コンタクトの紹介:1997年アメリカ映画。1996年に他界した宇宙科学者カール・セーガンの同名小説を映画化した作品で、SETIプロジェクト、科学と宗教、政治、地球外生命、人類の存在理由という哲学などをテーマとし、地球外知的生命体と接触した女性の姿を描いたSF映画です。キャッチコピーは「それは、宇宙の声から始まった」で、『フォレスト・ガンプ 一期一会』(1994年)を手がけたロバート・ゼメキスが監督を務めました。
監督:ロバート・ゼメキス 出演:ジョディ・フォスター(エリー・アロウェイ)、マシュー・マコノヒー(パーマー・ジョス)、ジョン・ハート(ハデン)、ジェームズ・ウッズ(マイケル・キッツ)、ほか
映画「コンタクト」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「コンタクト」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
コンタクトの予告編 動画
映画「コンタクト」解説
この解説記事には映画「コンタクト」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
コンタクトのネタバレあらすじ:1.プロローグ:地球からの電波は広い宇宙へ
地球からは様々な電波が発信されています。テレビ、ラジオなどから流されるニュース、音楽などは、時空を越えて、太陽系、銀河系、そして宇宙の果てまで届いているのです。1963年8月28日のキング牧師の「I have a dream.(私には夢がある)」という有名な演説も、1963年11月22日の第35代アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディの暗殺事件の悲劇的な報道も、善悪を越えて、地球から発信された電波はどこかの星々に届いているのです。
コンタクトのネタバレあらすじ:2.誰かいませんか?
「CQ、CQ 、こちらW9 GFO応答願います。誰かいませんか?」と何度も無線で呼びかける少女がいました。彼女は、エリナー・アロウェイ(愛称:エリー)という名前で、無線で遠くの誰かと交信するのが大好きでした。母を幼少期に亡くしたエリーを温かく見守り、育てていたのは、父テッド・アロウェイでした。ある日、エリーはフロリダ州ペンサコラの男性通信士と通信ができました。それは今までで最長の距離でした。エリーは喜び、ペンサコラのイメージを絵に描きました。彼女は、父から無線で地球以外の太陽系の惑星とも交信できることを教えられました。ただ、亡くなった母との交信はもっと大きなアンテナがないと難しいと言ってきかせました。父テッドは、エリーの「よその星にも人はいるの?」という問いに、「地球人だけでは、この広い宇宙がもったいないよ」と答えました。この言葉はエリーの心に深く刻み込まれました。夜、エリーは密かに色々な周波数で亡き母との交信を試して、「もっと大きなアンテナがほしい」と願っていました。
コンタクトのネタバレあらすじ:3.探求するのは地球外生命体
エリーは、大人になっても父の言った言葉を信じ、地球外生命体の存在を信じ、SETIプロジェクトの研究者となりました。エリーは、プエルトリコのアレシボにある巨大な電波天文台アレシボ天文台で観測をすることになりました。到着したその夜から、エリーは観測し始めました。すると異常な音を観測できましたが、それは既に観測済みのものでした。がっかりするエリーのもとに、これから一緒に観測するチームメンバーがやって来ました。盲目ゆえに鋭い耳を持っているケント・クラーク、そしてダビオ、バーノン、フィッシャーの4人でした。それぞれ独自の観測・研究をしていましたが、エリーの研究が地球外生命体の探求と聞き、みんなは驚きました。家に帰ったエリーは、少女の頃からの癖で、宇宙地図に観測終了地点に押しピンを刺していきました。ある日、町のカフェで安全ピンとビールを買ったエリーは、パーマー・ジョスというライターと名乗る男性と出会いました。ジョスは、エリーがSETIプロジェクトの研究者であると知り、驚きと共に、彼女に興味を抱きました。