弾丸を噛めの紹介:1975年アメリカ映画。馬による西部横断レースを舞台に、個性的な登場人物の人間模様を描いた異色のウエスタン。動物を愛するクレイトンは、ひょんなことから莫大な賞金が懸けられた過酷なレースに参加することになった。自然の脅威に人も馬も倒れる中、クレイトンは参加者達それぞれの心に触れていく。
監督:リチャード・ブルックス 出演者:ジーン・ハックマン(サム・クレイトン)、キャンディス・バーゲン(ケイト・ジョーンズ)、ジェームズ・コバーン(ルーク・マシューズ)、ベン・ジョンソン(ミスター)、ジャン=マイケル・ヴィンセント(カーボ)ほか
映画「弾丸を噛め」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「弾丸を噛め」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
弾丸を噛めの予告編 動画
映画「弾丸を噛め」解説
この解説記事には映画「弾丸を噛め」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
弾丸を噛め のネタバレあらすじ:過酷な横断レース
舞台は1908年アメリカ西部。新聞社の主催で、ある大きなレースが開かれようとしていました。アメリカ西部を馬で横断する過酷なレースで、優勝者には莫大な賞金が出ます。牧場で働くサム・クレイトンは、雇い主パーカーから汽車に乗せるよう言われた馬を牽いて駅を目指していました。しかしその道中、行き場をなくした仔馬を保護したことで汽車に乗り遅れてしまいます。仕方なくスタート地点まで馬を走らせることにしたクレイトン。何とか到着すると、スタート地点には既に参加者が集まっていました。レースはチェックポイントさえ通過すればコース選びは自由で、優勝者には莫大な賞金が約束されています。レース自体には全く興味の無いクレイトンですが、最年少参加者のカーボが動物を虐待している場面に遭遇し、激怒して殴りかかりました。クレイトンは動物や困っている人を放っておけない性分なのです。レース参加者である友人ルーク・マシューズも加勢し、クレイトンはカーボに仕置きを加えました。その後クレイトンはレース前に馬を疲れさせたとして、パーカーから解雇されてしまいます。クレイトンはしばらく考え、レースに参加することを決意しました。
弾丸を噛め のネタバレあらすじ:レース開幕
ついに過酷なレースが始まりました。クレイトンは馬の調子も考え、無茶な走り方はしません。そんな中、参加者の1人であるメキシコ人は、酷い歯痛を訴えていました。チェックポイントに到着したクレイトンは、レース参加者の紅一点ケイト・ジョーンズと治療に当たります。クレイトンは応急処置として、弾丸を加工して歯のカバーを作りメキシコ人に与えました。夜が明け、参加者達は様々なトラブルに見舞われながらも馬を走らせ続けます。川を筏で渡ったクレイトン達は焚き火を囲んで暖を取っていました。そこへずぶ濡れの馬が迷い込んで来ます。乗り手の老カウボーイが見当たらないことを心配したクレイトンが探しに出ると、彼は震えながら座り込んでいました。無理に川を越えようとして失敗した彼は、心臓を患っていたこともありもはや手遅れの状態でした。彼は皆が覚えていてくれるような有名人になってみたかったと呟き、息を引き取ります。最期を看取ったクレイトンは、彼の名前さえ知らないことに気付くのでした。
弾丸を噛め のネタバレあらすじ:厳しい現実
レースは最も過酷な砂漠地帯へ。カーボは躍起になって馬に鞭を入れ、衰弱した馬は命を落としてしまいます。クレイトンは馬を置き去りにして歩くカーボを発見し、追いかけて埋葬するようきつく命じました。馬を荼毘に付したカーボは自らの行いを反省し、誠実な青年へと心を成長させます。一方、マシューズはレース参加者のノーフォーク卿が落馬したところに遭遇しました。彼の馬は足を骨折したとみえ、レースへの復帰は不可能です。ノーフォーク卿はマシューズから銃を借り、「許してくれ」と泣きながら愛馬を射殺しました。その夜、チェックポイントに到着したクレイトンはマシューズから八百長を持ちかけられます。しかしクレイトンは、このレースに優勝することだけが望みだと言って断りました。ところがその後、強壮剤が混入した酒を呑んでしまいクレイトンは体調を崩します。翌朝、クレイトンは満足に歩けもしない体で馬に乗り、続々と出発する参加者の後ろをヨロヨロと追いかけました。
弾丸を噛め のネタバレあらすじ:馬を取り戻せ
ケイトは囚人達が働く鉄道工事現場にやって来ます。すると突然刑務官に銃を突きつけ、鍵を奪って囚人の1人に放り投げました。囚人の名前はスティーブ、ケイトの恋人です。ケイトははじめからスティーブを脱獄させるためにこのレースに参加したのでした。スティーブはケイトとの約束を破り、2人の囚人仲間も一緒に連れていくことにします。そこで遅れて現れたメキシコ人から馬を奪い、後続のクレイトン達に警告する彼を銃撃しました。結局クレイトン達からも馬を強奪したスティーブ達は、ケイトを連れて逃げていきます。パーカーの馬とその乗り手だけは無事でしたが、馬を取り返すまでレースは中断に。クレイトンとマシューズはサイドカー付きバイクでスティーブ達を追いかけます。カーボの加勢とケイトの協力もあり、無事馬を取り戻すことができました。
弾丸を噛め の結末:優勝者
数日に及ぶ過酷なレースのフィナーレがやって来ました。人々が押しかけ歓声を送る中、最初に現れたのはクレイトンです。しかし彼は限界に達しており、ゴール手前で落馬してしまいました。馬を牽きながら、満身創痍でゴールへ向かうクレイトン。その後ろから、こちらもボロボロのマシューズがやって来ます。クレイトンと並んだマシューズは、馬を降りて自分も歩き始めました。そして2人一緒にゴールします。周囲からは大歓声が沸き起こり、この映画も終わりを迎えます。
以上、映画「弾丸を噛め」のあらすじと結末でした。
リチャード・ブルックス監督の「弾丸を噛め」は、ジーン・ハックマン、ジェームズ・コバーン、キャンディス・バーゲンと、なかなか賑やかな顔ぶれのウエスタン・アドベンチャーだ。
カリフォルニア方面からコロラド方面に向かってのレースの話で、時は1908年、主催がデンバーの新聞社だから、当時の時点での西部への懐古趣味を盛った企画だったと想像される。
イギリスからイアン・バネンが参加するなど、国際的な顔ぶれの8人が、それぞれ自慢の馬に乗って、約1週間のレースを続ける。
そして、その間の数々の冒険と出場者たちの人間関係が描かれていく。
コースに沿って鉄道が走っているらしく、主催者は列車におさまって競争の進行状況をチェックし、落伍者は収容する。
だから、人里離れた救出不可能な荒野での冒険という切迫感がわかない。
途中で心臓が悪いベン・ジョンソンが死んだりするが、危機感よりゲームとしての興味が主体で、キャンディス・バーゲンが囚人を脱走させるために参加していたというトリック的な趣向も盛り込まれている。
血気にはやり威張りちらしていた若者ジャン・マイケル・ヴィンセントが、砂漠で馬に無理させ、死なせてしまい、ジーン・ハックマンにどやされてから、急にイエス・サーというような態度になるのも微笑ましい。
この砂漠やゴールにさしかかる場面の、真っ白に塩を噴き出した馬の描写には、感心させられた。
そして、ジーン・ハックマンが、馬をいたわるのを見たジェームズ・コバーンが、追い越せるのにわざと一緒にゴールに入るラストは、定石とわかっていても、実に後味がいい。