紅唇罪ありの紹介:1933年アメリカ映画。自らの美貌と肉体だけで男性社会をのし上がっていく女性を描いたドラマ作品。場末の隠れ酒場で働くリリーは、父の死をきっかけに都会に出る決意をした。大銀行ゴッサム信託銀行に目を付け、人事課の男性を誘惑して働き口を確保したリリー。野心を膨らませた彼女は、次から次へ男性を虜にしてのし上がっていく。金と権力を求めるリリーの行動は、やがていくつもの悲劇を生むことになるのだった。
監督:アルフレッド・E・グリーン 出演者:バーバラ・スタンウィック(リリー)、ジョージ・ブレント(トレンホーム)、ドナルド・クック(スティーブンス)、マーガレット・リンゼイ(アン・カーター)、ジョン・ウェイン(ジミー・マッコイ・Jr)ほか
映画「紅唇罪あり」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「紅唇罪あり」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
紅唇罪ありの予告編 動画
映画「紅唇罪あり」解説
この解説記事には映画「紅唇罪あり」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
紅唇罪ありのネタバレあらすじ:外の世界へ
舞台は禁酒法下のアメリカ、ペンシルベニア州の田舎町エリー。製鉄所が建ち並び、煙突が延々と煙を吐くこの町には評判の隠れ酒場がありました。店主パワーズの娘リリーは輝くような美貌の持ち主で、男性客は彼女の虜になっています。
酌婦として働かされているリリーは、無遠慮に体を触って来る客も、偉そうな父のことも嫌っていました。彼女が心を許しているのは下働きの親友チコと、知性を感じさせる男性クラッグだけです。
ある夜、地元の政治家エドが酒場にやって来ました。彼は酒の提供に目を瞑る代わりにリリーの体を要求します。パワーズは喜々としてリリーを差し出しましたが、リリーは猛反発してエドを追い返しました。パワーズは激怒しますが、直後に蒸留器の爆発事故に巻き込まれ死亡します。
葬儀を終えたリリーはクラッグを訪ねました。スカウトされストリッパーになろうとしているリリーを、クラッグは厳しく叱りつけます。彼はリリーに、都会へ行ってチャンスを掴めと熱弁しました。若く美しいリリーには、その力があると。
リリーはチコを連れて深夜の貨物列車に潜り込み、ニューヨークに到着します。大銀行ゴッサム信託銀行に目を付けた彼女は、人事課の男性を色仕掛けで陥落させ採用して貰いました。
紅唇罪ありのネタバレあらすじ:リリーの誘惑
リリーは配属された先の上司を、持ち前の美貌と肉体で誘惑し、簡単に虜にしていきます。上司を陥落させた後は更にその上役を誘惑し、利用価値の無くなった男性には見向きもしませんでした。
それを何度か続けたリリーは会計課に配属されます。課のリーダーであるスティーブンスは真面目で誠実な男性で、副社長カーターの娘アンと婚約していました。しかし婚約者の存在などリリーには関係ありません。リリーは巧みな話術と魅力的な肉体を武器に近寄り、あっという間にスティーブンスと肉体関係を持ちました。
後日、リリーはアンがスティーブンスに会うため職場を訪れるという情報を掴みます。そこで訪問時間に合わせてスティーブンスに甘く迫り、抱き合っているところをアンに目撃させました。ショックを受けたアンはカーターのオフィスに走り、泣きながら事情を説明します。
カーターから指示を受けたスティーブンスは、リリーに解雇を告げました。するとリリーは解雇するなら二度と会わないと宣言します。すっかりリリーの虜になっていたスティーブンスは、彼女を失うくらいならと辞職と婚約解消を決心しました。カーターはスティーブンスを宥め、2週間の休暇を与えます。彼はその間にリリーを追い出すつもりでした。
紅唇罪ありのネタバレあらすじ:大スキャンダル
副社長室に呼び出されたリリーは、カーターを前に純情な女性を熱演します。スティーブンスの婚約など知らなかった、自分だけを愛していると思っていたと悲しむリリー。更にスティーブンス以外に男性経験は無いと嘘を吐きます。
