。
報道賞の受賞をしたゲイルは、真実の中に感動を求めるというスピーチをし、拍手喝さいを得ます。彼女は授賞式が終わるとその足で飛行機に乗り会社に向かっていました。
バーニーは出所の怪しいテレビを大家に売り付け、息子と映画に行くと出かけます。新品の靴を履き、大雨の中オンボロ車を走らせます。その頃頭上のゲイルが乗る飛行機では、飛行状態が芳しくないと機内アナウンスが流れていました。
バーニーの乗る車はエンスト、道端で停止します。それを再始動させようと四苦八苦していると、その頭上から轟音が近づいて来て、目の前にゲイルの乗る飛行機が墜落しました。
靴をなくした天使のネタバレあらすじ:承
バーニーは助けを呼ぶ声が聞こえる飛行機に近付きます。彼は靴が汚れると靴を脱いで泥の中に入り、助けに応じ手伝うと扉が開き、乗客が脱出してきました。
バーニーは避難客に交じり靴を探しますが、子供が父親がいないと助けを求めてきます。バーニーは救助隊を待てと子供を振り払いますが、子供は切実に訴えてきました。バーニーは困ったなと言い、炎上を始めた墜落機を見据え、父親を捜しに行きました。
機内にはまだ救助を待つ人々がいて、バーニーはそれに手を貸しながら父親を捜します。その内ゲイルを発見し彼女を救助しますが、彼女の持ち物を見逃す事もしませんでした。
救助隊が駆け付けます。子供の父親は既に脱出していて再会を果たしましたが、それを知らないバーニーは幾度も機内に戻ります。しかし消防士が爆発すると彼の引き離しました。離れたバーニーが靴を片方なくしたと嘆く後で機体は爆発を起こしました。
マスコミが救助活動の取材で騒がしくする中、バーニーは父親を救えなかったと落胆しました。そして搬送されるゲイルは、これは自分のネタだと同僚達に喚き散らしていました。
バーニーは泥だらけの身なりで息子を迎えに行きます。すると元妻が遅くなった彼を詰りました。バーニーは息子に事情を話すと言いますが、元妻はどうせ言い訳を並べ立てる気だろうと拒み、追い出します。彼は自分なりに息子への教育はしていると一旦引き下がりますが、車に戻った時ゲイルから盗んだバックから金を抜き、今日息子が拾った財布の持ち主が謝礼だと渡すよう妻に頼み、去って行きました。
完全に車が壊れたバーニーは、あるホームレスの車に乗って移動します。バーニーはその彼に昨夜の事を克明に語って聞かせました。渋滞で遅れながらも出勤しましたが、今までの悪行が祟って経営者は彼を解雇しました。
ゲイルは病院で自分を助けた人物が正体不明だと知り、功名心からそれを104便の天使と報道し、その人物が靴を落として行ったと発表します。バーニーの息子は、あの晩父親が靴を片方履いていなかった事を覚えていましたが、母親は彼の訳がないと取り合いません。
バーニーは、また窃盗品を売り払おうと酒場に現れます。その時、テレビがその天使に懸賞金を掛けた事を発表し彼は飛びつきますが、囮捜査官に逮捕されしまいました。
テレビ局に自称天使が集まってきます。その間にバーニーは裁判で量刑を待ちますが、突然天使が見付かったというニュースを聞き愕然とします。名乗り出た男はバーニーが乗せて貰ったホームレス、ババーでした。
靴をなくした天使のネタバレあらすじ:転
ババーは、賞金目当てだとバーニーから聞いたすべてを自分の事のように語ります。世間は美男子の彼をヒーローと信じ、獄中バーニーだけが騙りだと騒ぎます。
ババーは一転、ヒーローとして持て囃されます。高級ホテルを用意され、身形を綺麗にし、豪華な食事を振舞われます。その帰り彼は、ふと目を路上に移します。そこには先日までの自分と同じ暮らしをしている人々がいました。彼は裕福な人達に毛布を寄付して欲しいと訴えます。その高潔振りにゲイルを含めた誰もが惹かれて行きました。
ババーはその過去も素晴らしいものでした。しかしそれに奢らずに人を助ける事を当然という彼を皆が尊敬します。皆がヒーローになれるという彼の言葉に誰もが心酔する中、バーニーだけは悪態を吐きます。そんなバーニーは保釈されます。保釈金を出したのはババーに影響された弁護士でした。
