黄昏の紹介:1951年アメリカ映画。職を求め、シカゴへやってきた娘キャリーは劣悪な職場環境で怪我を負い、居候先の姉夫婦の家にも居づらくなってしまう。行き場を失ったキャリーは口説いてきた会社経営者チャールズのもとに身を寄せる一方で、高級レストランのオーナー、ジョージにも惹かれていき…。「ローマの休日」の名匠ウィリアム・ワイラーが描く叙情的メロドラマ。イギリスが誇る名俳優ローレンス・オリヴィエが若き女性との出会いによって人生を破滅させていく初老の紳士役を魅力的に演じています。
監督:ウィリアム・ワイラー 出演者:ローレンス・オリヴィエ(ジョージ・ハーストウッド)、ジェニファー・ジョーンズ(キャリー・ミーバー)、ミリアム・ホプキンス (ジュリー・ハーストウッド)、 エディ・アルバート(チャールズ・ドルーエ)、ベイジル・ルイスディール(ミスターフィッツジェラルド)、ほか
映画「黄昏(1951年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「黄昏(1951年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「黄昏(1951年)」解説
この解説記事には映画「黄昏(1951年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
黄昏のネタバレあらすじ:起
就職のため故郷を出ることになった田舎娘のキャリー・ミーバーは、家族に別れを告げ、シカゴに向かう列車の中にいました。そんな彼女に声をかけてきた男がいました。男の名はチャールズ・ドルーエ、シカゴで工場を経営するやり手実業家でしたが、どこか軽薄な雰囲気の漂う男でした。警戒を見せるキャリーに、チャールズは何か困ったことがあれば連絡してほしいと名刺を渡しました。
シカゴへ着いたキャリーは姉夫妻のもとに身を寄せながら、裁縫工場で働き始めますが、不慣れな仕事で機械に手を巻き込まれるというアクシデントに見舞われます。解雇されてしまったキャリーは姉夫妻の家にも居づらくなってしまい、家を飛び出します。頼れる知り合いなど誰もいないキャリーは仕方なくチャールズに連絡をすることに。
チャールズは大喜びで今夜デートをしようとキャリーを誘います。夜、キャリーはジョージに指定された高級レストラン、フィッツジェラルドへとやってきますが、気後れしてしまい、中々店に入れません。
彼女を優しく出迎えてくれたのはフィッツジェラルドの支配人でチャールズの知人でもある初老の紳士ジョージ・ハーストウッドでした。その夜キャリーはチャールズに口説き落とされ、そのまま彼のアパートで同棲生活を始めます。
黄昏のネタバレあらすじ:承
近所の目が気になり始めたキャリーはチャールズに結婚を迫りますが、チャールズは煮え切らない態度を取り続けます。そんなある日ジョージがアパートへ遊びにやってきました。三人はその夜ポーカーゲームを楽しみました。帰り際ジョージは観劇券を二人にプレゼントしますが、多忙なチャールズは休暇を取ることが難しく、ジョージがキャリーと一緒に観劇をすることに。
ジョージもまた強欲の妻との愛のない暮らしに疲弊していました。観劇を楽しんだジョージとキャリーは親密な雰囲気になり、キスを交わしてしまいます。その後も人目を忍んで逢瀬を重ねる二人、ジョージから駆け落ちを持ち掛けられたキャリーはチャールズと別れる決心を固めますが、ほどなくしてジョージが妻帯者であることを知ってしまいます。
ショックを受けたキャリーはジョージに別れを告げます。キャリーを諦めきれないジョージは妻に離婚を宣告しますが、財産は一切渡さないと凄まれ、挙句にフィッツジェラルドのオーナーに不倫を告げ口されてしまいます。
すべてに嫌気が差したジョージは店の売上金を持ち逃げし、キャリーのもとを訪ねると、チャールズが怪我を負ったという嘘をついて、キャリーをアパートから連れ出します。嘘はたちまちバレることとなりましたが、本心ではジョージを愛するキャリーは彼とともに駆け落ちする覚悟を決めました。
黄昏のネタバレあらすじ:転
駆け落ち先のニューヨークで二人の新生活が始まりますが、ジョージはフィッツジェラルドのオーナーがよこした保証会社の男から持ち逃げした金を返すよう迫られ、無銭になってしまいます。
大衆レストランで働き始めるもフィッツジェラルドでの使い込みが瞬く間に広まり、クビを言い渡されてしまいます。ジョージが日雇いの仕事に在りついて、なんとか二人食いつなぐ日々、そんな中キャリーの妊娠が発覚します。追い打ちをかけるようにジョージと妻との離婚が成立していないことが発覚、心労が続いたキャリーは流産してしまいます。ジョージは一切の財産を放棄することを条件に妻との離婚を成立させました。
