散り行く花の紹介:1919年アメリカ映画。トーマス・バークの短編小説「中国人と子供」を映画化。無垢な少女と中国人青年の美しくも儚い恋を描いたサイレント映画。仏教を広めるため渡英した中国人青年チェン・ハンは、挫折を味わい中国人街で阿片を吸う生活を送っていた。そんな折、彼は美しい少女ルーシーに恋をする。ルーシーは父バトリングから凄絶な虐待を受けており、笑うことすら出来なくなっていた。チェンは家から逃げ出したルーシーを匿い、2人は心を通わせる。しかし居所がバトリングにばれてしまい、ルーシーは連れ戻されてしまうのだった。
監督:D・W・グリフィス 出演者:リリアン・ギッシュ(ルーシー)、リチャード・バーセルメス(チェン・ハン(イエローマン))、ドナルド・クリスプ(バトリング・バロウズ)、アーサー・ハワード(バトリング・バロウズのマネージャー)、エドワード・ペイル・シニア(イーヴィル・アイ)ほか
映画「散り行く花」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「散り行く花」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
散り行く花の予告編 動画
映画「散り行く花」解説
この解説記事には映画「散り行く花」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
散り行く花のネタバレあらすじ:起・夢破れた青年と薄幸の少女
舞台は20世紀初頭の中国、条約港の海岸通り。バカ騒ぎを繰り広げるアメリカ水兵を見ていた中国人青年チェン・ハン(イエローマン)は、外国に平和なブッダの教義を広める必要を感じていました。「暴力に暴力で返してはいけません」と諭すも全く意に介さない水兵達に、その思いはますます強くなります。
チェンはついに渡英し、ロンドンで布教活動を始めました。数年後、彼の姿はライムハウス(中国人街)地区にありました。布教に失敗したチェンは気力をすっかり無くしてしまい、今は中国雑貨店を営みながら阿片や賭博に溺れています。
ライムハウスには、ボクシング選手のバトリング・バロウズとその娘ルーシーも暮らしていました。バトリングは大酒呑みで女遊びが激しく、それをマネージャーからいつも注意されています。マネージャーからの苦情はバトリングを苛立たせ、その怒りはルーシーにぶつけられていました。
鬱憤晴らしに殴られ怯えるルーシーは、もう自然に笑うことさえ出来ません。バトリングから笑えと命令されると、彼女は指で口角を上げ、目に涙を溜めながら無理やり笑顔を作っていました。
散り行く花のネタバレあらすじ:承・小さな希望
チェンは店の外を歩くルーシーを度々目撃し、恋をしていました。それを面白そうに観察しているのは、イーヴィル・アイという男です。彼は買い物をしているルーシーに強引に声をかけ、慌てて止めに入ったチェンをニヤニヤと笑いました。
ルーシーが帰宅すると、酷く苛立ったバトリングが待ち構えていました。彼はまた酒場にいたところをマネージャーに注意され、半ば強制的に帰宅させられたのです。バトリングはめちゃくちゃにルーシーを鞭打ち、来たる試合のために川向こうのトレーニング宿舎に向かいました。
家に1人残されたルーシーは、暴力に耐え切れず逃げ出します。夜の町をフラフラと歩き、チェンの店に倒れ込みました。チェンは優しい笑顔を浮かべ、ルーシーの傷の手当てをしたり、2階の住居部分に案内して寝かせてやったりします。
生まれて初めて与えられる親切に、ルーシーの怯えた心には温もりと光がもたらされました。チェンはルーシーを美しく着飾ります。鏡で自分の姿を確認したルーシーは驚き、初めて自然な笑顔を浮かべました。
散り行く花のネタバレあらすじ:転・露見
束の間の安らぎを得たルーシー。しかしチェンの家で匿われているところを、バトリングの友人に目撃されてしまいました。友人は急いでバトリングに報告します。外国人を嫌悪しているバトリングは、ルーシーがチェンと関係を持ったと考え激怒しました。
ルーシーはチェンからプレゼントされた花や人形に囲まれ、彼のベッドで穏やかに眠っています。チェンが買い物に出かけて不在の時、バトリングがマネージャー達と雑貨店に乗り込んで来ました。ルーシーは驚き、チェンとは何もないと必死に訴えます。
しかしバトリングは聞き入れず、めちゃくちゃに暴れ回りました。騒動を知ったイーヴィル・アイは、愉快そうに買い物中のチェンに報告します。チェンは慌てて家に戻りましたが、ルーシーは連れ去られた後でした。チェンは絶叫し、銃を手にルーシーの家へ向かいます。
散り行く花の結末:悲しい別れ
家に連れ戻されたルーシーは、筆舌に尽くし難い暴行を受けます。酷い傷を負った彼女はベッドにぐったりと横たわり、チェンに貰った人形を抱きました。そしていつものように指で無理やり笑顔を作り、そのまま息絶えてしまいます。
駆けつけたチェンは遺体を発見して絶望しました。そこに別室にいたバトリングが現れます。チェンはこの場に不似合いな笑顔を浮かべました。そして取り出した銃でバトリングを射殺し、ルーシーを自宅に連れ帰ります。
物言わぬルーシーをベッドに寝かせ、花を添えるチェン。彼は小さな仏像の前に跪き、ナイフを取り出しました。チェンがナイフで自ら命を絶ち、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「散り行く花」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する