アマンダと僕の紹介:2018年フランス映画。第31回東京国際映画祭でグランプリと最優秀脚本賞をW受賞した『アマンダと僕』。突然愛する家族を奪われ、残された7歳の姪と過ごすことになった24歳の若き叔父。お涙頂戴ではなく淡々と、しかし優しい視線で二人の日々を丁寧に描いた本作の監督は、これが初の日本劇場公開作となるミカエル・アース。奇しくもこの映画の撮影前に監督自身の母親が亡くなり、エンドロールでは<シャンタル・アースに捧ぐ>とクレジットされている。
監督・脚本:ミカエル・アース キャスト: ヴァンサン・ラコスト(ダヴィッド)、イゾール・ミュルトリエ(アマンダ)、ステイシー・マーティン(レナ)、オフェリア・コルブ(サンドリーヌ)、マリアンヌ・バスレー(モード)、ジョナタン・コーエン(アクセル)、グレタ・スカッキ(アリソン)
映画「アマンダと僕」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「アマンダと僕」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
アマンダと僕の予告編 動画
映画「アマンダと僕」解説
この解説記事には映画「アマンダと僕」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
アマンダと僕のネタバレあらすじ:起
パリの短期滞在者用アパートで、雑用をしながら入居者を案内しているダヴィッド(ヴァンサン・ラコスト)。彼はシングルマザーの姉、サンドリーヌ(オフェリア・コルブ)の一人娘アマンダ(イゾール・ミュルトリエ)を学校までお迎えに行く約束をしていましたが、この日は客のインド人が遅れてきたので、到着が遅くなってしまいました。
帰宅したサンドリーヌは、アマンダの宿題をみてあげようとしますが、アマンダは英語の本に興味津々。その本の表紙には『エルヴィスは建物を出ました』と書いてありました。意味をたずねるアマンダに、サンドリーヌはパソコンで映像を見せながら、もうおしまいという意味だと説明し、エルヴィス・プレスリーの歌をかけて二人で楽しそうに踊るのでした。
一方ダヴィッドは、新しい入居者レナ(ステイシー・マーティン)を案内し、好印象を持ちます。偶然公園で会ったダヴィッドはレナを飲みに誘い、そこで二人はお互いの話をするのでした。
ある日、ダヴィッドが姉の家に行くと、どうやら姉には新恋人ができた様子。うれしそうな姉はさらに、ウィンブルドンのチケットをダヴィッドに見せます。3枚あるのでサンドリーヌ、アマンダ、ダヴィッドの三人でロンドンに行こうと言います。実はロンドンには、ダヴィッドが小さい頃に出ていった実の母アリソン(グレタ・スカッキ)が住んでいるのです。複雑な気持ちのダヴィッドは、あまり会いたくない、と言います。
パンを持ってレナの部屋を訪れたダヴィッドは、部屋に入れてもらい、ひと時を過ごします。ピアノを教えているレナに、生徒としてアマンダを紹介すると約束し、アマンダの母サンドリーヌがシングルマザーであること、そしてそのサンドリーヌとダヴィッド姉弟は父子家庭で育ったことなどを話しました。レナはダヴィッドに近寄り、二人は自然とキスを交わすのでした。
アマンダと僕のネタバレあらすじ:承
ある日、サンドリーヌはアマンダをシッターに預け、ピクニックデートに行く準備をしています。そこにはダヴィッドとレナも合流する予定で、電車が遅れてすぐに動けないダヴィッドは、レナにバゲットを買って先に行くよう電話し、自分は遅れて自転車で向かいました。
ところがダヴィッドが公園につくと、芝生には血だらけの人々が倒れています。それは見たこともない恐ろしい光景でした。4人の男たちによる未曾有のテロ事件に巻き込まれ、姉のサンドリーヌは死んでしまったのです。
眠れぬまま、姉の家で朝を迎えたダヴィッドは、起きてきたアマンダを散歩に誘います。そして、泣きながらサンドリーヌが死んだことをアマンダに伝えますが、何も見ていないアマンダは実感がわきません。二人はそのまま公園に向かいますが、テロ直後で軍によって閉鎖されていて、入ることはできません。
二人はアマンダの大叔母、ダヴィッドの叔母、モード(マリアンヌ・バスレー)の家を訪れます。そこで飼われている白いウサギと遊び、アマンダはやっと眠りにつきました。