ジョスは科学が文化的影響について調べていました。また彼は科学財団の新会長であるデイヴィッド・ドラムリンに取材をしようとしていました。偶然にも、エリーの上司はドラムリンでした。ジョスは、食べていたジャンクフードの中に入っていたおまけの小さな方位磁石を取り出すと、エリーにあげようとしましたが、エリーはジョスに「あなたが持っていたら?命拾いするかもよ」と言い返しました。ジョスはエリーを夕食に誘いました。しかし、エリーは仕事のため、断りましたが、好感のよかったジョスに、「ドラムリンは火曜日に来るわ」と教えてあげました。
コンタクトのネタバレあらすじ:4.パーマー・ジョスとのつかの間の恋
火曜日、ドラムリンがエリーたちのもとにやって来ました。その夜、ドラムリンを迎えてのパーティが開かれました。ドラムリンは「科学といえども納税者に責任がある。妄想に金を浪費すべきではない。実現可能なことを研究し、社会の役に立たないといけない」と主張しました。エリーたちは「純粋な研究はやめろということですか」と噛みつくと、ジョスが突然、その話に割り込んできました。ジョスは「研究が真実を追求するものであれば…。それが科学の目的ですからね」と主張しました。ドラムリンはジョスを知っていたらしく、彼に「科学の悪と戦う男としては興味深い意見だね。ジョス神父」と言いました。それに対してジョスは「科学を否定しない。科学至上主義を問題にしているんです」と言い返しました。ドラムリンはジョスとの議論をうち切り、ケントと話をしに行きました。エリーはジョスが神父と知り、驚きましたが、ジョスは彼女に「僕はいわば“普段着の聖職者”」と説明しました。エリーは、そんなジョスに好感を持ち、望遠鏡の近くのベンチに二人で腰掛け、星を見上げながら、彼に天文学者になった動機やSETIプロジェクトのすばらしさを話しました。すると、ジョスは「地球人だけでは、この広い宇宙がもったいないよ」と父と同じ言葉を言いました。エリーはジョスにさらに好意を抱き、その夜、二人はベッドを共にしました。ジョスは自分が神の存在を感じた時のことを話しました。エリーは最愛の父は9歳のときに亡くしたことを語りました。ジョスは彼女を慰めました。すると突然、エリーは仕事の約束を思い出し、ジョスに連絡先をメモに残しておいてと頼み、観測所に向かうため、家を出ました。エリーは夜空を見上げて、父テッドが亡くなった辛かった日のことを思い出しました。神父が悲しむエリーを慰めようと「人生には理解できないことも起こる。神の御心として受け入れるしかない」と言った言葉に、自分が「薬を下に置いておけばよかった。そうすれば間に合った」と答えたこと、そして亡くなった父に向かって無線機で交信しようとしたことを思い出しました。エリーはそれ以来、神を信じず科学に打ち込んできました。心が乱れたエリーは、神の存在を信じるジョスと微妙な溝を感じました。
コンタクトのネタバレあらすじ:5.予算カット~ハデン社からの資金調達に成功
翌早朝、ケントがエリーに「やれるはずだ。独自のSETIチームを。ニューメキシコ州のVLAでなら…。ドラムリンが予算をカットした」と告げました。頭にきたエリーはドラムリンのところに急行し、怒りをぶつけました。ドラムリンはエリーの才能を高く評価はしていましたが、エリーの地球外生物の探求は無意味なことと、エリーを批判しました。エリーは彼に「私の人生だわ」と言い放ちました。エリーが家に帰ると、電話の脇にジョスからのおまけの方位磁石と連絡先のメモがありました。エリーは受話器をとり、ケントに電話をし、「自分たちで資金を調達して、ニューメキシコ州へ行きましょう」と言いました。エリーはすぐにニューメキシコ州のVLAへ旅立つ準備をし、資金を出してくれそうな企業にアポイントを取りまくりました。エリーはジョスからの方位磁石だけを手に取り、連絡先のメモはアレシボの家に置いて、旅立ちました。エリーは、その後13か月、資金調達のために何社も企業にプレゼンをしましたが、どこからも資金を調達できずにいました。