罪と罰(別題:罪と罰 白夜のラスコーリニコフ)の紹介:1983年フィンランド映画。フョードル・ドストエフスキーの同名小説を基に、殺人犯となった男の心の闇を描くサスペンス・ドラマ。食肉解体工場で働くラヒカイネンは、ある日唐突に1人の男の命を奪った。事件を目撃した女エーヴァは何故かラヒカイネンを逃がす。警察の捜査を幾度となく躱すラヒカイネン。果たして彼の真意はどこにあるのか。フィンランドの奇才アキ・カウリスマキの初監督作品。別題は「罪と罰 白夜のラスコーリニコフ」。
監督:アキ・カウリスマキ 出演者:マルック・トイッカ(ラヒカイネン)、アイノ・セッポ(エーヴァ)、エスコ・ニッカリ(ベナネン警部)、マッティ・ペロンパー(ラヒカイネンの友人)、オッリ・トゥオミネン(スネマン警部)ほか
映画「罪と罰(1983年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「罪と罰(1983年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
罪と罰の予告編 動画
映画「罪と罰(1983年)」解説
この解説記事には映画「罪と罰(1983年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
罪と罰のネタバレあらすじ:罰としての殺人
舞台はフィンランド、ヘルシンキ。食肉解体工場で黙々と働くラヒカイネンは、仕事終わりに実業家ホンカネンを見かけ、彼のアパートへ向かいました。そして電報だと偽って部屋に侵入し、唐突に彼を射殺します。
そこにケータリング業者のエーヴァが偶然居合わせました。エーヴァは酷く驚いた様子でしたが、何故かラヒカイネンを逃がした後、警察に通報します。
翌日、ラヒカイネンはホンカネンの部屋から盗んだ腕時計などを駅のロッカーに隠しました。警察はホンカネンの周囲を調べ始めます。彼は3年前、酒に酔った上のひき逃げ事件で告発されていましたが、証拠不十分で無罪になっていました。警察はこの事件を注意して捜査を始めることにします。
罪と罰のネタバレあらすじ:それぞれの罪
ラヒカイネンは友人の勧めで工場を休み、エーヴァを訪ねて職場まで足を運んでいました。身元を明かして通報を促すと、エーヴァはラヒカイネンの頬を叩き、何故言わせようとするのかと責めて去っていきます。
宿泊しているホテルに戻ると、部屋で待っていたのは刑事のスネマンでした。尋問させてくれと言われ、ラヒカイネンは渋々応じることにします。
翌日、警察署へ行くとスネマン警部と事件を担当するベナネン警部に迎えられました。警察はラヒカイネンを犯人だと睨んでいます。何故なら3年前、ホンカネンがひき殺したのはラヒカイネンの恋人だったからです。
ラヒカイネンは尋問をかわし続け、当然自白などしません。面通しのために呼ばれたエーヴァは、彼は犯人ではないと答えました。ラヒカイネンは海外に逃げるため、知人に偽造パスポートの手配を頼みます。
罪と罰のネタバレあらすじ:罪の連鎖
翌日の夜、ラヒカイネンはエーヴァと2人きりで話をしました。その様子を、見張っていたスネマン警部に目撃されてしまいます。ベナネン警部は決定的な証拠を掴むため、ラヒカイネンを泳がせることにしました。
ラヒカイネンは路上生活者のソルムネンにロッカーの鍵を渡し、警察に密告しておきます。何も知らないソルムネンは金目の物を期待して駅のロッカーに近付き、警察に捕まってしまいました。ソルムネンを陥れる一方で、エーヴァを部屋に招いて距離を縮めていくラヒカイネン。エーヴァは部屋でホンカネン殺しに使用された銃を見つけ、咄嗟にバッグに隠してしまいます。エーヴァはラヒカイネンの破滅を恐れ、自首を勧めました。
その会話を、ホテルの隣室で聞いていた人物がいます。エーヴァの上司、ハイノネンでした。彼はエーヴァに強く惹かれており、しつこくつけ回していたのです。ハイノネンは事件の真実を使ってエーヴァを手に入れようと、別のホテルに彼女を呼び出しました。
しかしエーヴァは銃を突きつけ、ハイノネンを拒絶します。エーヴァが走り去った部屋で、落ちていた銃を拾い上げるハイノネン。彼はホテル前でラヒカイネンを待ち伏せし、路上で銃を取り出しました。しかしその時ちょうどやって来た路面電車にはねられてしまいます。
罪と罰のネタバレあらすじ:最後の良心
翌日。ラヒカイネンはベナネン警部から呼び出され、警察署へ向かいました。ベナネン警部は、ハイノネンはホンカネン殺しに無関係であること、ソルムネンも犯人とは思えないことを告げます。真犯人はいずれ罪の意識に苛まれ、必ず自首するだろうと話すベナネン警部。彼は真犯人がラヒカイネンであると確信しているのです。
その後、ソルムネンがホンカネン殺しを自白しますが、ベナネンの捜査の手は一向に緩みません。翌朝、ラヒカイネンはストックホルムへ行くという友人を車に乗せ、フェリー乗り場へ向かいました。友人を先に下ろしたラヒカイネンは、偽造パスポートを使いフェリーに乗り込もうとします。
しかしその直前で街へ引き返し、警察署に到着しました。警察署の前に佇むエーヴァを見て微笑んだラヒカイネンは、ベナネン警部の予言通り、ホンカネン殺しを自白します。
罪と罰の結末:ラヒカイネンの「罪と罰」
8年後。面会にやって来たエーヴァに、ラヒカイネンは自分を待つなと話しました。「俺は どうでもいい男を殺した」「虫ケラを殺して 自分が虫ケラになった」と語るラヒカイネン。
彼は「俺が殺したかったのは“道理”だ」と静かに呟きました。そしてエーヴァ自身の人生を生きるように言い、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「罪と罰」のあらすじと結末でした。
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