クロコダイル・ダンディーの紹介:1986年オーストラリア映画。ニューヨークの記者スーは、オーストラリアで取材中片足をクロコダイルに食いちぎられても生還したという男の噂を耳にして、ブッシュの奥地まで取材に向かう。だがそれは大げさに尾鰭が付いた与太話だったが、しかしその当人マイケル・J・“クロコダイル”・ダンディ、通称ミックは、噂に違わぬ話題性たっぷりのタフガイだった。その人柄に惚れ込んだスーは、彼をニューヨークに連れて行く事にする。自然と共に生きるチョイ悪と純朴を兼ね備えるワイルドな男が巻き起こす、ロマンティックラブコメディ。
監督:ピーター・フェイマン 出演者:ポール・ホーガン(ミック)、リンダ・コズラウスキー(スー)、ジョン・メイロン(ウォルター)、マーク・ブラム(リチャード)
映画「クロコダイル・ダンディー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「クロコダイル・ダンディー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
クロコダイル・ダンディーの予告編 動画
映画「クロコダイル・ダンディー」解説
この解説記事には映画「クロコダイル・ダンディー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
クロコダイル・ダンディーのネタバレあらすじ:起
電話するリチャードの相手は、恋人であり同僚の記者でもあるスーでした。彼女は、ある人物を取材したいと予定を越えてオーストラリアに滞在すると言い張っていました。その男の名はマイケル・J・クロコダイル・ダンディーと言い、ブッシュの奥でクロコダイルに襲われ足を失いつつも帰還したと噂になっていた男でした。
スーは、噂の男に会う為に奥地へ向かい、観光会社を共同経営するウォルターと会います。ウォルターは、自分達が拠点とするウォークアバウト・クリークに案内し、そこに宿を取ります。
夜になり、スーはウォルターに件の男の話を聞きます。ウォルターは彼を無口なタフガイと紹介しますが、酒場の店主はその話を聞きつけウォルターが話す度に尾ひれが付くと笑い飛ばします。そこにナイフが一本店に投げ込まれ、ワニに襲われた男が駆け込んで来ました。スーは驚きますが他の客達は心得たもので、彼の登場に盛り上がります。平然とワニを抱えるその男を見てウォルターは、ワニは剥製だとスーに説明します。その陽気でワイルドな風貌をした男は、ウォルターとスーに気付くと近付いてきて自己紹介します。彼こそがマイケル・J・クロコダイル・ダンディー、通称ミックでした。
ミックはスーを踊りに誘います。スーが、足は食い千切られたのでは聞くとミックは裾をまくり、酷い傷跡を見せました。スーは、是非ワニに襲われた場所でインタビューしたいと申し出ます。そんなやり取りをする二人に、余所から来たハンター達が密猟者だって知って居るぞと茶々を入れて来ます。それに対しミックは紳士的に対応し、一発で殴り倒しました。店主が彼等を追い出し、ミックと仲間達は馬鹿騒ぎを続けました。
翌日、ミックはスーを襲われた場所へとガイドを始めます。同時にミックへの取材も始まりました。ミックは、ウォークアバウトと称し18ヶ月ブッシュを彷徨いって居る内に離婚された過去を話し、動物を大人しくさせたりする特技を披露します。豪快且つ調子が良いミックのブッシュツアーは、都会暮らしのスーには刺激的でした。
襲われた現場で、無残な姿を晒すボートを前にミックはワニの凶暴性を語ります。スーはその話に聞き入りながらも、ボートに残っていた薬莢で何をしていたかを問います。
日が沈み、二人は夜営をします。スーは自分の元夫がデモ魔だと語り、ミックに先住民の土地返還活動をどう思うかを聞きます。ミックは土地は誰の物でもない、自分達は元より土地と一体で、唯普通に歩きたいんだと、何気なく蛇を退治しながら話し、眠りに就きます。