ある日、エリーは、大富豪であり科学者でもあるS・R・ハデンの経営するハデン社にプレゼンに行きました。しかし、プレゼンを聞いた役員は、エリーの研究を「科学というよりSFに近い」と表現し、資金援助を断ってきました。苛立っていたエリーは、思わずそんな役員の態度に憤りを覚え、自身の研究のすばらしさを力強く訴えました。すると、一本の電話が役員のもとにかかってきました。それは最高責任者ハデンからの電話で、資金援助をせよというものでした。部屋の監視カメラでハデンはエリーのプレゼンを観ていたのでした。エリーはハデン社からの資金調達に成功しました。
コンタクトのネタバレあらすじ:6.エリー、ついに謎の信号をチャッチ
エリーたちは、ハデン社からの資金調達し、ニューメキシコ州のVLAで観測を始めて、4年の歳月が過ぎましたが、大きな発見はできていませんでした。ケントは、ドラムリンや他の科学者がエリーの研究に不満を持っていること、このVLAを所有している政府がエリーに貸すこと渋っていることを告げました。エリーは「砂漠の巫女」と揶揄されていました。ハデンからの基金はまだ2年分ありましたが、政府の決定は、3か月したらエリーたち全員、立ち退きということでした。ケントは「もうおしまいだ」と言いましたが、エリーは「私はやめないわよ。独りになっても続けるわ」と言いました。その頃、パーマー・ジョスは大統領の宗教観系顧問に就任し、タイムズ紙いわく「神の外交官」、彼の著作『信仰喪失』は現在売上1位のベストセラーになっていました。ある日の夜、エリーはついに電波望遠鏡で強烈な宇宙から電波信号を受信しました。その発信源はこと座のヴェガからでした。そして電波信号は2から101までの素数で成り立っていました。エリーたちはその電波を録音し、各国の天文台の研究員の力も借り、観測し続けました。そして、エリーは関係者全員にこの観測結果を公表しました。その翌日、早速、マスコミ、そして“国家安全保障会議”のメンバーのドラムリン、安全保障問題担当補佐官マイケル・キッツと銃を持った部下たちがやって来ました。エリーは、この信号の送り主は素数を知る知的生命体の可能性があると主張しました。ドラムリンはエリーに「長年ヴェガを観測してきたが、昨日になっていきなり?」と問うと、エリーは「昨日じゃありません。26年前の信号です」と答えました。マイケル・キッツは、エリーが勝手に自己判断で信号受信の報告を全世界に流したことを責めましたが、エリーは、この信号はアメリカとだけ交信したかったわけではないと反論しました。
コンタクトのネタバレあらすじ:7.ヒトラーのオリンピック開会宣言の映像
そこへエリーたちが待っていたケントが現れました。ケントに信号を聞かせると、ケントはその信号の中にテレビと同じ周波数があることを見つけました。テレビモニターでその信号を映像化すると、それは1936年8月1日のベルリンオリンピックでヒトラーが開会宣言している世界初のテレビ中継でした。マイケル・キッツは直ぐにホワイトハウスに連絡しました。大統領首席補佐官レイチェル・コンスタンティンは「あの大量虐殺をしたヒトラーが最初の宇宙大使?」と憤り、ドラムリンは「最初のテレビ放送で確かに聞いたという意味で送り返してきた」と言い、エリーは「信号の送り主はヒトラーが何者なのか知らない」と、それぞれが意見を述べましたが、「あとは政府に任せてください」との大統領首席補佐官コンスタンティンの一喝で、議論は止まり、クリントン大統領からの公式説明記者会見が開かれました。大統領は国民に夢と希望と安心を与えるような声明をしました。次に大統領首席補佐官コンスタンティンは「内容は数字の連続で、一部報道に反し、極めて穏当な内容です」と説明し、詳細な経緯報告を今回発見した科学チームのリーダーであり大統領の特別科学顧問でもあるドラムリン博士にさせました。自分が第一発見者であり、これまで長年観測していたエリーは、自分が経緯報告するものとばかり思っていたので、落ち込みました。
コンタクトのネタバレあらすじ:8.隠されていた謎の暗号データ
