デーヴダース 魅惑のインドの紹介:2002年インド映画。10年ぶりにロンドンから帰国したデーヴダースが訪ねたのは、小さい頃から結婚を夢見ていたパロー。だが、母親同士のいさかいのためデーヴダースは家出、パローはタークルに嫁がされてしまう。デーヴダースは希望を見失い、高級売春チャンドラムキーの館に入り浸り、アルコールに蝕まれてゆく・・・。
監督:サンジャイ・リーラー・バンサーリー 原作:サラットチャンドラ・チャトパディー 出演:シャー・ルク・カーン、マードゥリー・ディクシト、アイシュワリヤー・ラーイ、ジャッキー・シュロフ、キロン・ケール、ほか
映画「デーヴダース 魅惑のインド」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「デーヴダース 魅惑のインド」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「デーヴダース 魅惑のインド」解説
この解説記事には映画「デーヴダース 魅惑のインド」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
【はじめに】
今やときめくボリウッド映画。
多くのレンタルDVDショップでも韓流コーナーが消え、代わりにボリウッド映画コーナーになっているほど、多くの映画マニアを虜にしているインドの映画です。
さて「デーブダース」。
一言でいいます・・・・
主役の男女・・・根性が足りなかった。
二人にもっと根性忍耐があれば・・・・
「つっこみ」満載なので、実際につっこみながら映画のストーリーをご紹介していきたいと思います。
【時代物大恋愛映画】
1917年に書かれた小説が原作、とのことなので、1900年初頭の、インドの上流階級が舞台。
御曹司のデーブが約10年ぶりにロンドン留学から帰国。
10年もロンドンに留学していたのに、まったく垢ぬけていない上、英語もインド訛りのまま、というつっこみがまず入ります。
ロースクールにいた、というわりには賢そうにも見えない。しかもまたもや・・顔が悪い・・・
主役のShahrukh Khanは大物男優でスーパースター。
でも客観的に見て顔が悪い。
どうしてボリウッド映画にはイケメンの男優がいないのだろう・・・
ボリウッド女優たちは日本でもアメリカ、ヨーロッパでも通用するような垢抜けた美女が多いのに、男優の多くはどこかバタ臭い。
女優たちは世界の流行についていっているのですが、どうも男優たちはそうではないということなのでしょうか。
映画のストーリーに戻ります。
隣の屋敷に住むパーロー。
非常に可愛い女の子。
色白で本当に可愛いので大いにもてただろうに、10年間のうち、たった五通の手紙しか送ってこなかったデーブ一筋。
あんなに無邪気で可愛い明るい若いお嬢さんが、10年間のうちでたった五通の手紙しかよこさなかった青年を想い続けた・・・
うーん、ありえるのでしょうか・・・
【ようやく初恋の人と再会】
そしてそのデーブがついにインドに帰ってきた!
「向こうにいる間に私のことは思いだしたことがあるの?」
パーローの問いに対してデーブは、
「Whenever I breathed(息をするたびに君を思ったよ)」と答える・・・
さすがインド男です、臆面もなくぬけぬけと平気ですらすらこんなくさい台詞を口に出せるとは・・・
パーローの両親の住む屋敷を描写するならば、まさにそこは、カトリック教会とラブホテルを足して2で割ったような屋敷。
ゴテゴテしたステンドグラスだらけの、メトロポリタン博物館ぐらいの規模の建物。
ちなみに、とてつもない広さの屋敷なのに、なぜか玄関でのコソコソ話が、2階にまで聞こえたりします。デビルマン並みの聴力でなければ聞き取れない距離のはずなのですが。
この一家はスーパー富豪に見えるのですが、なんと・・・上には上がいるもので、お隣に住むデーブの両親に言わせると、「パーローの家族は、うちよりも数段も家の格がいくつも下」とのこと・・・
もしかしてカースト制度のことを示しているのかもしれません。
一見同じくらいの財力の家に見えても、実はパーローの一家のほうが下の「階級」なのかもしれません。
デーブとパーローは毎晩、望遠鏡でお互いを覗きあっています。
映画ではそれを微笑ましく描いていますが、若い男女が望遠鏡でそれぞれの家の盗み見しているのです。
現代の日本の感覚でいうと、ちょっと気持ち悪いのですが、「お互いのフェイスブックのページをこっそり覗いているようなもの」と、無理やりそのように解釈すれば、寒気がおさまります。
二人の想いは高まっていっていき、結婚を願います。
しかしデーブの両親はこの二人の結婚に猛烈に怒ります。パーローは駆け落ちを提案します。
ところが意気地なしのデーブはそれを躊躇。
さらに彼は自分の父親と喧嘩をし、一人で家出を決行。(人の好い下僕も同行)
パーローは「私も連れていって」と願いますが、なんと彼女には挨拶もしないでさっさと馬車でいなくなってしまいます。
おや?呼吸するたびに想っていた女性じゃなかったの?
