カセットテープ・ダイアリーズの紹介:2019年イギリス映画。1987年のイギリス。地方の町ルートンで暮らすパキスタン系移民の高校生ジャベド。ソニーのウォークマンを片時も手放さず、日々の生活の中で感じる憤りと焦燥を日記や詩に綴る毎日を過ごしていた。閉鎖的な町で受ける人種差別や、保守的な父親との確執など、彼の悩みは尽きない。そんな中である日、全ての憂鬱を吹き飛ばしてくれる、ブルース・スプリングスティーンの音楽と出会う。彼の音楽に影響を受けながら友情、恋愛、そして将来の夢へと一生懸命進む姿を描いた青春ドラマ。原作はパキスタンに生まれ、現在も英語苦ガーディアン紙でジャーナリストとして活躍しているサルフラズ・マンズールの自伝的な回顧録。物語とともに1980年代のイギリスの時代・政治背景も繊細に描いている。
監督:グリンダ・チャーダ 出演:ヴィヴェイク・カルラ(ジャベド)、クルヴィンダー・ギール(マリク/ジャベドの父)、ミーラ・ガナトラ(ヌール/ジャベドの母)、ニキータ・メータ(シャジア/ジャベドの妹)、ティーン=チャールズ・チャップマン(マット)、ロブ・ブライドン(マットの父)、ネル・ウィリアムズ(イライザ)、アーロン・ファグラ(ループス)、ヘイリー・アトウェル(クレイ先生)ほか
映画「カセットテープ・ダイアリーズ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「カセットテープ・ダイアリーズ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
カセットテープ・ダイアリーズの予告編 動画
映画「カセットテープ・ダイアリーズ」解説
この解説記事には映画「カセットテープ・ダイアリーズ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
カセットテープダイアリーズのネタバレあらすじ:起
1987年、イギリスの小さな田舎町ルートン。ここで暮らす16歳のパキスタン系移民ジャベドはこの9月からハイスクールへ入学します。同じ日に生まれた幼馴染の少年マットは彼女ができて充実した青春を楽しんでいましたが、ジャベドは孤独に寂しい日々を送っていました。
町には保守的な住民もいて、移民への偏見から嫌がらせもありました。また、パキスタンには家庭の伝統や厳しいルールがあり、憧れのロンドンに逃げ出したくてたまらないジャベド。特に父親マリクには強い反発を感じていました。
ジャベドは人種差別や経済問題、不安な政情に揺れる日々の思いを日記や詩に綴っていました。しかし、本当の自分の言葉は見つけられずにいました。
カセットテープダイアリーズのネタバレあらすじ:承
ハイスクールへ進むとジャベドの毎日は少しだけ彩りが出てきました。「経済を学びユダヤ人の真似をしろ」と言う父親の言葉をよそに、文学の授業でクレイ先生より詩を学び、これまで縁のなかった女学生とも接近できて浮足だつ半面、ここでもジャベドはほとんどの時間をひとりで過ごしていました。
そんな中、同じムスリム系である陽気なループスに声をかけられたことをきっかけに、2本のカセットテープを借りました。ブルース・スプリングスティーンのアルバム『ボーン・イン・ザ・USA』と『闇に吠える街』でした。
帰宅すると、不景気で父親が解雇されたことを知ります。母親と姉はミシンの仕事で寝る時間を惜しみ働き詰め。さらに家計は苦しくなり、父親は一層ジャベドに厳しく当たりました。鬱憤が爆発したジャベドは逃げるようにループスから借りたカセットテープを聴きました。
≪ボス≫と呼ばれる米国のミュージシャン、ブルース・スプリングスティーンの歌は、これまでジャベドが感じてきた憤りやみじめさを全て代弁するような歌詞で、心の底から奮い立たせる力強さを持っていました。
一気にブルース・スプリングスティーンの虜になるジャベドは彼の歌詞に勇気をもらい、次第に正直な自分の言葉を表現できるようになっていきました。
カセットテープダイアリーズのネタバレあらすじ:転
ジャベドは音楽の力を借りて、気になっていたクラスメイト、イライザにアタックし交際をスタートさせます。
さらには、ひそかにジャベドの詩をコンクールへ出したクレイ先生より、最後の10人に選ばれて≪ボス≫の聖地である米国ニュージャージーの大学へ講習生として行けることを知らされます。
しかし事件は起こりました。
経済はさらに悪化し、どこを探しても仕事のない中、住民たちの怒りの矛先は移民に向けられるようになりました。そんな中、姉の結婚式の移動中に父親が差別主義者のデモ行進に巻き込まれ暴行されてしまったのです。その時、ジャベドはブルース・スプリングスティーンがルートンでコンサートを行うことを知り、チケットを買いに行っていたところでした。
もちろん父親は大激怒。コンサートなど許すはずもなく、チケットはビリビリに破かれてしまいました。
夢だったロンドンの大学進学も反対され、希望を奪われたジャベドができることと言えば、詩やエッセイに思いを綴ることだけでした。
カセットテープダイアリーズの結末
そんなジャベドもハイスクールの卒業の日がやってきました。
優秀生徒として表彰され、生徒たちの前でエッセイを朗読しました。しかも途中から入ってきたのは、関係がぎくしゃくしていた父親を伴った母と妹でした。
ジャベドは朗読の中で言いました。
「ブルース・スプリングスティーンは自分の人生を生きろと言っているけれど、自分がいるのは家族のおかげだということを忘れてはいけない」と。
それを聞いた両親は涙をうかべ、息子を誇りに思いました。父親がはじめてジャベドを認めてくれた瞬間でもありました。
父親とも和解し、ジャベドはマンチェスターの大学へ、ループスはレスターの大学へと進学。
幼馴染のマットはバンド活動をし、みなが夢に向かって動き出していきました。
現在のジャベドは、ブルース・スプリングスティーンと会う夢もかなえられ、いまでもループスと交流があり、元気に活躍しています。
以上、映画「カセットテープ・ダイアリーズ」のあらすじと結末でした。
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