エル・クランの紹介:2015年アルゼンチン映画。80年代のアルゼンチンを震撼させた、歴史的な犯罪者一家の実話を映像化した。7人家族の平和で裕福なプッチオ家。独裁政権の崩壊で父親が失職。富裕層を誘拐して身代金を奪う犯罪を家族ぐるみで行うようになるが…。製作は、「オール・アバウト・マイ・マザー」(1998)のペドロ・アルモドバル。第72回ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞したサスペンス・ドラマ。
監督:パブロ・トラペロ 出演者:ギレルモ・フランセ―ヤ(アルキメデス)、ピーター・ランサーニ(アレハンドロ)、リリー・ポポウィッチ(エピフェニア)、ガストン・コッチャラーレ(マギラ)、フランコ・マシニ(ギジェルモ)、ジゼル・モッタ(シルビア)ほか
映画「エル・クラン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「エル・クラン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
エルクランの予告編 動画
映画「エル・クラン」解説
この解説記事には映画「エル・クラン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
エルクランのネタバレあらすじ:起
軍事独裁政権が崩壊し、民主政治を取り戻した80年代のアルゼンチン。軍のもとで働いていたエリート、アルキメデス・プッチオは職を失います。妻、3人の息子、そして2人の娘という7人家族のプッチオ家。経済的に追い詰められたアルキメデスは、政府や軍から情報を仕入れながら“誘拐業”に手を染めていました。娘達は父親の裏の顔を知りませんが、長男のアレハンドロと次男のマギラは誘拐の手伝いをすることもありました。しかし、ある時からマギラはニュージーランドへ行ったきり戻らず、母親のエピフェニアは心配していました。ある日、アルキメデスは、アレハンドロが属するラグビーチームの仲間リカルドを誘拐。自宅の一室に監禁します。リカルドを誘い込んだのはアレハンドロでした。アルキメデスはリカルドの両親に電話し、身代金50万ドルを用意しろと迫ります。ラグビーチームはリカルドの行方不明で大騒ぎになりますが、アレハンドロは無言を貫きます。アレハンドロは、父親の資金でスポーツ用品店をオープンさせます。
エルクランのネタバレあらすじ:承
アレハンドロは、リカルドが射殺された姿で発見されたと聞きショックを受けます。アルキメデスは、リカルドに逆上されて仕方なしに撃ったと言います。落ち込むアレハンドロでしたが、店にサーフスーツを買いに来たモニカと知り合い恋愛感情を抱きます。アルキメデスは、次なる標的に裕福なロレンシオ一家の息子エドワルドを選びます。いつものように自宅の一室にエドワルドを監禁したアルキメデスは、両親に手紙を書かかせます。怯えながら手紙を書き終えた直後、エドワルドは射殺されます。今回も計画は成功し、アルキメデスは100万ドルもの身代金を手にします。1983年12月。独裁崩壊の末、事件を起こした軍の関係者が次々と逮捕される中、アルキメデスの立場も危うくなっていきます。そんな中、三男のギジェルモがラグビーの遠征試合に出ることになります。別れ際、ギジェルモはアレハンドロにだけ本心を打ち明けます。「パパは犯罪者だ。あの家にいたらだめだ。僕はもう戻らない」。
エルクランのネタバレあらすじ:転
アルキメデスは次の誘拐計画をアレハンドロに指示します。しかしアレハンドロは躊躇し、モニカと結婚すると言います。アルキメデスは息子抜きで仲間達と誘拐を実行しますが、手違いが起こり車内で人質を射殺してしまいます。白昼、大慌てで逃げ帰ったアルキメデスは激怒し、お前のせいで失敗したとアレハンドロを責め立てます。その後、ニュージーランドから次男のマギラが帰国します。家族は笑顔でマギラを迎えました。アレハンドロが頼りにならないと踏んだアルキメデスは、マギラと一緒にある実業家の中年女性を誘拐します。女性はプッチオ家の一室に閉じ込められました。アルキメデスは女性の息子に電話をかけ、身代金を催促します。ところが息子はなかなか交渉に応じず、時間をくれと言うばかりです。アルキメデスは焦ります。監禁された女性は昼夜問わず叫び声をあげ、何も知らない娘は怯えて泣き出します。
エルクランの結末
夜、車内にいたアルキメデスとマギラを警官が取り押さえました。その後、アルキメデスの家で家宅捜索が行われます。人質女性を救出し、エピフェニアと娘達、そしてアレハンドロとモニカも警察に連行されます。アルキメデスは、脅迫電話のテープ音声をつきつけられます。しかし、何かの組織に脅されてやっただけで自分は無実だと主張。判事は、自分の罪を認め、せめて家族だけは助けるべきだと諭します。アルキメデスとアレハンドロが獄中で顔を合わせます。アルキメデスは、父親を刑務所に入れたいのかとアレハンドロをなじり、裏切り者の恩知らずと罵ります。我慢できなくなったアレハンドロが襲いかかり、父親を何度も殴ります。裁判所に連行されたプッチオ家の3人ですが、アレハンドロは手錠をはめたまま飛び降り自殺を図り未遂に終わり、マギラは懲役12年の判決を受けた後に逃亡。そして無期懲役のアルキメデスは、獄中で司法試験に合格し弁護士となります。
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