コーラスの紹介:2004年フランス映画。孤児や問題児を集めた寄宿舎「Fond De L’Etang(池の底)にマチューという元音楽教師が舎監として赴任してくる。彼も音楽家として挫折していたが、子供たちにコーラスを教えることによって音楽への情熱を取り戻し、子供たちと心通わせていくヒューマンドラマ映画です。
監督:クリストフ・バラティエ 出演: ジェラール・ジュニョ(クレマン・マチュー(音楽教師))、ジャン=バティスト・モニエ(ピエール・モランジュ(少年時代))、ジャック・ペラン(ピエール・モランジュ)、フランソワ・ベルレアン(ラシャン(校長先生))、マリー・ビュネル(ヴィオレット・モランジュ)、カド・メラッド(シャベール(体育教師))ほか
映画「コーラス」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「コーラス」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「コーラス」解説
この解説記事には映画「コーラス」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
コーラスのネタバレあらすじ
白髪の男性は指揮者です。母親の葬式を終えて家に帰ってきました。ノックされて男性が入ってきます、それは小さい頃、同じ宿舎で育ったペピノでした。ペピノはマチューの日記を彼に手渡します。そして日記が読み進められて、物語は始まります。
第2次大戦後まもない1949年頃、孤児や問題児を集めた寄宿舎、Fond De L’Etang(池の底)という寄宿舎がありました。そこに舎監として元音楽教師のマチュー(ジェラール・ジュニョ)がやって来ました。彼も音楽の世界で挫折して、舎監として初めての仕事でした。入り口で、土曜日に両親が迎えに来ると信じている男の子・ペピノ(マクサンス・ペラン)と会います。赴任早々に、問題児のいたずらで職員が怪我をしてしまう事件に遭遇します。ラシャン校長(フランソワ・ベルレアン)は、誰がやったのか名乗り出てくるように言います。誰も名乗りでないことに怒ったラシャン校長は一人の子供を代表として部屋に閉じ込めます。その子供は無実だと知りながらラシャン校長は見せしめとして実行したのです。マチューは校長の横暴な方針に反発を感じます。しかし、雇われの身で、逆らうわけにはいきません。
コーラスのネタバレあらすじ:荒れた教室
いたずらの程度は強く、教師が怪我をするのは日常的でした。教室では子供たちが騒いで授業になりません。その中に金髪の美少年モランジュ(ジャック・ペラン)がいました。綺麗な顔ですが、反抗心の強い子供です。寄宿舎にモランジュの母・ヴィオレット(マリー・ビュネル)が尋ねてきます、その美しさにマチューは心惹かれてしまいます。
コーラスのネタバレあらすじ:マチューの試み
マチューは、暴れる子供たちに歌を教えることを思いつきました。まず、子供たちに文章を読ませて、声をパート別に分けました。その中には矯正施設からテストケースとして送られて来たモンダン(グレゴリー・ガティニョル)もいます。彼は協調性が少なく狂暴性が強い性格です。マチューのコーラスへの取り組みが開始しました。最初は単純な歌から始めたのですが、段々とレベルを上げていきました。モランジュは、なかなかコーラスに入ろうとはしませんでした。しかし、教室で一人歌っていました、モランジュは、抜きん出て天使のような美しいソプラノでした。いつか彼も加わり、ソロで歌うことが多くなりました。ラシャン校長はコーラスを教えることに良い気はしていませんでした。マチューは教師ではなく、舎監として雇ったのだと授業時間での活動を禁止します。マチューは授業以外の時間でコーラスを教えました。子供たちも次はどの曲を歌うのか楽しみになってきました。
コーラスのネタバレあらすじ:盗難事件
モンダンが行方不明になった日に、20万フランが無くなる事件が起きました。モンダンは見つかり、お金を盗んだと決め付けられてラシャン校長から何回も殴られました。しかし、お金の行方はわかりませんでした。モンダンは憲兵に連れて行かれます。マチューはヴィオレットにモランジュを音楽学校に入れるように進めていました、ヴィオレットとマチューが二人で話している所を見たモランジュは、機嫌が悪くなります。
コーラスのネタバレあらすじ:マチューの失恋
マチューは、町でヴィオレットと待ち合わせをして彼女に恋人が出来たことを知らされます。マチューは「良かった」と言うしかなく、意気消沈してしまいます。そんなおり、支援団体の視察でコーラスを披露すると伯爵夫人(キャロル・ヴェイス)は音楽を通じた教育に感激すると、ラシャン校長は自分の案だと告げます。校長は勲章がほしかったのです。
コーラスのネタバレあらすじ:寄宿舎の火事
20万フランは、ゴルバが気球を買う為に盗んだことをマチューは知ります。ラシャン校長には本当のことは告げずに、20万フランが戻って来たことを告げます。だから、モンダンは犯人ではないと訴えますが無視されてしまいます。マチューが子供たちを連れて野外に出ている間に、寄宿舎が火事になります。火事の光景を、モンダンが高台からたばこを吸いながら眺めています。
コーラスのネタバレあらすじ:マチューの別れ
