ブロンド・ヴィナスの紹介:1932年アメリカ映画。ゴリラの着ぐるみの中から出てくるのはマレーネ・ディートリッヒ。彼女が演じるのは強い母、そして夫と愛人の間で揺れる女。ただし、この作品から監督スタンバーグ、主演ディートリッヒの作品の人気は下降線をたどり始めた。アメリカでのキャリアをスタートさせて間もないケーリー・グラントが愛人。『風と共に去りぬ』で黒人として初めてアカデミー賞を受賞することになるハティ・マクダニエルも母子を助ける役で出演している。
監督:ジョセフ・フォン・スタンバーグ 出演者:マレーネ・ディートリッヒ(ヘレン・ファラデー)、ハーバート・マーシャル(エドワード・ファラデー)、ケーリー・グラント(ニック・タウンゼンド)、ディッキー・ムーア(ジョニー・ファラデー)その他
映画「ブロンド・ヴィナス」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ブロンド・ヴィナス」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ブロンド・ヴィナス」解説
この解説記事には映画「ブロンド・ヴィナス」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ブロンド・ヴィナスのネタバレあらすじ:起・ショー・ビジネスに復帰する妻
ドイツを徒歩旅行中のアメリカ人の学生たちが、裸で池で水浴びをしている女優たちに遭遇。男たちに気づいて彼女たちは逃げだすが、英語を話せるヘレンが、劇場に行かなければいけないから早くそこをどくようにと言う。でも学生の一人が、芝居が終わった後にぼくたちと食事をしないかと言ってなかなかどかない。
年月が過ぎ、その手に負えない学生エドワード・ファラデーと結婚したヘレンはニューヨークのアパートで、幼い一人息子のジョニーを加えて3人で、質素だが幸福な生活を送っていた。しかし、化学者のファラデーは研究で利用するラジウムによって被曝し病に侵されていた。ドイツのドレスデンにいる専門家に診せればよくなるかもしれないとわかるが、1500ドルもの治療費がかかると言われる。舞台に復帰すればお金を作れると言うヘレン。夫の反対を押し切って職を探しに行く。美しい彼女はたちまちエージェントの眼に止まり、ヘレン・ジョーンズという芸名を得て、オコーナー氏のキャバレーで彼女をフィーチャーした出し物、「ブロンド・ヴィナス」が始まる。
ブロンド・ヴィナスのネタバレあらすじ:承・夫への嘘
「ブロンド・ヴィナス」の初日は大好評。常連客の若い政治家で大金持ちの街の顔役、ニック・タウンゼントが楽屋に来る。ヘレンの事情を知った彼は小切手を切る。ヘレンは出演料を前払いしてもらったと嘘をついて夫を直ちにドイツへ旅立たせる。間もなくヘレンはキャバレーの仕事を辞め、ニックがあてがったアパートでジョニーと暮らし始め、元のアパートには手紙を取りに行くだけになる。
ファラデーから病が癒えて一か月後に帰るという手紙が来る。夫は私を必要としているというヘレン。ニックとヘレンは別れを前に二週間二人で旅行をする。その後ニックはヘレンを忘れるまで滞在するつもりでヨーロッパに旅立つ。ところがファラデーの帰国が二週間早まっていた。自宅に帰っても妻と息子はいない。ファラデーはオコーナーのキャバレーに行って妻が既に仕事を辞めていたことを知る。夫が帰宅していると知らずに手紙を取りにきたヘレンから事実を聞き出したファラデーは、妻の愛人の金で命拾いしたということに自尊心を傷つけられる。腐った母親に息子を任せられないと、ジョニーを自分に引き渡すように言う。ジョニーを奪われたくないヘレンは夫の前から姿を消す。
ブロンド・ヴィナスのネタバレあらすじ:転・息子との逃亡生活
ファラデーはヘレンとジョニーの捜索願を出す。ヘレンはボルチモアのキャバレーで歌っていたが、客の一人が新聞に載っている彼女の写真に気づく。ヘレンはジョニーを連れてノーフォーク行きの列車に乗るか、ファラデーはそこにも捜しに来る。もうキャバレーの仕事は得られない。ヘレンはどんどん困窮し、それでも逃亡を続ける。
だが、最後に生活に限界を感じ、南部の町で彼女を捜す刑事の前に姿を現す。その町にやってきたファラデーはヘレンが用立てた1500ドルを返してジョニーを連れて列車で去っていく。ヘレンはジョニーに後で来ると嘘をつく。その後ヘレンは浮浪者向けの宿泊所で、明日自殺するという女に1500ドルをあげ、もっといいベッドで寝てみせると言って出ていく。
ブロンド・ヴィナスの結末:息子の元に帰る
月日が経つ。5か月前に南米から来たというヘレン・ジョーンズはパリの劇場で歌い大成功をおさめていた。ある夜、彼女は観客の中にニック・タウンゼンドを見出す。ニックとヘレンは婚約しアメリカへ帰国する。過去を断ち切りジョニーにも会うまいと言うヘレンだったが、ジョニーが彼女の人生の全てだったことを知るニックは、ヘレンをファラデーのアパートへ連れていく。母親を忘れるようにジョニーに教育したと言って息子をヘレンに会わせようとしないファラデーだったが、ニックが巧みに説得してヘレンが息子と会うことを許す。
ヘレンが息子の体を洗ってあげているうちにニックは帰る。ジョニーは両親に、二人のなれそめ、ヘレンたちの水浴びを学生たちが見つけた日の話をさせたがる。ジョニーをドイツ語の歌で寝かしつけるヘレンと、彼女を見つめるファラデーの間に愛がよみがえるのだった。
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