アンテベラムの紹介:2020年アメリカ映画。社会学者で人気作家でもあるヴェロニカ。招かれたニューオリンズで見事なスピーチを披露して喝采を浴び、友人たちとディナーを楽しんだ直後、順風満帆だった彼女の日常は突如崩れてしまう…。一方、とある広大なプランテーションの綿花畑で奴隷として重労働を強いられているエデン。ある悲劇に見舞われた彼女は、それを機に奴隷仲間と脱走を企てる。今まさにアメリカを揺るがしている人種や政治の分断というテーマを、スリラーという形で完成させた。
監督:ジェラルド・ブッシュ、クリストファー・レンツ 出演:ジャネール・モネイ(ヴェロニカ/エデン)、エリック・ラング(彼/マザーズ上院議員)、ジェナ・マローン(エリザベス)、ジャック・ヒューストン(ジャスパー司令官)、カーシー・クレモンズ(ジュリア)、ガボレイ・シディベ(ドーン)、リリー・カウルズ(サラ)、マルク・リチャードソン(ニック)、トンガイ・キリサ(イーライ/タラサイ教授)ほか
映画「アンテベラム」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「アンテベラム」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
アンテベラムの予告編 動画
映画「アンテベラム」解説
この解説記事には映画「アンテベラム」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
アンテベラムのネタバレあらすじ:起
奴隷制度を信奉する南軍の旗がたなびくアメリカ南部のプランテーション。ある日、13州の南部連合軍第9歩兵隊ジャスパー司令官らがやってきて、ここで働くイーライが囚われました。逃げる妻は非情にも射殺され、焼却炉へと入れられました。
ここに連れて来られ囚われの身となった美しい黒人女性エデンは、綿花畑での過酷な労働を強いられていました。自由に言葉を発することさえ禁じられた労働者たち。エデンは、屈辱と恐怖の日々をひたすら黙って耐え、イーライと共に脱出のチャンスをうかがっていました。
やがて、新たに奴隷として連れて来られたジュリアが、突然エデンの部屋を訪ねてきました。ノースカロライナ州から来たという彼女は、エデンのことを知っていると言うのです。そして今すぐ脱出を計画するよう懇願しました。彼女は妊娠していたのです。エデンは驚きましたが、今は黙ってチャンスを待つよう強く言い、ジュリアを追い返しました。
その日の夜、食事の席でジュリアを“指名”したダニエル上等兵は、夜部屋で待つよう命じました。しかし、ジュリアが彼の親切に付け込もうと助けを求めると、ダニエル上等兵は豹変。許可していないのに口を開いたことでジュリアに暴力をふるい、流産してしまったのです。
翌朝、ジュリアは部屋で首を吊った姿で発見されました。
アンテベラムのネタバレあらすじ:承
愛する夫ニックの隣で目を覚ましたヴェロニカ。博士号を持つリベラルな社会学者でベストセラー作家でもある彼女は、心優しい夫と、幼い娘ケネディと幸せに暮らしていました。
ある日、エリザベスと名乗るミステリアスな女性のオンライン取材をこなした彼女は、新刊の出版を記念した講演会のために単身でニューオリンズを訪れました。力強いスピーチで拍手喝采を浴びたヴェロニカは、現地で合流した親友ドーンとサラと共に高級レストランのディナーへと繰り出しました。
楽しい時間を過ごしたヴェロニカは早朝に帰路につくため、2人とは別のタクシーに乗り込みました。
しかし、タクシーだと思って乗り込んだ車はエリザベスが運転する車でした。後ろに隠れていた男によって気絶させられヴェロニカは、拉致されてしまいました。
場面は変わり、エデンが何かの音で目を覚ましました。音の正体はプランテーションを仕切っている将軍のスマホでした。南北戦争時代かと思われたその場所には、スマホがあり、空には飛行機が飛ぶ現代でした。そして、拉致されたヴェロニカとエデンは同一人物だったのです。
アンテベラムのネタバレあらすじ:転
いつものように将軍の夜の相手をさせられたエデンは、ある日脱出を決心し、夜こっそり部屋を抜け出しました。待ち合わせたイーライと共に助けを呼ぶために、将軍のスマホから緊急電話で911にかけます。しかし電波が届きにくく、途中で切れてしまいました。位置情報は顔認証でロックを解除しないと送ることができません。
仕方なくエデンは部屋に戻りましたが、目覚めた将軍が襲い掛かかり、殴り合いになります。イーライは将軍によって殺されてしまいました。悲しむ間もなく、エデンは将軍を刺して顔認証でロックを解除すると、ニックに電話をかけ、GPSで居場所を送りました。
逃げる前に、将軍を馬で引きずり、火葬場へと放り込みました。ところが、そこで運悪くジャスパー司令官がやってきます。エデンは「将軍が怪我をしている!」と伝え、ジャスパー司令官を火葬場へと誘い込み、鍵をかけると火を放ちました。
アンテベラムの結末
馬を盗んで一目散に逃げたエデンを、兵士たちが追いかけてきました。追手の中にエリザベスの姿もありました。エデンは銃撃をかわしながら深い森を全力で駆け抜けました。
行き止まりについたエリザベスは、隠れているエデンに向かって「エデン以外の奴隷を全て自分が選んで連れてきた」と叫びました。エデンは父のお気に入りだったとのこと。エデンは姿を現し取っ組み合いになりましたが、エリザベスがナイフを突き立て、死闘となります。
エリザベスに拳を見舞わせたエデンは、彼女の首にロープを巻き、馬に乗って走り出しました。エデンはヴェロニカをひきずり、銅像の台石に頭部から衝突させました。首が折れたエリザベスは即死。その銅像は偶然にも、南北戦争当時の南部軍総司令官ロバート・E・リーのものでした。
森の先では南北戦争を模した戦いが広がり、エデンがその間を馬で抜け脱出すると、場所を指す「ルイジアナ州の内戦再現公園」と書かれた看板がありました。将軍は土地と伝統を守るためとしておきながら、奴隷制度を守る戦いの演出をしていたのでした。
エデンの仮面をはぎ取りヴェロニカが現れたのと同時に戦争時代の幻想は打ち砕かれました。ヴェロニカは警察に保護され、黒人奴隷たちも無事救出。公園は撤去されました。
以上、映画「アンテベラム」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する