蝶の舌の紹介:1999年スペイン映画。学校へ上がったモンチョ。好奇心の強い彼をグレゴリオ先生はいくらでも教えた、しかし時代はスペインの動乱期へと突入していく。病弱な少年が優しい先生との交流を通して成長する姿と、スペイン内戦という荒波にもまれて迎える2人の悲劇を描く感動ドラマ。
監督:ホセ・ルイス・クエルダ 出演: フェルナンド・フェルナン・ゴメス、マヌエル・ロサノ、ウシア・ブランコ、アレクシス・デ・ロス・サントス、ゴンサロ・ウリアルテ、タマル・ノバス、ほか
映画「蝶の舌」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「蝶の舌」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「蝶の舌」解説
この解説記事には映画「蝶の舌」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
蝶の舌のネタバレあらすじ:起・初めての学校
体罰が怖くて学校へ行きたくないとごねたモンチョは初めてのクラスで、からかわれ飛び出してし夜まで森に隠れてしまう。翌日、すでに字の読めるモンチョが港でアメリカ行きの船を探していたと話していると、グレゴリオ先生が、謝りにやってくる。そして、モンチョは先生の隣で授業を受け始めたがすぐに生徒の中に馴染んでいった。そんな中、アルベリーノが、息子に算数を教えるようにと、鳥を置いていった。先生は貰えないと息子に持って帰らせた。先生の授業にモンチョはとても満足していたが、母親は先生がアテオ“無神論者”の噂があると心配していた。その頃、スペイン国内は共和党か王党派かと何かと不安定だった。ある日、モンチョは友達と酒屋で女性について話していた男を追って、彼らが納屋で抱き合っているのを覗き見した。
蝶の舌のネタバレあらすじ:承・グレゴリオ先生とモンチョ
グレゴリオ先生は、生徒には絶対に手を上げない人で、生徒が騒いでいても静かに黙って、子供たちがおとなしくなるのを待っていた。校庭でモンチョがクラスメイトと喧嘩をした時も、一方的に叱ることはせずに、二人が仲直りの握手ができるようにした。そんな先生は張るが来ると郊外に出て生物の授業をするのだと言って、いろんな生き物の話を始めた。モンチョは先生の話に興味津々だった。兄が町の楽団にサックスで誘われ、カーニバルの舞台に立った。その時は吹くふりだけだったが、モンチョはアウローラとその曲に乗せて踊った。しかし突然の嵐でカーニバルは中止になってしまう。春、課外授業で森へ行き、先生が蝶の舌の話を始めると、モンチョは喘息の発作を起こしてしまう。先生はとっさにモンチョを水に入れその場をしのいだ。仕立てやをしてるモンチョの両親は、先生は何度も断ったが、お礼に新しいスーツを作ってモンチョに届けさせた。先生は家で若くして亡くなった妻の話をし、宝島の本をモンチョに貸し、虫取り網をくれた。
蝶の舌のネタバレあらすじ:転・父の隠し事、兄の恋
ある夜、母親が死んだと女性がやってくる、彼女は父親に葬儀と棺のためのお金を無心した。彼女がいつか覗き見た女性カルミーニャだと気付いたモンチョは、彼女の名前を兄に教える代わりに、彼女が異母姉だと知った。カルミーニャの母の葬儀を見た帰り、先生に会ったモンチョは、人は死ぬとどこに行くのかと尋ねた。すると、先生はあの世に地獄はない、人間の残酷さが地獄を作る、ただしこれは秘密だと、モンチョに話した。町で共和国のお祝いをしていると、治安警察がやってくるが、まだ大丈夫だった。そんな折、兄の楽団が外国へ行くことになり、モンチョもついていく事になった。二人が滞在したのは、ネナと言う話せない少女のいる家で、彼女は子供の頃狼に背中を噛まれて以来声が出ないと家主は言った。どうして娘が中国人なのかと兄が尋ねると、彼女は娘ではなく妻だった。ネナに恋心を抱いていた兄は、祭りの演奏中にネナがいるのを見つけると、ソロを弾き彼女へ贈った。気づいた家主は、彼女を連れ帰った。
蝶の舌の結末:グレゴリオ先生の引退式
学期末、グレゴリオ先生の引退式で、先生が自由について話し、子供たちに最後の言葉贈ろうとすると、村長は息子を連れて出て行った。式が終わると、先生はモンチョに頼んでいた顕微鏡がやっと届いた、これで顕微鏡がないと見えない蝶の舌を見れると、夏になると二人で虫取りに出かけた。そこで、モンチョが川で遊ぶアウローラを見つけ戸惑っていると、メスに花を贈るティロノリンコを例に挙げて、彼女に花を渡してくるように言った。そしてモンチョがに花を渡すと、アウローラは頬にキスをした。酒場の大人たちが政治の話しかしていないのでモンチョが友達と帰ろうとすると。その途中で先生が具合悪そうなのを見かけ、カルミーニャの所に通っていた男は酔っぱらったまま彼女の愛犬を殺した。ある朝、アフリカで戦争が始まったことを知ったモンチョの家族は、共和党側であることを隠すため、新聞や党員証を燃やし、モンチョには王党派ではないグレゴリオ先生にスーツは作っていないことにすると言った。モンチョが宝島を読み終わった頃だった、夜に町から人が連行されてゆくのを見てしまう。翌日広場に集まった住民たちは、反乱分子とされてトラックに乗せられる人々に汚い言葉を投げかけ、母親もそうするようにモンチョに言った。最後にトラックに乗ったグレゴリオ先生に、モンチョはアテオと叫ぶが、他の声に混じってティロノリンコ、蝶の舌と叫びながらトラックを見送った。
以上、映画 蝶の舌のあらすじと結末でした。
蝶の舌のレビュー・考察:モンチョの中にグレゴリオが残したもの
最後のシーンで、モンチョは最初こそアテオと叫ぶが、トラックを追いながら叫ぶのは、難しい鳥の名前や先生に教わった専門用語だった。それは二人にしかわからない暗号のような物だろう。そんなモンチョの姿は、これから内戦の混乱に入るスペインにあって、きっと彼が大衆に流されることがないだろう希望のように見える。
「蝶の舌」感想・レビュー
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こんな素晴らしい老先生が日本にも居たらいいな!
体の弱い少年と優しい老先生の交流を描いたほっこりムービーかと思いきや、物語は意外な方向へと進んで行きます。戦争が仲の良い二人を引き裂きます。でも、体は離れ離れになっても、二人の心は繋がっています。少年が、最後、老先生に二人の間にだけ通じる暗号の言葉を言うシーンでは、どっと涙が溢れ出ました。「周りに流されることなく、きちんと自分の考えと意志をもって人生を生きてほしい」と老先生は教えてくれた気がします。お子さんに是非見てほしい映画です。