スーは突然の銃声で目が覚めます。傍らにミックは居らず、銃声の方向に行くと、前日酒場に居たハンター達が面白半分でカンガルーを狩っていました。そこに何処からともなくミックがやって来て伏せるように言います。スーはハンター達が無闇に狩りをしていると訴えますが、ミックは眉一つ動かしません。しかし彼女が更に抗議すると、ミックはカンガルーの死体を使い、カンガルーがライフルを撃ってるように見せかけてハンターを追い払いました。スーはそれを見て笑みを浮かべます。
クロコダイル・ダンディーのネタバレあらすじ:承
翌日、二人は更に奥地に向かいます。しかし些細な口論からスーは、一人で休憩地点まで向かって見せると単独行動を始めます。ミックは彼女を立てて、陰からそれを見守ります。暫く歩き、スーは川辺で水浴びを始めます。その時、ワニが川から飛び出してきて彼女に襲い掛かりました。ワニはスーが首から下げていた水筒に喰い付き、川へ引き込もうとします。そこにミックが飛び込み、ワニにナイフを突き刺し、彼女の命を救いました。
夜、スーを慰めるミックですが、突然姿を消します。暫くすると先住民が一人現れました。怯えるスーですが、その先住民の背後でいつの間にかミックがナイフを首筋に当てていました。先住民は驚いたと訴えます。彼はミックの友人で集会に行く途中でした。ミックは彼と共に集会に行くと言い出します。スーも付いて行こうとしますが、女人禁制だと断られてしまいました。
ブッシュの奥、踊りと酒を酌み交わす先住民の集会が開かれていました。スーはこっそりそれを覗きに行きます。カメラを構えファインダーを覗くと、ミックが視線を合わせて来ました。
先にキャンプに戻ったスーですが、帰って来たミックに何故気付いたのか聞きます。ミックは好奇心の塊である記者が来ない訳がないと答えました。
ミックの案内は続き、歩く事もままならない重傷を負ったが、何とか生還できた事を語ります。スーはミックに怖くなかったと聞きますが、死に対して自然と受け入れられたと彼は語ります。ミックは自分は食わないブッシュの食材を食べさせて彼女をからかったり、大自然を満喫させます。
スーはミックにニューヨークに行かないかと誘います。凄い記事なると言う彼女にミックは自分に気があるのかと思ったと残念がります。スーはそうかも知れないと認めました。二人はウォルターと合流し、スーはニューヨークにミックを連れて行くと告げました。
クロコダイル・ダンディーのネタバレあらすじ:転
ニューヨークに辿り着いたミックは、現代文明と摩天楼に驚きます。人口が600万を越えるという事を聞いた彼は、仲が良いから同じ所に住めるのだと納得します。街行く人に挨拶をし、出迎えのリムジンの黒人運転手に凄い車に乗っている、どの部族の酋長だと聞いたりと田舎者丸出しですが、本人は気にも留めませんでした。
夜、ミックとスーはリチャードを交え、ディナーの席に着きます。しかしリチャードは酒に酔っていた事もあり、田舎者のミックを馬鹿にします。ミックは隙を見てリチャードを殴り付け、彼をノックアウトしました。リチャードを殴った事に気付いたスーは、すぐにタクシーで帰宅します。ミックはリチャードを無礼な男だと言い、スーは奥地じゃないのだから殴るのは野蛮だとミックを詰ります。ミックはリチャードに惚れて居るのかと聞きます。スーは、彼を優しい男で愛していると答えました。
タクシーはスーとリチャードを降ろしホテルに向かいます。ミックは酒場に案内してくれと運転手に頼み、彼を酒に誘います。
新聞で有名になったミックは酒場で人気者でした。物怖じしないミックは皆に故郷の事を話して聞かせます。ミックは都会の不可思議な洗礼も受けたり、帰り際、娼婦と知らず女に声を掛け、ポン引きと揉め彼を殴り倒したりと、楽しい一夜を過ごしました。
滞在日数を重ね、ミックはホテルの従業員とも仲良くなり、都会に居り合いをつけ始めていました。自分の価値観を崩さず真っ直ぐに生き、強盗も意に介さず追い払う頼もしさに、スーはターザンに寄り添うジェーンのようだと彼に惹かれて行きます。そんなある日、社主でもあるスーの父親は、ミックを夕食会に招待するようスーに申し付けました。
クロコダイル・ダンディーの結末
夜、ミック達はリムジンで屋敷に向かいます。彼等が車を降りると、屋敷の番犬が放たれていました。しかしミックは動じず、吠え掛かるドーベルマンをお得意の技で大人しくさせます。
