ベイビーティースの紹介:2019年オーストラリア映画。オーストラリア、シドニー。病を抱える16歳の女子高生ミラは、ふとしたきっかけから孤独な不良少年モーゼスと出会う。恐いもの知らずで危険をかえりみないモーゼスはミラにとって心の支えとなり、やがて恋に落ちる。しかし両親はミラの初めての恋を心配し猛反対。命を謳歌し刹那的に生きたいミラを不器用ながらも優しく包みこむモーゼス。2人は刺激的でカラフルに色づいた日々を駆け抜けていくが…。2020年注目すべき10人の監督にも選出されたシャノン・マーフィ監督の長編デビュー作となる本作は、ミラの最初で最後の恋をヴィヴィッドに描き世界各国の映画祭で注目された。
監督:シャノン・マーフィ 出演:エリザ・スカンレン(ミラ)、トビー・ウォレス(モーゼス)、エシー・デイヴィス(アナ)、ベン・メンデルゾーン(ヘンリー)ほか
映画「ベイビーティース」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ベイビーティース」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ベイビーティースの予告編 動画
映画「ベイビーティース」解説
この解説記事には映画「ベイビーティース」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ベイビーティースのネタバレあらすじ:起
シドニー、セントラル駅の6番ホーム。電車を待っていた16歳の女子高生ミラは何者かに体当たりをされました。相手はタトゥーだらけの若い男。モーゼスと名乗るその彼は、家を追い出されて宿無しだと言います。当たられた衝撃で鼻血を出してしまったミラを介抱してくれたこともあり、お礼に自分の髪の毛をカットしてもらうことを条件に彼にお金を渡す約束をしました。
家族が留守中のモーゼスの家で犬用バリカンを使って髪をカットしてもらったミラ。壁には母が獲った犬のカットコンテストの賞状や盾が飾られていました。
すると、突然帰ってきた母親がモーゼスの姿を見るなり「出ていって!」と大声で騒ぎました。手には電話を持ち、警察に通報するとまで。モーゼスは母親から親子関係を断たれていたのでした。
そんなモーゼスをミラは自宅に招き食事に誘いました。ところが、ミラの両親アナとヘンリーはモーゼスの見た目や態度、そして年齢や職業まで気に入りません。「私はまだベイビーティース(乳歯)が生えているの」と言うミラに触れようとするモーゼスを見て、母アナは特に嫌悪を露わにします。普段から精神的に不安定で、精神科医でもある夫ヘンリーから抗うつ剤と抗不安薬を処方されているアナは、ついに抑えきれなくなりモーゼスに向かい暴言まで吐いてしまいました。
ベイビーティースのネタバレあらすじ:承
翌日、モーゼスをめぐって口論するミラとアナ。「彼には問題がある」と忠告するアナにミラは「私にだって問題がある!」と言い放ちます。ミラのガンは再発していたのでした。同級生たちがプロムの話題で盛り上がる中、ミラは抗がん剤で髪の毛をすべて失っていました。
そんなある日、夜中に物音がして起きたアナは、モーゼスがアナの薬を盗むために家に侵入してきたのを目撃します。ヘンリーも来て警察に通報しようとするのですが、ミラは再びモーゼスに会えたことを心から喜んでいる様子でした。ヘンリーはその姿を見て、通報を思いとどまりました。
両親の思いや不安をよそに、ますますモーゼスにのめり込んでいくミラ。アナは娘と関わるなとモーゼスに警告しましたが、もはや2人を引き離すことはできませんでした。
プロムに一緒に行く約束もして、無邪気に喜んだミラ。ところが、モーゼスには他の狙いがあったのでした。
それはアナの薬。家にやってきては盗むタイミングを見計らっていたのです。
そのことに気付いたアナはモーゼスを追い払いますが、ミラは会いたい衝動を抑えることができず家を抜け出してまでモーゼスに会いに行ってしまいました。
ベイビーティースのネタバレあらすじ:転
モーゼスとつり合いが取れるように、派手な格好とメイクできめたミラ。モーゼスは仕事を理由にミラを帰そうとしますが、ミラは離れません。モーゼスのあとを付いてドラッグの売買やパーティを経験したあと帰りたくないと言い、モーゼスが寝泊まりするビルの屋上へ連れて行ってもらいました。
うとうとしたミラが目を覚ましたときにそこにモーゼスの姿はありませんでした。そればかりか肺に感染症まで起こしていました。
ミラが次に目を覚ましたときには病院のベッドの上でした。それでも両親を振り切り、モーゼスを探しに行くために必死にベッドから出ようとするミラ。そんな痛ましい娘の姿を見たヘンリーは、モーゼスのもとを訪れました。
ヘンリーに怒鳴られたモーゼスは、あの日、用事が終わったあとに戻ったらすでにミラがいなかったと告げました。顔には傷やあざもありました。
モーゼスには怒りと憎しみしかないヘンリーでしたが、それでもミラの命をつなぎとめるのは彼しかいないと分かっていました。ヘンリーは薬をエサに自分の家にモーゼスを住ませることにしました。
それからの日々は、モーゼスの手料理を食べたり、2人でピアノを弾いたり、プールでじゃれ合ったりとミラにとって幸せの毎日でした。
プロムに参加する意欲も出てきました。そんなミラにアナはプロム用のドレスをプレゼントし、早速喜んで試着するミラ。しかし、着替えの途中に脇にできたしこりに気付きました。
一気にどん底に突き落とされたミラはモーゼスにしこりのことを伝えましたが、モーゼスはまともな返事をしてくれません。ヘンリーが与えた薬でラリっていたのでした。
ベイビーティースの結末
ミラは病気が悪い方向に進んでいることと、父がモーゼスに薬を与えて住まわせていたことと二重のショックを受け、さらに両親にしこりができたことがバレてしまったミラは怒ることしかできず、モーゼスを家から追い出しました。
そうしている間にもミラの身体はがんに蝕まれていきました。ミラには死期がすぐそこまで来ていることが分かっていました。
一方、モーゼスは母のいる自宅へ行きました。もしかしたらやり直せるかもしれない、そう思ったのです。窓越しに見えた弟アイザックに鍵を開けるよう頼みましたが、現れた母親は再びモーゼスを罵り追い返してしまいました。
再びミラの家へ来たモーゼスは、自分が幼少のころから親との関係がよくなかったことを話しました。モーゼスは愛に飢えていたのでした。再び幸せな時間を共有する2人。
ふとミラは言いました。「私の顔をまくらに押し付けて」と。懇願するミラのために一度は決意したモーゼスでしたが、やはりできませんでした。
その拍子にミラのベイビーティースが抜け、2人は結ばれました。
翌日、キッチンへ来たモーゼスの様子を見てヘンリーは全てを悟りました。
何もしらないアンは、朝食を持ってベッドで寝ているミラを見てはじめて気付きます。彼女はすでに冷たくなっていました。
ヘンリーは静かに娘の身体を撫でていました。
泣きながらモーゼスを責めるアンを、彼はただそっと抱いてあげることしかできませんでした。
海で遊ぶ生前のミラ。カメラを向けるヘンリーにミラは言いました。
「モーゼスのことお願いね」と。
ヘンリーは黙ったままうなずきました。
以上、映画「ベイビーティース」のあらすじと結末でした。
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