ビバリーヒルズ・コップの紹介:1984年アメリカ映画。一匹狼タイプで独断先行がちな刑事アクセル・フォーリー。デトロイトに居る彼の所に古い友人が尋ねてくるが、何ものかに殺される。アクセルは、その理由を彼が何故か持っていた無記名債券だと睨み、友人が直前に居た高級住宅都市ビバリーヒルズまで犯人を捜しに赴く。労働階級の街から来た刑事が富裕層の街で巻き起こす痛快刑事アクション映画。
監督:マーティン・ブレスト 出演: エディ・マーフィ(アクセル・フォーリー)、リサ・アイルバッハー(ジェニー・サマーズ)、ジャッジ・ラインホルド(ウィリアム・ローズウッド)、ジョン・アシュトン(ジョン・タガート)、ロニー・コックス(アンドリュー・ボゴミル)、ほか
映画「ビバリーヒルズ・コップ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ビバリーヒルズ・コップ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ビバリーヒルズ・コップ」解説
この解説記事には映画「ビバリーヒルズ・コップ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ビバリーヒルズ・コップのネタバレあらすじ:起
シカゴ、デトロイトの一角、トレーラーで如何わしい商談をする男達が居ました。売り手の黒人は、コンテナに満載された煙草を売り付けようとしていました。しかしそこに警察が通り掛り話を聞こうとします。その時、買い手がトレーラーを発進させ、コンテナに黒人を積んだまま街中を走り回る逃走劇が始まります。トレーラーは衝突し停車して運転手は逃げます。荷台の黒人は警官に囲まれますが、その内一人がアクセルと呼んで彼を解放します。彼は刑事でした。アクセルは警察署に戻り、勝手な囮捜査をしたとトッド警部から叱責を受け、家に帰ります。すると玄関が空いており誰かが中に居ました。銃を抜いて警戒して入ると、冷蔵庫を勝手に漁っている男と鉢合わせします。その男は先日服役を終えた幼馴染マイキーでした。二人は飲み歩き旧交を温めます。マイキーは出所後、ビバリーヒルズで美術商をしているもう一人の幼馴染ジェニーから仕事を貰い、倉庫警備をしていたと自慢します。そして、何故か無記名債券を持ち歩いていました。アクセル達は家に帰ります。すると待ち伏せを受けアクセルは殴られ気絶します。マイキーはその男達に怯え債券を返しますが、銃で撃ち殺されました。事件現場にトッドがやってきます。アクセルはトッドに自分に捜査させろ訴えますが冷静さを欠くと却下しました。アクセルは仕方がなく代わりに休暇を申請し受理されます。アクセルは休暇でビバリーヒルズを訪れました。彼はイカサマ的な口上で高級ホテルの一室に宿を取り、ジェニーに会いに行きます。ジェニーはマイキーの死に驚きつつ、彼に世話した仕事の雇い主を教えます。アクセルはその雇い主メイトランドに会いに行き、マイキーの話を聞きます。その横にはマイキーを殺した男も居ました。メイトランドは問答無用と言った感じでアクセルを護衛に連れ出させ、窓を破って外に放り出しました。呆然とするアクセルですが、そこに警察が駆け付け彼を治安妨害で逮捕します。拘置されたアクセルを刑事のダカートとローズウッドが尋問します。二人はアクセルの素性を知り驚きつつ彼の思惑を探ろうとしますが、アクセルは惚けます。ダガートはその態度に怒り、殴り飛ばしますが、警部ボゴミルがそれを咎めます。アクセルはそんな杓子定規なやり取りに驚きますが、結局ジェニーが保証人となり、彼は釈放されました。
ビバリーヒルズ・コップのネタバレあらすじ:承
デトロイトの刑事が怪しい行動をしていると、ダガートとローズウッドが尾行を命じされます。ホテルに戻るアクセルはそれに気付き、彼等の車に悪戯を仕掛け動けないようしてまた移動します。アクセルはジェニーの案内でマイキーが警備していた倉庫を捜索します。彼はそこに撒き散らされたコーヒーに着目しました。その時、人が入ってきて、木箱から債券を取り出し、またどこかへ戻って行きました。アクセルはそれを尾行し、保税倉庫に行き着きます。彼はジェニーを追い返し、そこを詐欺的手口で捜索、先程見た木箱はまだ関税検査前だと知ります。ホテルに戻ったアクセルは、張り込んでいるダガート達を見付け、彼等の車に乗り込みます。ダガートは失尾の責任で処分を受けたと文句を言います。その対応に驚いたアクセルは、お詫びに刑事にピッタリのバーで奢ると彼等を連れて行きました。3人はストリップバーに訪れます。ダガートが目的は何だと聞くと、彼はそれとなく倉庫を捜索、コーヒーを見付けたと言いますが、ビバリーヒルズの刑事達にはなんの事か皆目検討が着きませんでした。そんなやり取りをしていると、コート姿の怪しい二人組がバーに入ってきます。アクセルはその男達の目的を察し、ダガートに一人を抑えるよう頼みます。そして彼は、酔った振りをしてもう一人に近付き、彼を怒らせショットガンを抜かせました。逆上し、強盗に来たという男の隙を突き、アクセルはショットガンを奪い取り取り押さえます。もう一人はダガートが制圧しました。
