ブルースチールの紹介:1990年アメリカ映画。病んだ殺人鬼に魅入られた女性警官が、彼の策略で苦境に立たされ、身近な人々が犠牲になる中で、一人銃を手に対決するサスペンス。
監督:キャスリン・ビグロー 出演:ジェイミー・リー・カーティス、ロン・シルヴァー、クランシー・ブラウン、ルイーズ・フレッチャー、エリザベス・ペーニャ、フィリップ・ボスコ、ケヴィン・ダン、トム・サイズモア、リチャード・ジェンキンス、ほか
映画「ブルースチール」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ブルースチール」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ブルースチール」解説
この解説記事には映画「ブルースチール」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ブルースチールのネタバレあらすじ:起・魅入られた女警官
子供の頃から警察官になることが夢だったメーガンは、ポリス・アカデミーを卒業し、晴れて警察官としてニューヨーク市警に配属されるが、初めてのパトロールでスーパーマーケットの強盗事件に出くわす。銃を向けられたメーガンは犯人を射殺するが、現場に居合わせたトレーダーのユージンによって犯人の銃が持ちさられたため、正当防衛と認められず、停職処分となってしまう。
ブルースチールのネタバレあらすじ:承・殺人鬼の罠
銃を持ったメーガンの姿に魅せられたユージンは、深夜手に入れた銃で思わず通りがかりの人間を射殺する。快感を覚えたユージンは薬きょうにメーガンの名前を彫り、無差別殺人に走る。殺人課の捜査により薬きょうからメーガンの名前が出たことで、彼女は殺人課の刑事ニックから監視を受けることになる。ある日メーガンは偶然を装ったユージンと出会い、彼に惹かれるようになるが、付き合いが深まる中ユージンはメーガンに強盗を射殺する彼女を見て、銃を持ち出したことを告白する。
ブルースチールのネタバレあらすじ:転・挑発
一連の殺人がユージンの犯行だと確信したメーガンは彼を逮捕、連行するが、自白だけで凶器の銃も見つからないためユージンは釈放される。無力さに打ちひしがれるメーガンは自宅を訪れた親友トレーシーに癒されるが、突如現れたユージンにトレーシーはメーガンの目の前で殺されてしまう。しかし後ろから羽交い絞めにされ、直後に殴られて気を失っていたためにまたしても確たる証拠がなく、警察の協力が得られないままメーガンは唯一自分を信じてくれるニックとともにユージンを監視する。
ブルースチールの結末:銃弾にこめた決意
監視の結果、銃は近くの公園に隠していることを突き止め、張り込んでいたメーガンは現れたユージンと打ち合いになり、傷を負わせたものの取り逃がしてしまう。疲れきったメーガンをニックは部屋まで送るが、そこに潜んでいたユージンにニックが撃たれてしまい、メーガンも襲われる。今度こそは逃げる姿も目撃され、ユージンの犯行が明らかになったが、自分の手で終わらせたいメーガンは病院を抜け出し、街を歩いてユージンをおびき出す。現れたユージンと激しい銃撃戦の末、メーガンは自らの手でユージンを射殺する。
銃がこんなにも魅惑的でエロティックな存在だなんて、今まで全然知らなかった。
そして、一人の人間の運命ぐらい、あっさりとねじ曲げてしまうほど妖しく美しい武器だということも。
このキャスリン・ビグロー監督の「ブルースチール」は、そんな拳銃に魅入られてしまった男と女の物語だ。
舞台はニューヨーク。他のどこでもなく、24時間緊張を強いられ、孤独な人間の多いこの街だからこそ起こった出来事だ。
主役のジェイミー・リー・カーティスが実にチャーミングだ。
タフで腕のいいポリスウーマンでありながら、素顔は少女のようにナイーヴな女性を、まるで自分の地であるかのように演じきっている。
骨格美とでも呼びたくなるようなスラリとした肉体を、ブルーの制服に包んだ彼女の凛々しさといったら、比べようもないくらいに決まっている。
メーガン・ターナー(ジェイミー・リー・カーティス)は、ポリス・アカデミーを卒業して生涯の夢だった警察官となった。
パトロールの第一夜、スーパーマーケットの押し入り強盗を発見した彼女は、正当防衛で強盗を撃ち殺すのだった。
しかし、犯人の持っていた拳銃は、事件現場から忽然と消えていたのだ。
そして、動機なき殺人事件が発生する——。
アンバランスな魅力をたたえた彼女が、目の前で強盗を撃ち殺す。轟音、硝煙の匂い、飛び散る鮮血、そして死体。
毎日、神経をすり減らして都会で生きてきたロン・シルヴァー扮するビジネス・エリートが狂ってしまったのも、決して不可思議なことではないと思う。
なぜなら、我々は拳銃で人が殺される瞬間を目撃したことはないのだ。
だから、もし、実際にそういう場面に出くわした時、自分が正常でいられるかどうかなんて、いったい誰が断言できるというのだろう。
そのあたりをヒリヒリするような皮膚感覚で、しっかりと描くことで、この映画は単なるアクション映画とは一線を画していると思う。
ブルーの光に彩られた夜のシーンが、実に美しい。
数分後、わが身にどんなことが起こっていてもおかしくはないようなマンハッタンの夜を、ハリウッドを代表する女流監督のキャスリン・ビグローは、テンション高く、それでいて幻想的に描いている。
とにかく彼女の作る映画は、ストイックでエロティックで、そしてテクスチュアーを感じさせる絵作りになっていて、いつ観ても私は魅了されてしまうのだ。