ボーダレス ぼくの船の国境線(別題:ゼロ地帯のこどもたち)の紹介:2014年イラン映画。東京国際映画祭で「アジアの未来」部門作品賞を受賞したイラン発のヒューマンドラマです。紛争の絶えない中東の国境付近に放置された廃船を舞台に、人種や言語、境遇の異なる人々の心の交流を描いています。
監督:アミルホセイン・アスガリ 出演者:アリレザ・バレディ(少年)、ゼイナブ・ナセルポァ(少年兵)、アラシュ・メフラバン(米兵)、アルサラーン・アリプォリアン(赤子)ほか
映画「ボーダレス ぼくの船の国境線」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ボーダレス ぼくの船の国境線」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ボーダレス ぼくの船の国境線の予告編 動画
映画「ボーダレス ぼくの船の国境線」解説
この解説記事には映画「ボーダレス ぼくの船の国境線」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ボーダレス ぼくの船の国境線のネタバレあらすじ:起
イランとイラクの国境沿いにある立入禁止区域の川に放置された一隻の古ぼけた廃船。少年(アリレザ・バレディ)はその廃船を住処とし、独りでたくましく生活していました。少年は危険を冒して川で魚や貝を採っては水に潜って国境を越え、藪の中に隠していた自転車で近くの商店に向かい、そこで魚の干物や貝殻で作ったアクセサリーを売って生計を立てていました。そんなある日、廃船に少年と同じくらいの年齢の少年兵(ゼイナブ・ナセルポァ)が銃を持って乗り込んできました。少年兵は少年を銃で脅し、少年は追い返そうとしましたが、ペルシャ語を話す少年とアラビア語を話す少年兵は互いの言葉の意味が全く理解できていませんでした。
ボーダレス ぼくの船の国境線のネタバレあらすじ:承
少年兵は少年が魚を獲るために使っている網をロープ代わりにして勝手に甲板を仕切り、ロープの向こう側は自分の縄張りであるかのように振舞い出しました。その後も少年兵は勝手に船内の備品を持ち出したり、船の解体を始めては廃材の鉄骨を船外のどこかへ運び出したりしていました。少年は我慢がならず少年兵に「お前のせいで全部めちゃくちゃだ。このまま解体を続けるならば腕をへし折るぞ」と怒鳴り散らしますが、少年兵には少年の言葉は全く通じませんでした。ある時、少年はこっそり少年兵の後をつけてみました。すると、少年は少年兵が鼻歌を歌いながら長い髪の毛を真珠の髪飾りで束ねているところでした。男の子だと思っていた少年兵は実は女の子だったのです。
ボーダレス ぼくの船の国境線のネタバレあらすじ:転
そんなある日、船の外で大きな爆発音が鳴り響きました。少年兵(ここでは便宜上“少年兵”とします)は急いで船の方向へ走っていきました。やがて船の中からは赤子の鳴き声が聞こえ、少年は船の中で赤子(アルサラーン・アリプォリアン)を抱きかかえながら震えている少年兵の姿を目撃しました。少年は“何もしない”というジェスチャーをして少年兵らに近づき、赤子をあやすと少年兵を落ち着かせました。どうやら赤子は少年兵の兄弟のようです。それ以降、少年は一緒に赤子の面倒を見たり、少年兵に服などを買ってあげたりとすっかり打ち解けていきました。そんなある日、今度は米兵(アラシュ・メフラバン)が廃船に入り込んできて、少年兵に銃を突き付けてきました。少年は少年兵と赤子を助け、隙を突いて米兵を船内の部屋に閉じ込めました。
ボーダレス ぼくの船の国境線の結末
少年は泣き止まない赤子のために船内に残してきたミルクを取りに戻りますが、米兵は部屋の小窓から自分は“友達”だとアピールしてきました。半信半疑の少年を前に米兵は外で鳴り響く銃声に恐れおののき、降参の証として武装を解除してきました。祖国に家族を残し、戦場で多くの仲間たちが命を落とすところを目の当たりにしてきた米兵はすっかり戦場に嫌気が差しており、少年兵に自分の境遇を重ね合わせて涙を流しました。少年と少年兵、米兵は共同して赤子の面倒を見るうちに言葉の壁や境遇などを超えた連帯感が生まれていました。ある日、少年は赤子のミルクを買いに町へ出かけましたが、船に戻ってみると船内は荒らされており、少年兵も赤子も米兵も姿を消していました。やがて少年の姿も消え、船内には赤子をあやしたゆりかごだけが残されていました。
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