ビバリーヒルズ・コップのネタバレあらすじ:転
警察署に戻り、ボゴミルはダガート達が何故勤務中に管轄外のバーに居たのかを問い質します。それをアクセルが、自分を尾行したダガート達の大活躍だと擁護しますが、彼は正直にアクセルの手柄だと報告しました。ボゴミルは、呆れるアクセルの前でダガート達に内勤を命じます。翌日彼は、メイトランドの屋敷を監視します。尾行して来た別な刑事達は、優秀な自分達が担当になったと自慢します。そんな彼等の目の前でメイトランドの乗る車が走り去って行きました。アクセルはそれを尾行します。勿論刑事達もそれに着いて行きますが、アクセルはそれを妨害し、振り払って一人メイトランドを追います。メイトランドは高級レストランで朝食会に出席していました。そこにアクセルが現れ、彼の悪事を暴いてやると脅しを掛けます。護衛はアクセルを排除しようとしますが、アクセルは逆に護衛を投げ飛ばし、駆け付けた警官にまた逮捕されました。三度警察署でアクセルは刑事達に囲まれます。ボゴミル自らの詰問に、アクセルは目的を話し始め、債券と麻薬密輸にコーヒーの事を語ります。流石のボゴミルは、コーヒーが麻薬犬対策に使われる手だと見抜き、状況証拠は揃っている事を感じます。アクセルはどうすると聞きますが、ボゴミルは正規の手続きに乗っ取り捜査するしかないと溢します。そこに署長がやって来て、朝食会の一件をボゴミルに問い質します。署長は、上からの圧力だとアクセルを市の外れまで連行するようローズウッドに命じます。アクセルは連行するローズウッドに、今日、メイトランドの倉庫に新たな荷物がやってくると囁きます。ローズウッドは彼の言葉巧みな誘惑に抗え切れず、彼をジェニーの店に連れて言ってしまいました。ジェニーは直前にメイトランドから訪問を受け、アクセルの事を聞かれ何か不審に感じていました。そしてやって来たアクセルに自分も行くと倉庫へ向かいます。アクセルはローズウッドを車に残し、ジェニーと入ります。倉庫には新たな荷が置いてあり、それを開くと、敷き詰められたコーヒーの下に麻薬が詰まっていました。アクセルはジェニーにローズウッドを呼ぶように言いますが、そこにメイトランド手下を率いて姿を現します。
ビバリーヒルズ・コップの結末
ジェニーは、メイトランドの手下に倉庫から連れ出されます。それを見ていたローズウッドは悩んだ上、銃を抜き倉庫へ入って行きます。倉庫ではアクセルが痛め付けられていて絶体絶命でした。そこにローズウッドは警察を名乗り、抵抗するなと宣言します。相手が銃を抜いたので、ローズウッドは一人を射殺し、反撃したアクセルが他を制圧します。アクセルはローズウッドの車でジェニーを追う為にメイトランドの屋敷に向かいます。ローズウッドは倉庫に人を送るよう署に応援を頼みますが、ダガートにアクセルと一緒に居る事を悟られてしまいました。同僚刑事がローズウッドの現在地を知り、そこがメイトランドの邸宅だと知りダガートは慌てて向かいます。ダガートはメイトラン邸に忍び込もうとしているアクセル達に追い付きます。違法だと咎めますが、アクセルは鍵をピッキングし、ジェニー救出の為に中に入って行きました。ローズウッドも正義感からそれに続くというので、ダガートも仕方がなくショットガンを用意して入って行きます。ボゴミルは、部下の姿が全員見えない事に一抹の不安が過ります。メイトランドは侵入者の報告を受け、3人の始末を部下に命じました。アクセル達にメイトランドの手下が襲い掛かります。アクセル達は銃撃戦を始め、それが近隣住民により警察に通報されました。その事件の報告を聞かされたボゴミルは、そこがメイトランドの屋敷だと知らされ、苛立ちながらも大規模な増援を送り込みます。アクセルはダガート達と二手に別れ、メイトランドを追い詰めます。その頃には警察が駆け付け、手下達は制圧されました。