8 1/2の紹介:1963年イタリア映画。巨匠フェリーニ監督の代表作。映画のオールタイム・ベストの常連で、幻想と現実が混沌となったその内容は多くの映画監督に強い影響を与えた。アカデミー賞外国語映画賞ほか多くの賞を受賞。
監督:フェデリコ・フェリーニ 出演:グイド(マルチェロ・マストロヤンニ)、グイドの妻ルイーズ(アヌーク・エーメ)ほか
映画「8 1/2」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「8 1/2」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
8 1/2の予告編 動画
映画「8 1/2」解説
この解説記事には映画「8 1/2」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
8 1/2のネタバレあらすじ:起
出口間近のトンネルで車が渋滞中。その中の1台に主人公グイドが乗っています。閉じ込められることに耐えられなくなった彼は車から外へ。するとその体がなぜか軽々と空中に浮かび、そのまま空を飛んでゆこうとします。しかし、海辺に寝そべった中年の男がグイドの足に結ばれたロープを引っ張るため、彼はそのまま落下。そこでグイドは目覚めました。彼は映画監督です。次の映画を製作中ですが、スランプに陥って新しいアイデアが出ません。そこで温泉地に来て構想を練ろうとしているのです。映画評論家に来てもらって自分のアイデアを検討してもらいますがこっぴどく叩かれ、さらに気分は落ち込んでしまいます。おまけに愛人が勝手に訪ねてきたため、彼女の機嫌もとらなければなりません。
8 1/2のネタバレあらすじ:承
やがて製作スタッフやマスコミが温泉地に押し寄せ、グイドに無理矢理仕事にかからせようとします。しかし、すっかり厭世的になった彼はその要求から逃げ回ります。神経衰弱のせいか、彼は何度も白昼夢を見ます。それは小さい頃の体験ばかりで、海辺での太った売春婦のダンスや、カトリックの学校で神父に叱られたことなど。それを映画に取り入れようと考えても、そこにいた映画評論家は「感傷的すぎる」と批判します。宗教に頼ろうと、カトリックの枢機卿とも面会。しかし彼も幸せではないと知って、気鬱は深まるばかりでした。
8 1/2のネタバレあらすじ:転
喧嘩中の妻を呼び出して一緒にダンスをし、一旦は夫婦仲も修復するかと思われましたが、結局は仕事のことが原因で彼女を放ったらかしに。製作スタッフは浜辺に大きな鉄骨組のロケットを作って撮影開始を待っています。愛人はついにグイドの妻の前に姿を現し、さらにトラブルの種を作ります。グイドは以前にも増して幻想に浸り始め、自分がハーレムの主になった夢を見ます。最初は意のままに女性たちを扱っていましたが、すぐに彼女たちは叛乱を起こしてグイドを支配。夢に逃げ込むこともままなりません。
8 1/2の結末
グイドはセット現場で催された記者会見を途中で逃げ出し、映画は製作中止と決まります。グイドは取り壊されるセットを見ながら急に悟ります。混沌とした人生をそのまま受け入れることこそが大事なのだと。改心して妻にやり直しを懇願すると、彼女もそれを受け入れます。セットに突然、彼がそれまで関わった過去現在の人々が登場し、円をつくって踊り始めます。その動きを指示するグイド。やがて人々が消えると、そこには少年時代のグイドだけが残っていました。
タイトルの「8 1/2」は、フェデリコ・フェリーニ監督がそれまでに作ってきた作品の数を意味しています。その時点で壁に突き当たった自身の内的な葛藤そのものを作品にするという、大胆な発想です。幻想シーンはことごとく過去の事柄がモチーフになっており、将来的な展望が得られない苦しさが感じられます。何もない部屋の中で床を磨くアヌーク・エーメさんの映像は、本当に夢の中のようで、迫るものがあります。