月日は流れ、家計を助けるために役者を始めたキャリーは演技力を認められ、少しずついい役を貰えるようになっていきます。ジョージから息子が結婚し成功しているようだと聞かされたキャリーは、ジョージが家に戻りたいのではないかと思い始め、彼をシカゴへ向かわせます。
シカゴに着いたジョージは息子に会いに行きますが、己のみすぼらしさが恥ずかしくなり、結局声を掛けられずにニューヨークへ戻ってきます。しかしアパートにはキャリーの姿はありませんでした。
ジョージが家族のもとに戻ることが最善の策であると考えたキャリーは彼の幸せを願い、引っ越してしまったのでした。
黄昏の結末
時は流れ、女優としてキャリアを重ねたキャリーは主演女優を務めるほどに成功していました。ある日のこと、チャールズがシカゴから訪ねてきました。ジョージが店の金を持ち逃げしたこと、財産を失いシカゴへ戻れなくなってしまったと知ったキャリーは、ジョージの人生を破滅させたのが自分であったことを思い知ります。
キャリーは以前二人で住んでいたアパートを訪ねますが、ジョージはアパートを追い出され行方知らずになっていました。身体を壊し、もはや働くこともできなくなったジョージはホームレスに身を落としていました。泊まる場所もなく、腹を空かせ街を彷徨っていたジョージはキャリーが主演する舞台の看板を目にし、劇場へやってきます。
舞台を終えたキャリーが劇場を出ると、そこには変わり果てた姿のジョージが佇んでいました。キャリーがジョージを劇場に招きいれると、ジョージは少しの金を恵んでもらえないかとキャリーに頼みます。
キャリーは再会できたことを心から喜び、失った時間を二人でもう一度取り戻そうとジョージに語り掛けますが、ジョージはキャリーのお荷物にはなりたくありませんでした。キャリーが温かい食事を用意してやろうと席を外すと、ジョージはテーブルの上の僅かな小銭を拝借して、そっと劇場を後にするのでした。
以上、映画「黄昏」のあらすじと結末でした。
「黄昏(1951年)」感想・レビュー
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いつの時代も幸せの最低条件にお金があるように感じる映画だった。鑑賞後何故か暗くなってしまった。後味が悪い。
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お金より愛が大切というけれど、愛だけでもだめなのだと思い知る。名優の演技に魅了される美しい映画でした。
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ある程度の生活が保たれてこそ愛もまた保たれるのでは
もう少し分別を持って愛を育んで欲したったです -
初老のジョージに重ね合わせて観たら、哀れな思いもあるけどある意味潔い人生にすごいなあと、感激した!
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相手を思うが故に必要なことを相手に伝えない。そして二人を違った方向に導いてしまうのですよね。これはどのような関係性にあっても起きていることだと思います。心を言葉にするのは大事なこと。
取り返しのつかない悲しい映画でした。 -
どちらかと言えばマッチョな男がもてはやされるアメリカ社会、そんなアメリカの古き時代に、年甲斐もなく純愛に翻弄されて、心ならずも名誉、家族、財産のすべてを失って破滅の老境を迎える男の晩年は余りにも切なく物悲しい。
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現代には考えられない素敵な映画でした。
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全く内容を知らずに見ていて あのローレンス オリビエが人生を転げ落ちてゆく ジョージではなく ローレンスオリビエが と錯覚してしまいました。切ない 切ない映画で胸が苦しくなりました。とても心に残る素敵な映画でした。
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ジェニファージョーンズの傑作の一つです。殆んどの作品が強烈にファンを惹き付けます。聖少女は、まだDVDを見ないで大事に取ってあります。
観ていてどんどん心が締めつけられるような、暗い気持ちになっていった。ちょっとしたことのすれ違いが 人生を どん底へ転がり落ちていく男の哀愁 やはり名優といわれるローレンスオリビエの魅力が光る映画でした。