条理ある疑いの彼方に の紹介:1956年アメリカ映画。罪を犯したことについて「条理ある疑い」のない被告は有罪とされる。しかし冤罪で死刑になる人もいるのでは。一人の作家が死刑制度の問題点を示すために自ら偽の証拠を作って逮捕され殺人罪で裁判にかけられる…。驚きの結末を迎えるこの作品が、『激怒』(1936年)以来ハリウッドで活躍してきたフリッツ・ラングの最後のアメリカ映画になった。
監督:フリッツ・ラング 出演者:ダナ・アンドリュース(トム・ギャレット)、ジョーン・フォンテイン(スーザン・スペンサー)、シドニー・ブラックマー(オースティン・スペンサー)、フィリップ・ボーヌフ(地方検事ロイ・トンプソン)、アーサー・フランツ(ボブ・ヘイル)、バーバラ・ニコルズ(ドリー・ムーア)、エド・ビンズ(ケネディ警部補)他
映画「条理ある疑いの彼方に」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「条理ある疑いの彼方に」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「条理ある疑いの彼方に」解説
この解説記事には映画「条理ある疑いの彼方に」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
条理ある疑いの彼方に のネタバレあらすじ:極刑に反対する
新聞社社長スペンサーは作家のトムを誘っていっしょに死刑の執行に立ち会う。スペンサーは社説で死刑反対の論陣をはっていたが、有能な地方検事トンプソンは次々と死刑判決を勝ち取っていた。トムとスペンサーは無実の人間に死刑が執行される可能性があることを世に示すことができないかと話し合う。
トムはスペンサーの娘スーザンの恋人でもあった。二人は婚約するがトムは結婚は新作を書き上げてからにしたいと言う。
条理ある疑いの彼方に のネタバレあらすじ:容疑者を捏造する
バーレスクダンサー、パティ・グレイが殺害されたが警察は犯人の具体像を描けていない。スペンサーとトムは、トムを犯人に仕立て上げて判決が出てからトムが無実である証拠をスペンサーが明らかにするという手はずを考える。トムは殺されたパティと同じ店で働いているダンサーのドリー・ムーアに近づくと共に、パティ殺しの証拠を偽造していく。証拠偽造の場面はスペンサーがインスタントカメラで撮影して記録していった。しかし、トムとドリーの付き合いが新聞に書き立てられ、スーザンを怒らせてしまう。
ドリーは突然現れた親切な男、トムに疑惑を抱き始める。パティを最後に自動車に乗せた男に特徴が似ている。パティの事件を担当するケネディ警部補に相談する。トムとのドライブを警察の自動車が尾行することになる。トムがドリーの気持ちに反して寂しい道で自動車を停めた時に警部補はトムを逮捕する。
条理ある疑いの彼方に のネタバレあらすじ:スペンサーの死、そして有罪判決
トムはパティ殺しの裁判の被告となる。地方検事トンプソンが巧みに裁判をリードし、トムに不利な状況証拠が次々と出されるが、スーザンの心配をよそにトムは悠然としている。陪審員が評決を出すと予想される朝、スペンサーはトムの無実を示す証拠をもって出かけるが、彼の自動車はトラックと衝突して横転し炎上。トムは弁護士からスペンサーの死を知らされ愕然とする。トムの無実を知るのはスペンサーだけだからだ。トムはスペンサーとの計画を弁護士に話すが、一日遅れの評決では第一級殺人で有罪とされた。
条理ある疑いの彼方に のネタバレあらすじ:スペンサーの封筒
スーザンはトンプソンの部下であるボブ・ヘイルの助けも借りて、州刑務所で死刑を待つ身のトムの命を助けようとする。しかしスペンサーの撮った写真は事故の時に燃えてしまっていた。そこで父親から引き継いだ新聞を利用してトムに同情的な世論を喚起する。対抗してトンプソンは、ボブに命じてパティ・グレイとトムに過去に接点がなかったか改めて探らせる。ボブは昔からスーザンを報われることのないまま愛し続けていた。
ボブの調査によりマイク・ロビンソンという男が新たな容疑者として浮上する。しかし、4年前にロビンソンが死んでいたことが確認され、スーザンの希望はしぼむ。だが、その直後、生前スペンサーが万一のためにトンプソンに宛てて作った封筒があったことがわかる。そこにはすべての計画が書かれていた。トンプソンは州知事にトムの特赦を求める。
条理ある疑いの彼方に の結末:驚くべき告白
スーザンはトンプソンの計らいで刑務所長の部屋でトムと面会する。だが、トムが、ボブが発見したばかりの、「エマ」というパティ・グレイの本名を言ったことにスーザンは驚く。トムは形式的に昔エマと結婚していて、彼女は離婚を拒んでいた。スーザンとの結婚に邪魔なエマを殺害したことを隠すのにスペンサーとの計画を利用してしまったことをトムは告白する。
刑務所長の部屋にトムや州知事やマスコミが集まり、特赦の書類に今まさにサインが為されるようとしている。その時知事に電話がかかり、特赦は取り消され、トムは静かに独房に戻っていく。
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