ダヴィッドは役所で今後のことを相談しています。そこで後見人制度のことを聞いたダヴィッドは、その資格があるのが自分と、モードと、ロンドンにいるアリソンの3人だということを知ります。アリソンは論外として、まだ24歳と若く、仕事も不安定なダヴィッドは、遊びたい盛りのアマンダを持て余し、正直どうしていいかわかりません。
ダヴィッドはアマンダを連れて、テロに巻き込まれた友人、アクセル(ジョナタン・コーエン)のお見舞いに行きます。アクセルの彼女、ラジャにアマンダをまかせ、アクセルとダヴィッドは散歩にでかけます。そこで「この先どうする?」と聞かれたダヴィッドは、不安な気持ちがあふれ泣き出してしまいます。アクセルはそんな彼をそっと抱きしめるのでした。
アマンダと僕のネタバレあらすじ:転
ダヴィッドはレナの退院を手伝いにきました。レナは右手に大ケガを負い、ピアノが弾けなくなってしまいました。世話を焼くダヴィッドに、レナは「ごめん、ひとりになりたい」と暗い顔で告げるのでした。
ある日、ダヴィッドは、身寄りのない子供たちが暮らす施設を見学しに来ました。元気に遊ぶ子どもたちの姿にほっとするダヴィッドでしたが、年に2回しか外出できないと聞き、複雑な気持ちになります。
その夜、モーダの家に迎えに行くと、アマンダは「帰らない!ここで寝る」と反抗します。そこからでは学校が遠くて通えないと説明しても、アマンダはなかなか言うことを聞きません。結局家には帰ったのですが、翌朝、ダヴィッドは寝坊してしまい、バタバタと登校の準備をすることに。すると、「ママの歯ブラシを戻して!」とアマンダが猛抗議してきました。「うちのこと、勝手にしないで!」と言うアマンダの剣幕に負け、ダヴィッドはいったん片付けたサンドリーヌの物を元の場所に戻すのでした。
退院したレナは、レコード店で働いていましたが、思うように手が動かず、実家に帰る決心をしていました。「今の私はあなたを支えられない…」そうレナは言うと、二人は別れを惜しむようなキスをしました。
ダヴィッドは、レナの出た部屋に、新しく入る住人を駅に迎えに行きます。雑踏を歩き回りながら、寂しさのあまり嗚咽するダヴィッド。その夜、アマンダをモードの家に連れて行こうとすると、「今日はイヤ」と駄々をこねます。友だちと食事の約束があると言うと「連れてって」と抱きつくアマンダ。寂しいのは二人とも一緒のようです。
翌日、ダヴィッドが学校にアマンダを迎えにいくと、友だちと楽しそうに遊びながら、ふと涙をぬぐう仕草を見せました。そして、ダヴィッドに気づくと、花が咲いたような笑顔で走ってくるのです。
次の休みの日、二人はパターゴルフをしに出掛けました。嬉しそうに笑うアマンダ。こんなに楽しい時間は久しぶりです。モードの家に帰り、ようやくアマンダが眠ると、モーダはダヴィッドに母アリソンの思い出を話して聞かせるのでした。
アマンダと僕の結末
ダヴィッドは、レナの住むボルドーを訪れています。レナの家に着くと、レナの母親はこころよく彼女を呼んでくれました。二人で散歩していると、急にダヴィッドは宣言します。「ぼくがアマンダの後見人になる。決めたんだ」そしてレナに、「ぼくとパリに来てくれ」と頼んだのです。その夜、二人は愛を確かめ合うのでした。
ダヴィッドとアマンダは、二人でロンドンに向かっています。滞在用の部屋を借り、二人は自転車でロンドンの街を楽しそうに走っていきます。広い公園に着くと、そこへ待ち合わせしていたアリソンがやってきました。20年振りに会う母子のぎこちない会話が続きますが、アリソンの、「二人の力になりたい」という思いは伝わったようです。「アイスでも食べない?」と言うアリソンの言葉に、アマンダは笑顔で答えるのでした。
翌日、ウィンブルドンセンターコート。アマンダは、母が座るはずだった席に荷物を置き、試合を見つめます。応援している選手がたて続けに点を取られ、みるみるアマンダの顔は不機嫌になっていきます。そしてついに泣き出してしまいます。「エルヴィスは建物を出た」(もうおしまいだ)。するとダヴィッドが一言「まだ終わってない」。その選手はみるみる巻き返し、アマンダに笑顔が戻ってきました。
幸せそうな人々が集う公園。そこはあたたかな夕暮れの光に包まれていました。
以上、映画「アマンダと僕」のあらすじと結末でした。
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