しかし、アクセルはメイトランドに不意を突かれ腕を撃たれ、ジェニーを人質にされます。そこにボゴミルが駆け付け援護し、アクセルはメイトランドを撃ってマイキーの仇を討ちました。騒ぎの収まった現場に署長がやってきます。騒動に苛立つ署長にボゴミルは、ジェニーがメイトランドの密輸に勘付き偶々こっちに来ていたアクセルに話をし事件が発覚、調査中ジェニーが人質にされた事を知った彼等が突入、全て正当防衛の合法な捜査だと報告します。署長はその報告に満足せず、ダガートにも報告を求めます。彼はボゴミルの報告を支持し、嘘偽りがないと言いました。署長はそれならばと去って行きました。アクセルは大法螺だと笑い、ついでにトッドへの釈明も願い出て、ボゴミルは了承しました。アクセルがデトロイトに帰ります。見送りにダガート達がやって来て、彼の宿泊費を署の経費で精算します。二人に友情を感じて居たアクセルは、その証にホテルのバスローブもつけるよう言います。ローズウッドは感謝し、ダガートはアクセルに持って帰れと断ります。しかしアクセルは、自分のバックにはもう3着も入っているとこっそり告げます。車に乗り込むアクセルは、ダガート達をバーに誘います。規則がと断ろうとするローズウッドですが、少しなら良いだろうとダガートは柔軟に返事しました。そんな彼等にアクセルは、刑事にピッタリの店がある、信用しろと告げました。
「ビバリーヒルズ・コップ」感想・レビュー
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この映画「ビバリーヒルズ・コップ」は、笑い転げて、グサリと胸を刺される映画で、とても面白かったですね。
第一のポイントは、主人公を演じているエディ・マーフィのうまさ。
「48時間」「大逆転」で、大変な人気になった黒人スターで、サミー・デイビスJr以来の凄い芸人ですね。この映画での彼は、あの自動車工場と失業と犯罪の街デトロイトの刑事。
友人が殺されて、真相を探るために、カリフォルニアのビバリーヒルズに乗り込んで行く。
と言っても、上司の許可はおりっこないので、休暇をとっての単独行だ。やがて、正面に立ちはだかった巨大な犯人。デトロイトの黒人刑事の猛然たる戦いが展開するのだった——–。
デトロイトが労働者の街だとするならば、このビバリーヒルズは、超上流階級の社会。
どんより曇った北部のデトロイトの空に比べて、抜けるような青空だ。この全く場違いな舞台に飛び込んだ刑事が、ハイソサエティのスノップ共を、見事に巧みに手玉に取って見せる、その面白さ。
ビバリーヒルズじゃ、言葉もアクセントもデトロイトとは違う。
相手を見下し、体をくねらせ、小指を挙げてポーズをとる。そんなビバリー人種のいやらしさを、エディ・マーフィが、実に達者にコピーして見せるのだ。
この彼の芸こそが、この映画の見せ場とも言える”ショー”であり、ハイライトなのだ。しかし、この映画は決してそれだけのものではないんですね。
当時、33歳という若さのマーティン・ブレスト監督は、このエディ・マーフィの芸を媒体としながら、実に痛烈な文明批判のパンチを浴びせてくるのだ。
同じアメリカでありながら、金持ちは金持ちだけで、自分たちの社会を作るその差別。ビバリーヒルズの警察官に捕まって、パトカーに乗せられた彼が、「こんな綺麗なパトカー見た事ない!!」と言うあたりは、平等の国アメリカにおける自治体そのものの貧富の差が、ズバリ語られていて、大爆笑ものですね。
白人の金持ち社会であるビバリーヒルズ市では、勤務する黒人刑事までが、ビバリー・アクセントでしゃべるのだ。
頭にきたエディ・マーフィが、「黒人なら、こうしゃべれ!」と、黒人特有の訛りで、ベラベラとまくしたてる場面は、アメリカの映画館では、割れんばかりの拍手が巻き起こったそうだ。エディ・マーフィの芸にしろ、器用な風俗描写という以上に、人間の温かさが滲むものが素晴らしいと思います。
徹底的な追っ払い作戦であしらった、ビバリーヒルズの刑事たちを、土壇場でかばって泣かせるあたりのエディ・マーフィは、決して形だけの芸人ではなく、心がありますね。
笑い転げて、見過ごしてしまいかねないこの映画は、実はアメリカという国を断裁した、凄い傑作なのだと思います。
アクセル・フォーリーの軽快さがとっても好きです。どんなときも目的を見失わない代わりに手段を選ばない、破天荒さにドキドキワクワクしてしまいます。そのスタイルを崩さないまま、付き合うほど信頼されていったり愛されたりする人柄が最高にかっこいいと思います。