しかし、その時、エリーのポケベルにケントから緊急連絡が入りました。ケントはテレビ画像に混じっていたノイズに膨大なデジタルデータが隠されていたことを発見したのでした。エリーは興奮しました。エリーはドラムリン、キッツ、コンスタンティンら政府関係者にそれを説明しました。エリーは「見当もつきません。銀河百科事典とか…」と言うと、キッツは「地球を植民地化するマニュアルとか…」と、ドラムリンは「モーセの新十憶戒」とそれぞれ想像して言い合いました。ドラムリンは手回しよく、臨時予算を組み、VLAに本部を置き、暗号解読チームを作る手配をしていました。エリーは反発しました。なぜなら、エリーが第一発見者であり、民間企業からの資金で観測・研究してきた結果だったからでした。キッツは軍の管理下に置くとまで言い出しました。エリーは戸惑い、憤りました。その様子を見ていた大統領首席補佐官コンスタンティンは、暗号解読チームの調整役をドラムリンに、VLAでの指揮はエリーにとってもらうことにしました。しかし、今後の発見は機密扱いとし、最終的判断は大統領に委ねることになりました。
マスコミは今回の事件をネタに様々な報道をし、騒然となりました。ソコロのVLA周辺は、各地からやって来た野次馬たちが、大勢押し寄せ、いろいろなメッセージを発信したり、受信しようとしたりしていました。特に神を信じる者たちは、科学が信仰に介入したと批判的でした。狂信的な牧師のジョセフは恐ろしいほどでした。
コンタクトのネタバレあらすじ:9.S・R・ハデンからの暗号解読のヒント
電波信号を受信してから2週間が経ちましたが、VLAで指揮をとるエリーたちは、必死で暗号を解読しようしていましたが、解読はできずに行き詰まっていました。そんな時の深夜、家に帰ったエリーのコンピュータにメールが届きました。その送り主は機密扱いのデジタルデータをハッキングし、持っていました。その送り主は、S・R・ハデンでした。彼の指示を受け、エリーは彼が家としている自家用ジェットに乗り込みました。エリーはそこで初めてハデンを出会いました。ハデンはエリーの生まれた時から現在に至るまでの経歴と詳しく調べあげていました。そして、ハデンは、エリーが研究に入れてはもらえているが、監視され、冷遇されているので、前線復帰ができるように、デジタルデータの暗号解読のヒントを与えました。エリーはすぐにヒントで暗号解読の鍵を見つけました。エリーは、国家安全保障会議で暗号解読の方法を発表すると、途中からドラムリンが横やりを入れて、自分の手柄のように振る舞いました。エリーは不満でしたが、何かのマシーンの設計図を発見したことを発表しました。マシーンと聞いた委員は、色々な物を想像しました。エリーは、このデータの送り主は地球を攻めてくるようなものではないと主張しましたが、保守派宗教リーダーのリチャード・ランクは「この計画を推進すれば、支持率はガタ落ちになりますよ」と言い、エリーに「相手は得体が知れない生物なんですよ。神を信じているかどうかもわからない」と批判しました。エリーは「私が言いたいのは、メッセージが科学の言葉で書かれているということです。宗教絡みであれば、自ずと形式が変わってくるはずです。十戒や天の声のように」と主張していると、背後から「しかし、メッセージそのものが天の声とはいえませんか」という聞き覚えのある声がしました。振り向くと、そこにはあのパーマー・ジョスがいました。ジョスは「宗教的側面を含むという点ではランク氏に賛成です。しかし、やたら警戒する必要はない。…共通の場で発展的議論をすべきだ」と見解を述べました。すると大統領が入ってきました。大統領を交えて、会議は開かれましたが、その場では答えは出ませんでした。
コンタクトのネタバレあらすじ:10.宇宙移動装置の建設開始
