血と砂の紹介:1941年アメリカ映画。貧困から身を起こし親譲りの才能でスター闘牛士となる青年。だが彼を美しい罠が待っていた。1922年に伝説的美男スター、ルドルフ・ヴァレンティノ主演で製作された『血と砂』のリメイク(1921年の『椿姫』でヴァレンティノの相手役だったナジモヴァが主人公の母親を演じている)。主演は20世紀FOX社の二枚目アイドルにして名優のタイロン・パワー。可憐なリンダ・ダーネルとテクニカラーに美貌の映えるリタ・ヘイワースが主人公をめぐって争う。闘牛シーンはメキシコの闘牛場で撮影された。メキシコで異色のアメリカ人闘牛士だったバッド・ベティカーが技術顧問となり、これをきっかけに映画界に留まり、やがて西部劇等の脚本家・監督として活躍することになる。アーネスト・パーマーとレイ・レナハンが第14回アカデミー賞撮影賞(カラー)を受賞。
監督:ルーベン・マムーリアン 出演:タイロン・パワー(ファン・ガイヤルド)、リンダ・ダーネル(カルメン)、リタ・ヘイワース(ドニア・ソル)、ナジモヴァ(セニョーラ・アウグスティアス[ファンの母])、アンソニー・クイン(マノロ・デ・パルマ)、J・キャロル・ナイシュ(ガラバト)、リン・バリ(エンカルナシオン[ファンの姉])、ジョン・キャラダイン(ナショナル)、ほか
映画「血と砂(1941年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「血と砂(1941年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
血と砂の予告編 動画
映画「血と砂(1941年)」解説
この解説記事には映画「血と砂(1941年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
血と砂のネタバレあらすじ:起
闘牛に夢中の少年ファン・ガイヤルドは、夜中こっそり家を出て酒場へ向かう。そこには高名な闘牛評論家クロと、第一人者の闘牛士ガラバトがいた。
過去の偉大な闘牛士と比べてガラバトを称えるクロに、ファン少年は、ガイヤルド(闘牛場で亡くなった少年の父)が上だと口をはさみ、賛同する人たちもいたが、クロはガイヤルドを否定し、臆病者呼ばわりする。
怒ったファンはクロの頭を酒瓶で殴って、乱闘状態となった酒場から逃げた。ファンがその夜そこから向かったのはミウラ侯爵所有の牧場。一匹の牛を相手に闘牛の練習をする。
牧場の管理人はいつものように不法侵入して牛を勝手に相手にしているファンを見て「また来たのか」とあきれるが、たまたま牛を選びにきていたドン・ホセは、少年の父親譲りのたぐいまれな才能を認め、いつか君のマネージャーをしようと言う。
そしてファンは管理人の娘カルメンに、闘牛士になるため家出してセビリアからマドリードに行くことを話し、有名になって帰ったら結婚を申し込むと誓う。
翌日ファンは、酒場で床掃除の仕事中である、息子が闘牛士になること望まない母に密かに別れを告げ、マノロ始め4人の仲間とマドリードへ向けて旅立った。ファンが馬に乗り、他は徒歩である。
血と砂のネタバレあらすじ:承
10年後、闘牛士(マタドール)として活躍するファンは、かつていっしょにセビリアを出た仲間たちを助手として従えて汽車で帰ってきた。駅では母に迎えられる。そして姉とその婚約者に事業を始める資金を出し、今や落ちぶれて物乞いまでしているガラバトに出会い彼を雇う。そしてカルメンとの再会を果たす。
だが、読み書きのできないファンがクロの書いた新聞記事をカルメンに読んでもらうと、ファンを絶賛していると思っていた記事が酷評であったことがわかる。クロを見返してやることをファンは心に誓う。
ファンは闘牛士として活躍を続け、今やクロでさえファンの足元で彼を賞賛するようになる。ドン・ホセがマネージャーとなり、多くの取り巻きがファンの周りにいる。しかしガラバトはファンの身の回りの世話をしながら他の人には言えないファンの弱音を聞いていた。そして妻カルメンは夫の闘牛は見ず、ひたすら聖母に夫の無事を祈っていた。
故郷の闘牛場に凱旋したファンは、闘牛場の礼拝堂で助手たちとお祈りをした後、礼拝堂に美しい女性を見出す。彼女は闘牛場でもひときわ目立つ、ミウラ侯爵の姪でパリ帰りの恋多き女、ドニア・ソルだった。ファンは歴史に残る闘牛を披露して仕留めた牛の死を彼女に捧げ、帽子を彼女に投げた。
血と砂のネタバレあらすじ:転
翌朝、ドニアから来た手紙をカルメンがファンに読む。帽子を取りに来るようにという招待状だった。無関心をよそおいカルメンの前で手紙をバラバラにちぎってみせたファンだったが、結局ドニアの屋敷に行ってしまう。
ディナーの後、他の招待者が音楽会に行き、屋敷にドニアとファンだけが残る。ドニアのギターの弾き語りを聴いているうちにファンは眠ってしまう。目覚めたファンが屋敷の中を歩くともうドニアは寝室で休んでいた…。
帰りがおそくなったファンは妻に高価なネックレスをもっていくのだった。
ファンはドニアの屋敷に入り浸る。そしてファンの浪費により彼の家の家計は火の車となり、カルメンは義姉夫婦と喧嘩になる。カルメンは決意してドニアを訪れ、夫を返してほしいと頼む。だが、妻が来ているとは知らないファンがドニアに熱いキスをするのを見てしまう。
妻を傷つけてしまったのに気づいたファンが家に帰ると、カルメンはネックレスを置き放して実家に帰っていた。ファンは姉夫婦やガラバトを追い出し、ドニアと別れることを勧めるマネージャーのドン・ホセも首にしてしまう。
そして闘牛場では、頼りになる助手のナショナルがファンをかばって牛の角に突かれて死んでしまった。
血と砂の結末
ファンの助手をやめてマタドールとなったマノロは、今やクロも高く評価する実力を身につけた。セビリアの酒場にドニアを連れて入ったファンはマノロと再会する。だが、ドニアがマノロを相手にダンスをするのを見て、彼女の心変わりに腹を立てて酒場を出てしまう。
ファンの屋敷にはもう母しかいない。その屋敷も立ち退きを迫られていた。母は、父と同じ運命をたどりつつある息子に闘牛をやめてほしいと言う。
そしてカフェではクロが、ファンの命も次の日曜日までと語っていた。クロがファンは父親同様の臆病者と言うのに聞き及んで、ファンはクロの顔にワインをかけるのだった。
その日曜日。いつものようにファンは助手たちと共に礼拝堂でイエスに祈りを捧げるが、祈りが終わった後、そこに妻カルメンがいるのに気づく。ずっと彼のために祈っていたカルメンにファンは、今日で闘牛をやめると告げる。
闘牛場で観衆の期待はファンよりもマノロに集まる。ドニアもマノロが投げたマントを受け取る。しかし、落ち目と思われていたファンの全盛期に戻った妙技に、クロもドン・ホセも目を見張ることとなる。
だが、観客の拍手に答えてほほ笑むファンの背中を突然牛が突いた。ファンが闘牛場から運び出された後、悲劇を側で見ていたガラバトは、牛でなく、あの観衆こそ獰猛な獣だと叫ぶ。
礼拝堂でカルメンに見守られてファンが息を引き取った頃、その観衆の歓呼にマノロが応えている。だがマノロが立っている側で、砂はファンの血を吸ってまだ赤いままだった。
以上、映画「血と砂」のあらすじと結末でした。
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