しかも後日、
「僕のことは忘れてくれ。君と結婚すると父親が悲しむから、それはできないんだ」と手紙をよこしてきます。
家出をして父親をすでに十分悲しませているくせに、この言い草・・・
デイブは10年間にも及ぶ長いロンドン留学で一体何を学んできたのでしょう。
【青年は家出して放蕩生活へ、娘は玉の輿結婚へ】
成人した男が親に啖呵を切って勇ましく家出をしました。
当然、自立の道へ進むかと思いきや、デーブは飲んで遊んでフラフラしているだけ。
家出に同行した下僕男に、自分の身の回りの世話も全部させています。
一方、デーブにこっぴどく振られたパーローは、かなり年上の、かなりの大金持ちの男のところに嫁ぐことになります。
しかし彼女の結婚の日にデイブは戻ってきます。
「君に出した手紙は間違いだった、やっぱり僕と一緒になって」。
舌打ちしたくなります。
なぜ結婚式当日にお前は舞い戻ってくるのだ・・・・
彼女を迎えに来る花婿のご一行様はもうすぐそこまで来ている・・・
彼女はデーブを振り切って、予定通りかなりの大金持ちらしい男のもとへ嫁ぎます。
結婚した男には、他界した前妻との間の子供が二人いました。
パーローはいきなり妻だけではなく母親に、そして大屋敷の女主人にもなったわけですが、見事すべての役目を果たしていきます。
うぶな可愛い顔の若い女性なのですが、彼女は実はとても聡明で勤勉家で強く、したたかな性格というのも分かります。
一方のデーブはアル中になっていき、朝から晩まで飲んで酔い潰れて「パーロー、パーロー」とぼやいているだけ・・・
こんな男なのに、なぜか気位が高く頭が良くて性格もいい美人高級娼婦までもがデーブに夢中になり、彼の身の回りの面倒を見てやります。
「顔は悪いけど、この俳優はインド版キムタク。だからモテモテの役なんだ」
と自分に言い聞かせて見ていると、この話の展開になんとかついていくことができます。
そうでもしないと、「どうしてこんなイイ女がこんな文無し同然のアル中男なんかを・・・」と腑に落ちません。
【結末・別れたはずの二人は結ばれるのか?】
デイブは飲み過ぎた結果、重篤な病気になります。
しかし亡くなる前に、本当の愛情友情というものにやっと気付きます。
消えかかる命を抱えながら初恋の女性パーローに許しを求めるために再度故郷に戻っていきます。
別の視点でいえば、彼を一番面倒見た高級娼婦の女性が気の毒・・・
色々省略しましたが、お話は以上。
つっこみはとにかく満載で、全てにおいて非常に「ベタ」なストーリーです。
しかしスーパー上流階級の世界、しかも時代は1900年代初頭。最初から最後まで映像は豪華絢爛。
娼婦の館もお金持ちのための館、という設定なので宮殿のよう。
まさに夢のボリウッド映画の世界。
パーロー役の女優も娼婦役の女優も絶世の美女で、女性の観客でも思わず見とれます。
彼女たちが身にまとっているゴージャズで時代劇かかった衣裳にもうっとり。
またクサい台詞だけではなく、いい台詞もたくさん散りばめられていました。
陳腐な内容と言ったらそれまでなのですが、脚本はわりとしっかり書かれています。
カメラワークも上手で、編集もうまく、どの踊りのシーンも最高で、何よりも美人女優たちの演技が良いです。
それぞれの母親役の女優たちも、デーブの意地悪な義姉役の女優もみんないい味を出しています。
とりわけ娼婦の描き方が良いです。