久しぶりに再会したエリーとジョスは、その夜、開かれるパーティで会う約束をしました。エリーはパーティとはこれまで無縁だったため、コンスタンティンにパーティドレスのお店を紹介してもらい、生まれて初めてパーティドレスを着て、パーティに出席しました。そこにはVLAで過激で狂信的な牧師のジョセフが、ホテル前でも訴えていました。パーティでエリーは、再会したジョスに“単純な説明ほど、正しいものである”という「オッカムの剃刀」の話をしました。そして、エリーは神がいたという証拠がほしいと言いました。ジョスはエリーに「お父さんを愛していた?」と問うと、エリーは「心から愛していたわ」と答えました。それに対してジョスはエリーに「その証拠は?」と問いかけました。エリーは戸惑いました。その時、二人のポケベルが鳴りました。メンバーはCNNで、VLA暗号解読チームが例の図面の中に人をかたどった絵を見つけたこと、そして、それによってこの図面は人を宇宙へ移送する1人乗りの宇宙移動装置の設計図であることを知りました。大統領は緊急召集をかけました。エリーはメンバーではないため、部屋の外で待っていました。緊急召集会議で、各国の協力を得て、宇宙移動装置は建造することになりました。乗員は国際的な候補者リストを作り、その中から選出することになりました。ジョスの話ではリストのトップにはエリーの名前があがっているようでした。同時に選定委員会も設置されました。その構成メンバーは文化人、神学者、科学者、哲学者などで、ジョスもその委員になりました。ドラムリンは科学顧問を辞めて、乗員に立候補しました。この宇宙移動装置の建造は、各国の協力を得て、単独プロジェクトとしては人類史上最高の経費をかけたものでした。数ヶ月の討議の末、乗員選定委員会は候補を10名に絞りました。ハデン社などの企業はパテントと引き替えに無償で建造にあたっていました。日本は乗員を出さないで、移動装置製作のみに協力することになりました。
コンタクトのネタバレあらすじ:11.難航する乗員の選定
エリーは、あるテレビインタービューで記者から、この計画は我々の能力をはるかに超えた無謀で危険なもので、乗員の命を奪うだろうという意見に対してどう思いますかと問われました。エリーはこれに対して「発信元の人々は私たちよりはるかに進んだ文明を持っています。無謀なことをするとは思えません。我々に必要なのは、“冒険心”だと思います」と答えました。有力候補だった宇宙飛行士のジョン・ラッセルが家族の反対で、辞退しました。これによって、エリーが最有力候補になりました。ホテル部屋のテレビでそれを見ていたエリーに、ジョスから明日12時に公園で会って話したいとメッセージが届きました。翌日12時、誰もいない公園で、ジョスとエリーは会いました。ジョスは、エリーに「君はこの任務に命を懸けようとしている。死んでも構わないと思っている。なぜだ?」と問いました。エリーは、「私、物心がついた頃からずっと思っていた。なぜ、人間はここにいるのか? 何をしているのか? 一体何者なのか? 今回の計画が、その答えの一部を見つけるチャンスだとしたら、命を懸ける価値があると思わない?」と答えました。ジョスはエリーに「君は勇敢な女性だ」と言い、二人は抱き合いました。選ぶ側と選ばれる側、二人の気持ちは混乱してきました。その後、エリーは選考委員会の公開質問で、誠実かつ正直に、質問に答え、委員から好印象を受けました。しかし、最後にジョスはエリーに「神を信じますか?」と質問をしました。エリーは正直に「私は科学者として実証主義をとっています。神の存在については、データがないので答えられません」と明確な返答を避けました。すると委員の1人から「人類の95%が何らかの神を信じています」と言いました。エリーは神の存在を否定する立場をとりました。次に、ドラムリンは選考委員会の公開質問で、「私は人類の知性と信仰を誇りに思っています。人類が長い年月をかけて、守り、育んできた大切な財産があります。それは神の御心であり、恵みです。…無神論者を代表に立てることは許されないのです」と弁論しました。エリーは乗員には選ばれないと知り、ホテルの部屋で落ち込みました。そこへジョスが来て、エリーに「万人の代表を選ぶのが、僕らの仕事だ。神を信じない人間を選ぶわけにはいかない」と言いました。エリーは「正直に答えたまでよ。口先だけのドラムリンとは違う」と言うと、大切に持っていたジョスからの方位磁石をペンダントにしたものを、ジョスに返しました。
