女はそれを待っているの紹介:1958年スウェーデン映画。産科を舞台に、3人の女性の妊娠・出産を巡るドラマを描いた名作。妊娠2ヶ月目で流産してしまったセシリアは、夫に愛されていないと確信し別れを切り出した。セリシアが入院した産科の病室には、2人の妊婦がいる。陽気なスティーナは愛し合う夫と共に子どもの誕生を心待ちにしていた。まだ若いヨーディスは、望まぬ妊娠をしたために母になる覚悟が出来ていない。それぞれに妊娠・出産について思いを抱える3人。そしてついにスティーナが産気づくのだが。監督を務めるのは、「第七の封印(1956年)」「野いちご(1957年)」等で知られる巨匠イングマール・ベルイマン。
監督:イングマール・ベルイマン 出演者:イングリッド・チューリン(セシリア・エリウス)、エヴァ・ダールベック(スティーナ・アンデション)、ビビ・アンデショーン(ヨーディス)、マックス・フォン・シドー(ハリー・アンデション)、バルブロ・ヒオルト・アフ・オルネス(ブリッタ)ほか
映画「女はそれを待っている」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「女はそれを待っている」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
女はそれを待っているの予告編 動画
映画「女はそれを待っている」解説
この解説記事には映画「女はそれを待っている」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
女はそれを待っているのネタバレあらすじ:3人の妊婦
舞台は1950年代のスウェーデン、とある病院の産科。妊娠2ヶ月目のセシリア・エリウスが救急車で運ばれて来ます。自宅で突然出血してしまい、夫のアンデシュに付き添われ急いでやって来たのでした。彼女は不幸にも流産してしまい、掻爬手術を受け入院することになります。
セシリアが運ばれた病室には、2人の妊婦がいました。陽気なスティーナ・アンデションと、まだ若いヨーディスです。激痛に悶えるセリシアをスティーナは心配し、色々と世話を焼いてくれました。痛みで意識が朦朧とする中、セシリアは看護師のブリッタに縋り付き心の内を吐き出します。
本当は、アンデシュは子どもを望んでいないこと。自分は弱く、妻としても母としても足りないものが多過ぎること。そして口にこそしないものの、アンデシュは自分を愛していないこと。泣きじゃくるセシリアをブリッタは優しく宥めます。
その後面会に現れたアンデシュに、セシリアは自分の気持ちを初めてぶつけました。彼を自由にし、幸せにしたいからと離婚を望むセシリア。アンデシュは反論しようとしますが聞き入れて貰えず、この日は仕方なく帰って行きました。
女はそれを待っているのネタバレあらすじ:それぞれの事情
ヨーディスは子どもの父親であるターゲ・リンディンに電話をかけ、面会に来て欲しいと頼みます。しかしターゲは迷惑そうで、退院した後何とかすると言うだけでした。ヨーディスはまだ若くして望まぬ妊娠をし、ターゲからは捨てられ、未婚の母になる覚悟も持てないままでいました。皮肉なことに彼女の子どもは順調に育っています。
女性医師から出産前後のサポート機関を紹介されますが、出産を強制する気かと喚き散らしてブリッタに泣きつきました。ブリッタはヨーディスを慰めながら、赤ん坊は特別な存在で奇跡なのだと話します。しかしヨーディスにとっては気持ちが悪く、可哀想な存在でしかありませんでした。ヨーディスは自分など生まれて来なければ良かったと涙を流します。
一方のスティーナは赤ん坊の誕生を待ち望んでいました。彼女の赤ん坊はなかなか生まれないため、医師達も出産を促す処置を始めることにします。面会時間になるとスティーナの夫ハリーがいそいそとやって来ました。ハリーも子どもの誕生を待ち望んでおり、準備に余念がありません。夫婦はこれから先の幸福な未来について、夢を膨らませていました。
女はそれを待っているのネタバレあらすじ:ヨーディスの苦しみ
その夜、ついにスティーナが産気づきました。陣痛が始まり、分娩室に運ばれます。セシリアとヨーディスも目を覚まして見送りました。すっかり目が冴えてしまったヨーディスはセシリアに話しかけます。ヨーディスは子どもなど望んでおらず、出産する気もありません。それでも現実は彼女を置き去りにして進んでいってしまいます。
膨れ上がる不安と自己嫌悪に泣き出してしまうヨーディス。彼女は田舎暮らしを嫌い、両親の反対を押し切って都会に出て来ました。特に母親からは必ず間違いを犯すからと猛反対され、「子連れで帰ってこないで」とまで言われたそうです。セシリアは優しい声で、母親なら娘を心配して当然だと語ります。それでも最後には、娘を受け入れるものだと。
ヨーディスは母の予想通りになった自分を恥じて妊娠を両親に知らせていませんでした。ターゲは流産させようとして、ヨーディスに酒や激しい運動を強いたそうです。ヨーディスは訳が分からないまま従い出血して入院しました。二度とあんな真似はしないと言って泣き伏すヨーディス。セシリアは母親に相談してみるべきだと諭します。
女はそれを待っているのネタバレあらすじ:悲劇
スティーナは激しい陣痛に苦しんでいました。駆けつけた医師メリンは、出産は難しいと判断し麻酔をかけることにします。スティーナは子どもを傷つけないために、鉗子は使わないでくれと最後まで叫んでいました。
翌朝、人形のような顔をしたスティーナが病室に戻って来ました。彼女の子どもは長い出産に耐えられず、死亡してしまったのです。スティーナはコップの水を取ろうとして震える手を伸ばしました。それに気付いたヨーディスが手を差し伸べようとすると、スティーナはその手を勢いよく叩き落とします。スティーナは顔を覆って絶望に沈み、セシリアとヨーディスも深く悲しみました。
女はそれを待っているの結末:それぞれの明日
退院の許可が下りたヨーディスはブリッタのところへ行き、母親に電話をするのでそばにいて欲しいと頼みます。勇気を振り絞って母に妊娠を告げると、「早く帰っておいで」と言われました。受け入れて貰えたことにヨーディスは喜び、ブリッタに抱きつきます。ヨーディスは1人でも子どもを生み、育てていく覚悟を決めました。明るい笑顔を見せた彼女はブリッタに礼を言い、退院の準備を進めます。
その頃、セシリアのところにはアンデシュの姉が面会に訪れていました。離婚を考え直して欲しいと話す義姉。孤独を望むセシリアに、真の孤独とは綱渡りと同じなのだと諭します。セシリアは納得こそしませんでしたが、アンデシュと話し合うことを約束しました。
荷物を纏めたヨーディスは、故郷に帰るべくセシリアに別れを告げます。スティーナはずっとベッドから起き上がりませんでした。それぞれが妊娠を経て変化した心を抱きながら、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「女はそれを待っている」のあらすじと結末でした。
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