バーニーは保釈されるとすぐにババーが慰問するという病院に乗り込みます。薄汚い身なりのバーニーはそこでも爪弾きにされます。その目の前でババーは、子供達を一人一人見舞い勇気付けて行きます。そして、昏睡状態の少年に、医者が聞えてないというのも構わず語り掛けました。その健気さに、流石のゲイルも撮影を控えさせます。
ババーが出口に現れると、待ち受けいた人々が歓声を上げます。その中、バーニーは大声で罵倒しました。その微かに聞こえる声にババーは動揺します。
バーニーは、逮捕劇に巻き込んで迷惑をかけた酒場に行きます。店主はババーに感化され彼を許しました。テレビでは昏睡状態だった少年の意識が返ったニュースが報道されていました。
事故の再現ドラマが企画され撮影が進みます。ババーは乗客を救い出した時の細かい差異をゲイルに指摘されますが、違うとは疑われません。
バーニーは店主に自分が天使だと言ったら信じるかを聞きます。当然店主は信じませんでした。
撮影が終了します。そこに刑事がゲイルを訪ねてきました。その様子にババーは更に動揺しますが、ゲイルと刑事は彼を残しその場を離れました。
刑事はバーニーの事件にババーが関わっていないかを疑っていました。ゲイルはそれを否定します。
靴をなくした天使の結末
バーニーは息子に電話し仕事で暫く会えなくなると告げました。そして元妻にも今までの事を謝り、電話を切りました。
ゲイルはバーニーに部屋に来て彼を待ち伏せします。ゲイルがソファーに座ると、無くした彼女の私物がありました。そこにバーニーが帰って来てます。彼はゲイルが助けた女性だとすぐに気付きました。その時大家がババーが自殺すると飛び込んで来て、そのテレビ報道を見たゲイルはバーニーを引っ張って現場に向かいます。
ゲイルは、ババーは魔が差してバックを盗み、売り付けたバーニーに脅されていると思い込んでいました。現場に着き、ゲイルはホテルの縁に立つババーを説得します。その時、彼女を押し退けバーニーが縁に出ました。彼はマスコミを遠ざけ、ババーと話し合いを始めました。
バーニーは謝るババーに這い寄って近付き、両手で顔を拭い黒く汚れます。その様子は報道され、彼を知る人々はすべからく驚愕しました。そしてその汚れた顔を見てゲイルは、本当の天使は彼だと気付きました。
バーニーは、もしババーがあの場に居れば同じ事をしたと断言し、脅迫をしていると疑われているのでそれに乗っかり口止め料の話し合いを始めます。
バーニーは、息子の学費、弁護士の費用、そして自分の刑を軽くする証言をするよう強要します。ババーはもう嘘を吐きたくないと否定的になりますが、バーニーは彼の人望があれば大丈夫だと楽観的でした。その奇妙な説得力にババーも要求を受け入れ部屋に戻ろうとしますが、バーニーが足を滑らせてしまいました。
一同がその危機を固唾を飲んで見守ります。手を差し伸べれば巻き込まれるかも知れません。しかしババーは決意し、命を懸けてバーニーを助けました。
ババーが記者会見をします。ゲイルは別室でバーニーに会い、オフレコだと前置きして真実を問い質します。ですがバーニーは、自分がそんな人物だと思うかと否定しました。
バーニーが見ていたテレビでは、元妻と息子が映し出されインタビューを受けます。ゲイルは息子にだけは真実を話したらと促し、オフレコで助けてくれた礼を言います。バーニーは素っ気なく気にするなと返します。
ゲイルはババーに自分がヒーローかと聞きます。彼は、誰もが高潔なヒーローになれると答えました。
無事服役も避けられたバーニーは、息子にあの夜の真実をオフレコで熱弁します。それを聞いた息子は興奮しますが、信条と違うのに何で助けたのと聞きます。バーニーは魔が差したと答えました。その時女性がライオンの檻に娘が落ちたと叫びます。バーニーは係員を呼べと促しますが、助けてと悲痛に訴えられました。するとバーニーにまた魔が差します。そして靴を任された息子は、呆然としながらも羨望の眼差しで父を見送りました。
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