本人も好んでこの職業になったわけではないのだけど、様々な事情で娼婦になってしまった、無論一生差別されていくことは分かっている、身分立場をわきまえて生きていく。
「しかしあなたたち、上流階級の地主の男たちが客として私たちのところに来ては不幸な娘を生み出しているのよ・・・
でも上流階級は、娼婦が産む娘たちを見下している・・・これをどう思うの?」
という激白の台詞の部分など非常に重みがあります。
女優たちの素晴らしい演技やダンスのおかげで、本当にいい作品に仕上がったのではないでしょうか。
【ドラマチックな映画好きにはぴったりの映画】
全ての衣装、舞台背景の映像もただ、ただ溜息。
BBCがよく製作する、ヒストリカル・ロマンスドラマが好きな人なら、絶対にこの映画も気に入るはず。
とにかくまさにこれぞ、エンターテイメント大作映画。
映画を見終えた感想は「主役の男女の悲恋が気の毒」ということよりも
「インドでも女性のほうが逞しく聡明なのかな」ということ。
そしてとにかく「根性」は必要なんだ、ということです。
主役の二人がもう少し粘り強ければ、彼らは幸せになれた上に周囲もうまくいったのに・・・・
情熱的で純粋かと思いきや、妙なところで諦めたり意地を張ったりつっぱねたりしたがために、話はややこしくなり大悲恋物語となってしまいました。
もう少し物事はシンプルに気軽にとらえて、そして根性を持っていれば、もっとうまくいっただろうに・・・
しかしそれだと大河メロドラマにはならないので、やはり主役の男女はこのくらいナルシストで我儘で頑固ではないといけないのでしょうね・・・
以上、映画「デーヴダース 魅惑のインド」のあらすじと感想でした。
「デーヴダース 魅惑のインド」感想・レビュー
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主演男優の顔がバタ臭いと書かれていますがインドの大スターと知らずに言ってるんでしょうか? 日本で言えば西城秀樹顔と言えると思いますよ。インドも様々な民族の融合で色んなタイプの顔の人がいますよ。
圧巻はアイシュワリヤー・ラーイとマドゥリードゥクシトのダンスです。振付けも素晴らしく衣裳も美しかった。
上記のあらすじには、主演男優は顔が悪い、と書かれていますが、カッコいいですよ、シャー・ルク・カーン‼︎ 私はシャー・ルク・カーン観たさにこの映画観ました。が‼︎ 確かにこの映画では、全く不甲斐ない男性を演じてましたね。愛する女性と結ばれなかったことで失意のどん底に落ち、お酒に溺れて人生を棒にふってしまう。どんなダメダメ男でも最終的にはカッコいいヒーローになってしまうインド映画にあって珍しいパターンだと思います。そんな情けないデーヴダースとは対称的に気丈でどこまでも愛する男性を守り続けようとするパロとチャンドラムキ。男なら、まだ一途に自分のことを想い、望まない結婚のために不幸になっている愛しい女性を奪い返して救ってやれよー、と弱気なデーヴダースにいらいらしつつも、この映画をリピートして観てしまうのは、アイシュワリヤー・ラーイとマードゥリー・ディクシトという、インド映画界を代表する美女二人が演ずるところのヒロインたちの魅力的な演技と存在感のなすところ。何と言っても、映画後半の、この絶世の美女二人が共演する夢のようなダンスシーンは、この映画の一番の見どころです。このヒロイン達の完璧な美しさと完璧なダンスに魅了されるこのシーンを観るだけでも十分すぎるほどの価値ありです。