それを鵜呑みにしたカーターはリリーに同情し、退職後の世話をする内に彼女に夢中になってしまいました。カーターは愛人としてリリーを高級アパートに住まわせ、服も宝石も存分に買い与えます。リリーはチコの他にも使用人を雇い、豪勢な暮らしを満喫しました。
2週間後、休暇を終えたスティーブンスは仕事に戻りますが、リリーのことが頭から離れません。彼は執念でリリーの住所を突き止め会いに行きましたが、すげなく追い払われてしまいました。恋に狂ったスティーブンスは婚約を解消し、仕事まで辞めてしまいます。
その後リリーの部屋に押しかけたスティーブンスは、カーターの姿に激高。カーターを射殺し、直後に自らも命を断ちました。
紅唇罪ありのネタバレあらすじ:次なる獲物
リリーを巡るスティーブンスとカーターの事件は大スキャンダルとして世間に広まりました。銀行の信頼も揺らいだことから、役員達は新たな頭取に創始者の孫トレンホームを迎えます。彼らはリリーを呼び出し、その処分について話し合いました。
リリーは日記を新聞社に売ろうと考えており、銀行はそれを阻止したいと考えています。平穏な暮らしを送るために金が必要だと訴えたリリーは、1万5千ドルで日記を売ると言い出しました。役員達が手を打ちかけた時、トレンホームが待ったをかけます。
彼は買い取りの提案はリリーに失礼だと言い、勤勉な彼女のためにパリ支店に職を用意すると言いました。トレンホームに上手くやり込められたリリーは、悔しさを滲ませながらチコと共にパリへ移ります。
パリ支店に移ったリリーはアレンという偽名を使い、旅行課で真面目に働き始めました。ここでも多くの男性に声をかけられますが、全て断っています。
そんなある日、トレンホームが視察にやって来ました。彼は真面目に働くリリーを見て驚きます。正直、とっくに飽きて辞職しているものだと思い込んでいたのです。トレンホームはリリーを見直し、すっかり好印象を抱いていました。
しかしそれこそがリリーの狙いだったのです。リリーはトレンホームをも陥落させるため、静かに機会を狙っていたのでした。
紅唇罪ありの結末:本当の幸せ
トレンホームはすっかりリリーの虜になり、求められるままに結婚してしまいます。ところがスキャンダルの中心人物と頭取の結婚は更なるスキャンダルとなりました。ゴッサム信託銀行の信用は完全に失われ、倒産の危機にまで追い込まれます。
責任を問われたトレンホームは起訴されてしまい、保釈金を払って帰宅したものの追起訴に備えて更なる金が必要でした。トレンホームは債権や証券類を返すようリリーに頼みます。しかしリリーは拒否しました。やっとここまで上り詰めた自分の人生が、また元の貧乏生活に戻ってしまうことを恐れたのです。
彼女はチコに頼んで素早く荷造りし、トレンホームを捨てて船に乗り込みました。しかしどうしてもトレンホームのことが頭から離れません。結局いてもたってもいられなくなったリリーは、トレンホームを探して彼のオフィスに駆け込みました。
するとトレンホームが銃を手に倒れています。自殺を試みたようですが、まだ辛うじて息をしていました。リリーは取り乱してトレンホームを抱き寄せ、心からの愛を叫びます。彼女は初めて、心の底から人を愛するようになっていたのです。
その後、トレンホームは何とか一命を取り留めました。夫妻は全財産を犠牲にして銀行に小切手を渡し、倒産を回避させます。彼らはエリーの製鉄所で働き始め、幸せに暮らしました。リリーが本当の幸せを手に入れ、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「紅唇罪あり」のあらすじと結末でした。
日本語タイトルが1930年清水宏監督と同じであるが、美貌の女がのしあがって行くのだから合ってるかも。肉体的魅力はあまり無い鉄火女バーバラ・スタンウィックが金髪にして魅せてくれるのは流石!いわゆる「it」(クララ・ボウ主演)の映画ではないけれど、itが軒並み男をトリコにするのだろう。真実の愛を知るラストはちょっとガッカリだけれども、なかなか面白かった!端役のジョン・ウェインは見逃したので、もう一度観よう!蛇足「明眸罪あり」(グレタ・ガルボ主演)が何故か思い浮かぶ。