結局、乗員はドラムリンに決定しました。
コンタクトのネタバレあらすじ:12.宇宙移動装置の稼働テスト
ケープ・カナベラルに、巨大な宇宙移動装置が建造、完成しました。稼働テストの日、大勢の人々がその様子を見るため、集まってきました。テストの総指揮官はドラムリンでした。ドラムリンは、乗員にかかるストレスや影響を調べるため、本来人間が入るポッドの中に「エルマー」と呼ぶロボットを今回は入れることにしました。エリーは管制スタッフのオペレーターとして務めることになりました。エリーはヘリで現場に到着すると、ドラムリンに声をかけられました。ドラムリンは「不公平に感じているだろう。大いに不満かもしれん。不公平なのは私も認める。公平な世の中であればと思う。誠実さが報われ、決して利用されたりしないようなね。だが現実は違うんだよ」とエリーに言いました。エリーは彼に「おかしいわね。私たちが決意すれば、世界は変わるのに」と反論しました。しかし、既に決まったこと、エリーはドラムリンの幸運を祈りました。管制センターに入ったエリーは、装置の稼働を見守りました。テストは途中まで順調に進みましたが、エリーは何度か見かけていた狂信的牧師のジョセフをモニターで発見しました。彼は装置のガントリークレーンにスタッフとして紛れ込んでいました。エリーは至急、ドラムリンにそれを告げ、他のスタッフたちがジョセフを取り押さえましたが、ジョセフは自身に巻いていた爆弾を爆破させ、装置は木っ端微塵に破壊されてしまいました。破片は管制センターの間近まで飛んできました。ガントリークレーンで指揮をとっていたドラムリン博士は、命を落とし、アーリントン墓地に埋葬されました。
コンタクトのネタバレあらすじ:13.2台目の宇宙移動装置、乗員はエリー
ドラムリンの死にショックを受けたエリーが、家に帰ると、誰かがコンピュータとテレビモニターとアンテナをセットしていました。エリーはコンピュータの指示通りにキーを打つと、モニターにソ連の宇宙ステーション“ミール”にいるハデンとつながりました。ハデンは自らのガンの進行を遅らせるために“ミール”に乗っていたのでした。ハデンはエリーに、日本の北海道の衛星画像を見せ、ある場所を拡大していきました。なんとそこにはハデン社が密かに建造したもう一台の宇宙移動装置がありました。ハデンはエリーに乗員にならないかと誘いました。エリーは乗員になることを決意しました。直ぐ、エリーは北海道に向かいました。管制センターは船でした。エリーは装置に乗り込むための準備を受け、万が一のときのための自殺用カプセルも渡されました。エリーの部屋に、ジョスがやって来ました。ジョスはエリーに、選定委員会で意地悪な質問をしたのは、本当はエリーに行かせるのが怖かったからだと言い、謝りました。そして、エリーに方位磁石のペンダントをお守り代わりに渡しました。
コンタクトのネタバレあらすじ:14.エリー、宇宙へ
すべての準備が整い、ついにエリーは宇宙移動装置に乗り込むときがきました。ポッドに乗ったエリーは、携帯ビデオ、音声通信のチェックをしました。ポッドが密閉されました。不思議なことに密閉されるとその隙間は完全に無くなりました。そのとき、ジョスの計らいで招かれたケントがエリーに声をかけました。エリーはケントの声で冷静さを取り戻しました。エリーはポッドの壁が半透明になってきていること発見しました。エリーはその事をビデオで映し、管制センターに報告しようとしますが、電磁波の影響からか、管制センターの映像が乱れ、それは確認できませんでした。装置のブースターロケットが発射され、装置の出力は次第に100%までアップしていきました。装置のコアの部分から強烈な光が放たれ始めました。出力100%、装置の周辺にものすごい電磁波が発生し始めました。管制官スティーブが緊急停止ボタンを手にしました。ケントはエリーが「私は大丈夫です」と連呼している声を聞き、報告しました。スティーブは再度、コアの状態を確認すると、コアの内部は平穏であるという報告があがってきました。スティーブは緊急停止をせず、ポッドの切り離しの秒読みを開始しました。管制センターの船は、装置から発せられる強力な電磁波の影響で、大きく傾きました。そして、ついにエリーを乗せたポッドが、コアに落ちていきました。エリーは、ポッドの壁が半透明のようになって、宇宙のトンネル“ワームホール”のようなところをものすごいスピードで通り抜けていく映像を目にしました。エリーはその映像の記録を開始し、必死に管制センターと連絡をとろうとしました。
