画家モリゾ、マネの描いた美女 名画に隠された秘密の紹介:2012年フランス映画。マネが最も多く描いた女性と言われるベルト・モリゾ。女性が絵を描く事がまだ難しかった時代、ベルト・モリゾが画家として迷いながらも大成していく姿を描く。
監督:カロリーヌ・シャンプティエ 出演:マリーヌ・デルテリム、アリス・バトード、マリック・ジディ、ベランジェール・ボンヴォワザン、パトリック・デカン、フランソワ・ディユエードほか
映画「画家モリゾ、マネの描いた美女 名画に隠された秘密」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「画家モリゾ、マネの描いた美女 名画に隠された秘密」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
画家モリゾ、マネの描いた美女 名画に隠された秘密の予告編 動画
映画「画家モリゾ、マネの描いた美女 名画に隠された秘密」解説
この解説記事には映画「画家モリゾ、マネの描いた美女 名画に隠された秘密」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
画家モリゾ、マネの描いた美女 名画に隠された秘密のネタバレあらすじ:スキャンダラスな画家、マネとの出会い
19世紀後半、サロン展にスキャンダラスな絵が展示される。マネの「オランピア」である。開場に来ていたモリゾ姉妹がその絵の前で立ち止まっていると、通りがかりの紳士に「これは女性が見る絵ではない」と、注意する。嫁入り前の習い事として絵画を学んでいた、モリゾ姉妹、妹のベルト・モリゾは「オランピア」を忘れられず、姉とアトリエで練習している最中にもキャンバスに記憶にあるその裸婦を描いてしまう。ある日二人がルーブルで、模写をしていると通りかかった不遜な男に絵のベルトは絵の書き方を注意された、この人こそ「オランピア」を描いた本人、マネだった。彼はベルトに自分の絵のモデルになるように頼むが、姉が彼に好意を抱いているのを知っていた彼女は姉をモデルにするように言う。しかし、絵のテーマを決めていた真似は譲らず、姉妹揃ってモデルにすることにした。そして完成したのが「ベランダ」と言う作品である。「オランピア」や「草上の昼食」ほどスキャンダラスではないが、この絵も酷評される。
画家モリゾ、マネの描いた美女 名画に隠された秘密のネタバレあらすじ:絵を捨て結婚をした姉
画家同士の交流の一環とは言え、未婚の娘たちがマネのアトリエを訪れていた事に彼女たちの両親は怒る。もとより、絵画に関しては嫁入り前の習い事のつもりで深入りしていく彼女たちをあまり良く思っていなかった。折りしも、姉のエドマは30歳も近く、このままでは適齢期を逃してしまうと思った両親に従い、「ずっと二人で絵を描いていましょう」と言っていたにも関わらず、結婚し絵を止めてしまう。それからベルトは一人でマネのモデルをすることになった。彼女はマネに想いを寄せるが、彼は既婚者、ある日の帰り、嫉妬した彼の妻にわざと「マダム」と呼ばれショックを受ける。姉の事や彼の妻のことで愚痴るものの「僕は子供の世話をしているわけじゃない」と逆にたしなめられてしまった。それまで、師であるコローに外で描く事を止められていたベルトは、妊娠中の姉の元を訪れ近くの海辺で絵を描くことにする。外での作画に、始めこそ眩しさを覚えるベルトだが、姉が近くに来るのも気づかぬほどのめりこんでいく。
画家モリゾ、マネの描いた美女 名画に隠された秘密のネタバレあらすじ:普仏戦争の爆音の中で
姉の元から実家へ戻ったベルトは画家として、ベルトは自分の画風を模索し、アトリエに篭るようになる。両親は、海辺で姉をモデルにして描いた絵を見て、マネの絵の影響指摘する。こもりがちだったベルトだが、パリが普仏戦争のあおりを受けると、パリのパッシーに暮らすマネの元へ兵士たちの制止もよそに訪れる。しかし彼はすでに別の場所に避難した後で、そこには執事しかおらず会うことも叶わなかった。やがて、モリゾ家にフランス兵たちが滞在するようになると、そのうちの一人が、ベルトのアトリエを訪れ、自分も画家の端くれでアルジャントゥイユで絵を描いていたと話す。彼はベルトに自分は戦場の様を絵に残したいと彼女の画材を借りて絵を描こうとするが、筆をふるう事は出来なかった。パリが開城し、モリゾ家を去るフランス兵にベルトは自分の絵を渡そうとするが、画家の兵士は、開城を待たずに戦死したと兵士たちの長が彼女に告げ、去っていった。
画家モリゾ、マネの描いた美女 名画に隠された秘密の結末:印象派とマネの溝
いっそう絵を描くことにのめりこんでいくベルトの元を、画商が訪れ、彼女の絵を買いたい、これはこれから描く絵の代金だと言って多額の紙幣を彼女に渡す。ベルトは、マネ以上の金額はもらえないと、遠慮をするが、特に画壇のグループに属していない彼女は自分の絵の世間の評価を知らないだけだった。モンマルトルにいる画家(後の印象派)などは、彼女を是非自分たちのグループに招きたい、自分たちが行うサロンとは違う展覧会に彼女の絵も出品してほしいとの事だった。ベルトのアトリエを訪れ、彼女の画風が定まっているのを見たマネは、「光りの内側と外側がり、君は内側にいる人間だ」と言い、今まで評価していなかった、彼女の絵を賞賛する。そんなマネにベルトは自分が出品する展覧会にマネも絵を出さないかと誘う。しかし、20年間サロン冷遇され、やっとサロンに認められてきたマネは、サロンを古いものとして対抗するその展覧会に出品する事は、冷遇の末にやっと手に入れた画壇での評価に傷がつくと言って断る。彼女たちの開いた「独立展」は盛況のうちに終り、ベルトの前で新聞の評を読み上げる画商とマネ。画商は好意的な評を読み上げるが、マネは酷評を読み上げる。中でもモネの「印象・日の出」が槍玉に上がっており、茶化して印象派と名付けていた。やがて、マネと一緒にベルトの元を訪れていた弟のウージェーヌのベルトが結婚する事になる。マネは自分が帰ってから明けるようにと、彼女に小さな包みを渡す。一人になってから開けるとそれは小さな青い花束の絵で、「ベルト嬢へ」というカードが中に描かれていた。彼の弟と結婚する事を決めながらも感極まるベルト。後日、マネ家に嫁いだベルトは、再びマネのモデルを始める。キャンバス越しにマネを見つめる彼女の左手の薬指にはウージェーヌとの結婚指輪が光っていた。
画家モリゾ、マネの描いた美女 名画に隠された秘密について:モデルとしてのベルト・モリゾ
ベルトとマネの関係について、この作品ではあくまで画家同士もしくは画家とモデルとしての関係しか描いていない。しかしベルトがモデルをする時には必ずと言っていいほど黒いチョーカーを身に着けている。これは、オランピアで裸婦がつけているものであり、パトロンを求めるドガの踊り子たちもつけている事が多い、少し意味深なアイテムである。姉と二人でモデルをした「ベランダ」でもチョーカーをしている方がベルトである。また、画家としてアトリエにいるベルトはあくまで画家然としていて、どちらかと言うと無表情であるのに対して、モデルをしている時のベルトは同じ人物であるに関わらず、とても女性らしい表情をしている。主に画家としてのベルト・モリゾについて描かれた作品であるが、モデルとしてのベルト・モリゾについても注目したい。
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