マチューは寄宿舎から離れたことで退職させられます。マチューもラシャン校長に対して教育者として最低だと罵倒します。寄宿舎から去ろうとしたときに、マチューの足元に紙飛行機が飛んできます。紙飛行機には「あばよハゲ頭」とか、「元気で!マチュー先生」などが書かれていました。振り返ると、窓から沢山の紙飛行機が飛ばされています、花びらのように、それは空を舞いました。子供たちの歌う声が響きます。その声に送られて、マチューは去ります。
画面がかわり、「私はクレマン・マチュー音楽家崩れの失業した舎監だ」とモランジュが読み終えて日記を閉じます。続きは書かれておらず、ペピノから後のことを聞きます。モランジュの回想で彼は音楽学校に行きます。母は寄宿舎に入れるのを断り、恋人と別れます。ラシャン校長は、その教育方針を訴えられて寄宿舎を去ります。マチューがバスに乗り込もうとした時、ペピノが連れていってほしいと言います。マチューはそんな権利はないから帰るようにと言います。バスに乗り込んで発車しますが、突然止まります。マチューが降りて来て、ペピノを抱きかかえてバスに乗り込むのでした。
以上、映画コーラスのあらすじと結末でした。
映画「コーラス」が大ヒットした要因は3本の矢にあると思います。1本目の矢はジャン=バティスト・モニエです。彼の歌声がなければ15週で750万人を動員することはなかったでしょう。この映画に関して私が最も後悔していることはこの映画の情報を知らなかったということです。もし知っていれば、2004年に来日したサンマルク少年少女合唱団と2005年公開で当時の彼の生の歌声を聴くことができたかもしれないからです。2度のチャンスを逸してしまったことは悔やんでも悔やみきれません。しかしそんな多くの人達に愛される彼もこの映画に出会っていなければサンマルク少年少女合唱団のソリストという小さな世界に留まり日の目を見ることはなかったでしょう。だから彼には、モランジュの才能を見いだし高いところに導くマチューのような2本目の矢が必要でした。その矢は音楽家でもある監督のクリストフ・バラティエです。彼はモニエを見いだしただけでなくこの映画に必要不可欠な6つの楽曲をブリュノ・クーレと共に手掛けました。どの曲も心にしみる名曲で、これ等の楽曲があってこその「コーラス」と言っても過言ではありません。また演出も見事です。学校の火災を未然に防ぐことが出来なかったという理由で校長に解雇され、子ども達とのお別れも禁止されたマチューが学校を去る場面は秀逸です。ここで歌われる曲は「凧」で紙飛行機がマチューの頭上に舞い降りて来ます。それはお別れの手紙でした。多彩な個性に溢れた子ども達の顔は敢えて出さず高所の窓から手を振るだけのシーンはフランスらしいエスプリのきいた演出でその美しい光景にうっとりとしてしまいます。そんな素晴らしい監督に見出だされたモニエですが台詞はそう多くありません。台詞の多くはマチューに与えられています。このことからも分かるように3本目の矢はこの映画の進行役を担っていたマチュー役のジェラール・ジュニョです。彼が進行役で幸いでした。声質も見た目も演技もこの映画の音楽に完全に溶け込んでいたからです。だから吹替え版は全く別物の映画になっています。映画は不遇な二人の出会いから始まります。その一人は挫折を繰り返した落ちこぼれの音楽家クレマン・マチューです。もう一人はパパが土曜日に迎えくると信じている7歳位のぺピノです。でも彼は戦災孤児でした。二人が出会った場所は問題児を更正させる寄宿学校の施錠された門扉でした。この出会いから醸し出される雰囲気はこの映画全体を通じてこの映画の主題曲「海への想い」と共に流れていきます。その楽譜はシンプルですがこの雰囲気にぴったりのメロディーでいつまでも耳に残る名曲です。この曲をモニエがソロで歌うシーンがありますが、サンマルク少年少女合唱団のコンサートで歌うソロの方が雑味のない自然な発声でモニエの歌唱力が遺憾なく発揮されています。モニエは映画の中でラモーの「夜」もソロで歌いますがこれは秀逸です。このシーンはモニエが演ずる問題児のモランジュがマチューの巧みな導きによって歌うことの本当の喜びを甘受し人との関わりに光を見いだす感動的な場面です。モランジュの拗ねた顔が笑顔に変わっていくあのシーンに観客は心を奪われ救われます。そしてもう1つ救われる場面があります。それはラストシーンです。解雇されたマチューがバスを待っているとあろうことかあのぺピノがラグビーボールの形をした袋と子熊の縫いぐるみを持ってマチューを追って来たのです。彼は「僕も連れてって!」と言いました。勿論マチューは拒否し学校に戻るように促しました。バスはぺピノを残して走り出しますが、すぐに止まってドアが開きます。ニコッとしたぺピノはバスに走り寄りドアで待つマチューに抱き抱えられてバスに乗り込みました。不遇な二人に似つかわしい終わり方に観客もホッとします。流れる曲は「途中でみてごらん」です。マチューの優しさとぺピノのこの人に付いていくという判断の正しさを称賛するかのような余韻の残る名曲です。迎えに来たのはパパではなかったけれど二人が旅立った日は1949年バカンスさなかのある土曜日でした。
*映画「コーラス」の詳しい内容を知りたい方はnoteの記事「土曜日に迎えを待つぺピノ」をお読みください。