コンタクトのネタバレあらすじ:15.「言葉では表現できない。これはポエムよ」
すると、突然、ポッドが止まりました。エリーはたぶんワームホールを抜けたと考えました。そこから見えた美しい星を見て、エリーはたぶんヴェガだと言いました。すると、また、ポッドがワームホールを高速で進み始めました。エリーは驚愕しながらも、平静さを保とうと努めました。また、ポッドが停止しました。そこら見えたのは、太陽が4つある惑星でそこには生命がある光景が見えました。再び、ポッドは高速でワームホールを移動し始めました。ポッドに設置された椅子に座っていたエリーは強烈な振動に遭っていました。しかし、エリーはその中で、ジョスからもらった方位磁石のペンダントが、平穏に浮かんでいるところを目にしました。エリーは椅子から席を立ち、ペンダントを手にしました。すると固定されていた椅子はポッドの中を浮かび、次の瞬間、ポッド上部に張り付きました。それと共に椅子のライトが消え、ポッド内は闇で包まれました。エリーは持っていたライトで、ポッドの壁に光をあてると、見たこともない美しい銀河の姿を目にしました。エリーは感激のあまり、目を見開きながら、「まるで、天空のお祭り。いいえ、言葉では表現できない。これはポエムよ。ここに来るべきだったのは詩人よ。なんてきれいなの。…まるで夢みたい」と呟きました。
コンタクトのネタバレあらすじ:16.エリー、地球外生命体とコンタクト
「まるで夢みたい」と呟きながら、エリーのポッドが最後に辿り着いたのは、エリーが幼い頃、無線で交信したフロリダ州ペンサコラの絵のような場所でした。エリーは海岸の向こうから何か人影が近づいてきているのを見ました。それは最愛の亡き父テッドでした。「会いたかったよ」と言うテッドに、エリーは思わず抱きつきました。エリーは驚きつつも冷静になり、これは父テッドではないと判断しました。これは地球外生命体が、エリーとコンタクトをとるため、父親の容姿を利用したことに気付きました。その地球外生命体はエリーの手を優しくとると「君たちは興味深い。複雑な種だ。美しい夢を追う力もある。破壊的な悪夢も描く。途方に暮れ、孤独だと感じている。君はもう違う。我々は気付いたんだ。孤独を癒してくれるのは、“お互いの存在”なのだ」と語りました。エリーは「これからどうするの?ほかの地球人にも見せたい」と言うと、その地球外生命体はエリーに「帰りなさい。何億年、こうしてきた。焦らないで。気長に」と言うと、エリーのおでこに優しくキスして、空を見上げました。すると、空は光に包まれ、エリーは気を失いました。このコンタクトは出発点であり、また会おうと、エリーは地球に送り返されたのでした。
コンタクトのネタバレあらすじ:17.キッツ調査委員長の主張「これはハデンの仕掛けた大芝居」
エリーの乗せたポッドは、宇宙移動装置のコアを素通りし落下し、海の保護ネットに落ちました。管制センターのモニターに倒れたエリーの姿が映りました。管制官は装置の機能不良とエリーに告げ、無事なエリーを見て安心していました。エリーは「機能不良ですって? 一体何が起きたの?今日は何日? 何日行ってたの?」と管制官に問いました。エリーはポッドが装置の中をただ落下しただけと聞いて、驚きました。エリーは「行ったのよ。必死になってしゃべったけど、ほんの一瞬も録画されてないの?」と主張しましたが、録画されていたのはノイズだけでした。エリーは、43台のカメラが録画したポッドが真っ直ぐに落ちていく映像を見せられ、驚愕しました。今回の宇宙移動装置の実施結果は“失敗”に終わり、国内外から批判の声が出てきました。それに対処するため、大統領は調査委員会を設置しました。