スーの父親は、ミックと対面出来て喜びます。ミックは彼女の父親や上流の客達にいつものように気さくに挨拶をして回ります。
皆が席に着きます。リチャードは、晩餐会が始まる前にスピーチを始めました。最初は彼女の功績を称えた物でしたが、彼は徐に指輪を取り出しスーに求婚をします。照れるスーを見て、ミックはショックを隠し切れませんでした。
晩餐会が終わり、ミックはリムジンで送って貰います。彼は真っ直ぐホテルに帰らず酒が買いたいと運転手に言います。すると運転手は、持っていた酒瓶を手渡しました。
途中で降りたミックは、一人裏路地を歩きます。すると女性が目に入り、以前出会った人物だと思い声を掛けますが別人でした。しかしそこに、前に殴ったポン引きが仲間を引き連れ現れ、ミックは窮地に陥ります。そこにリムジンが駆け付け、ポン引きを弾き飛ばしました。運転手は車を降り、逃げる仲間に向けて三日月型の車載アンテナを壊して投げ付けて倒します。ミックはその手並みに、どこかの部族の一員じゃないのかと聞きます。すると運転手は、ハーレムの戦士だと嘯きました。
翌日スーは、ミックのホテルに電話します。しかしミックはテレビの音で気付きません。電話を諦めたスーに受付は、彼が今日チェックアウトする事を告げます。スーは思い立ったかのようにホテルに向かいます。
ミックは親しくなったドアマンに別れを告げます。ドアマンが何処に行くのかと聞くと、ウォークアバウトに出ると彼は答えました。ミックは街を出る方法を聞き、ドアマンに地下鉄が良いと薦められそれに従います。
それと入れ違いにスーがホテルにやって来ます。リムジンには父親も乗っていて、本気なのかと聞きます。感情が高ぶっている彼女は良く判らないと答えミックに会いに行こうとしますが、ドアマンに地下鉄へ向かったと教えられそちらに向かいます。
最初歩いていたスーですが、次第に走り始め、邪魔になったハイヒールも脱ぎ捨てます。
ミックはスーが追ってくるのも知らず地下鉄へ降り、ホームに立ちます。スーもホームに向かいますが、人垣が邪魔でミックに近付けません。彼女は大声を上げてミックに呼び掛けますが、彼は気付きませんでした。ですが困った彼女を見かね、男が二人、リレーでミックに呼び掛けます。ミックは驚き、何をしに来たかとリレーで問います。するとスーはリチャードと結婚しない、貴方を愛していると伝えてくれと頼みます。ミックはリレーされた言葉を聞き、喜びます。そしてホーム一杯に居る人垣を踏み越え、スーの元に向かいました。
人々は、踏んで行くミックを喜んで祝福します。スーの所に辿り着いたミックは、彼女を抱き締めるのでした。
この映画「クロコダイル・ダンディー」は、実に爽やかな作品だ。
オーストラリアのジャングルで、ワニを相手に生き抜いて来た冒険家。
そんな彼が、ニューヨークへ乗り込んで行く事になる。
オーストラリアの大自然と、犯罪多発の街ニューヨークとの対比が、実に面白い。
ニューヨークの街では、チンピラ共が暴れまくっている。
冒険家のポール・ホーガンは、ジャングル仕込みの腕前で、いとも簡単に、次々とチンピラ共をやっつけて行く。
公開されたアメリカの映画館では、もう大爆笑、大拍手の盛況だったらしい。
現実のチンピラ共の犯罪に、アメリカの善良な市民が、いかに頭を悩ませているか、映画館での反応は、それを物語っていたようだ。
そして、この映画のヒーローは、何とも気張らず、自然体のところが、実にいいのだ。
アメリカ映画が、アメリカのチンピラの撃滅を描くとすると、「ダーティー・ハリー」や「コブラ」のように、どうしてもスーパーヒーローとして大上段に構えてしまうものだ。
それはそれで面白いのだが、この「クロコダイル・ダンディー」の主人公は、いとも気楽にやってのける。
アメリカ映画の場合は、文明のヒズミを、文明の中の正義で解決しようとしてみせた。
ところが、このオーストラリア映画は、自然を相手に生き続けて来た、人間のネイティブな命の力を再確認させてくれる。
その為、この映画はとても爽やかで、楽しいのだ。
そして、全く暗さがないのだ。
決してスーパーマンではないけれど、現代人に人間の逞しさを思い起こさせてくれる。
主演のポール・ホーガンは、我々観る者の心に涼風を呼ぶのだ。
湖面を渡る、風のような映画だと思う。