マイケル・キッツは国防顧問を辞任し、この調査委員会の委員長に就任しました。調査委員会が開かれ、エリーは乗員として尋問にかけられました。委員からは「ポッドの存在を見失った時間は1秒以下、そうですね」と問われ、エリーは「はい、地上時間では。私の乗ったポッドはワームホールに入りました。つまり、時空間を通る連絡通路です。相対性理論で私の過ごした18時間は地上では一瞬です」と主張しました。しかし、キッツはそれを証拠づけるものが何もないと反論し、あげくにS・R・ハデンの仕掛けた大芝居ではないかと言い出しました。ちょうどその頃、ソ連の宇宙ステーションのミールにいたハデンは、ガンで亡くなったところでした。真相は闇の中に消えました。
コンタクトのネタバレあらすじ:18.力説するエリー、「我々人類は決して孤独ではありません」
キッツは「オッカムの剃刀」の理論を利用し、エリーの全く証拠のない体験とハデンのうった大芝居とのどちらが非現実的でしょうかと問いつめました。他の委員からは「この計画では莫大な資金と大勢の人の命が奪われた。それでも何の証拠もないあなたの話を信じろと言うのですか」と更に問いつめられました。しかし、エリーは「幻覚だった可能性はあります。でも、科学者として、それは認めます。…でも、できないからです。経験したのは確かです。証明も説明もできません。けれど、私の存在が事実だったと告げています。あの経験は私を変えました。宇宙のあの姿に。我々がいかに小さいかを教わりました。同時に我々がいかに貴重であるかも。我々はより大きなものの一部であり、我々人類は決して孤独ではありません。その事を伝えたいのです。そして、皆さんにほんの一瞬でも感じてもらいたい、あの畏敬の念と希望とを。そう願ってやみません」と涙を流しながら、力説し、訴えました。大勢の傍聴人は彼女の力説に静かに耳を傾けました。その中には、恋人ジョス、大統領首席補佐官コンスタンティンもいました。
コンタクトのネタバレあらすじ:19.「目指すものは同じ、真理の探究。僕は彼女を信じます」
調査委員会によるエリーへの尋問が終了し、エリーは部屋を出ると、恋人ジョスが廊下で待っていました。二人は抱き合いました。エリーがジョスに付き添われ、議会議事堂前を出ると、そこには大勢の人々が集まっていました。「エリー、新世界を発見」というプラカードを持った人もいました。心身に障がいのある人たちもいました。人々はエリーを見ると「エリー」と呼びかけ、握手を求めてきました。みんな、彼女を支持する人々でした。記者たちがジョス神父に「彼女を信じますか?」という質問が出てきました。ジョスはこれに対して「科学と宗教の違いはありますが、目指すものは同じ、真理の探究です。僕は彼女を信じます」ときっぱりと力強く答えました。エリーはそのジョスの言葉を聞き、彼の手をそっと握りました。そして、二人は車で議会議事堂を後にしました。
コンタクトの結末:エピローグ:「地球人だけでは、この広い宇宙がもったいないわ」
大統領首席補佐官コンスタンティンは、調査委員会委員長マイケル・キッツに「せめて援助ぐらいしては?」と助言しました。エリーが携帯ビデオで録画した記録時間が約18時間になっていたことで、1年後、政府からの援助を受け、エリーはその後もミューメキシコのVLAで地球外生命体の探求を続けることができるようになりました。ある日、エリーは見学にきた子供たちから「宇宙にも人がいるの?」と質問を受けました。逆にエリーはその子の考えを尋ねると、その子は「わからない」と答えました。エリーは「いい答えだわ。懐疑的で」と返してあげました。そして、エリーは子供たちにこう話しかけました。「大切なのは、自分で答えを探すことなの。一つだけ確かなのは、宇宙はとてつもなく大きなところよ。…地球人だけでは、この広い宇宙がもったいないわ」と。エリーはミューメキシコの断崖の上にひとり座り、あのコンタクトの感触を思い出しながら、改めて生涯をかけて、地球外生命体の探求を続ける決心をしました。エンドロール、無数の星々が瞬く夜空をバックに、「カール・セーガンに捧ぐ」という言葉が流れました。