パラドクスの紹介:2014年メキシコ映画。無限ループする世界に閉じ込められた人々の恐怖と悪夢を描いたメキシコ発のシチュエーション・ループ・スリラーです。犯罪者の兄弟とそれを追う刑事、4人家族の一家全員が突如として1階へ下りるとなぜか最上階の9階へと戻るビルやいくら進んでも同じ道に帰ってしまう道など出口のない世界に閉じ込められ…。
監督:イサーク・エスバン 出演者:ラウル・メンデス(マルコ)、ナイレア・ノルビンド(サンドラ)、エルナン・メンドーサ(ロベルト)、ウンベルト・ブスト(カルロス)、フェルナンド・アルバレス・レベイル(オリバー)、ポーリナ・モンテメイヤー(カミーラ)ほか
映画「パラドクス」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「パラドクス」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
パラドクスの予告編 動画
映画「パラドクス」解説
この解説記事には映画「パラドクス」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
パラドクスのネタバレあらすじ:起
2017年。
犯罪者のカルロス(ウンベルト・ブスト)と弟のオリバー(フェルナンド・アルバレス・レベイル)は、中年のマルコ刑事(ラウル・メンデス)に追われていました。オリバーはマルコ刑事から罪を自白されられますが、無実を主張するカルロスはオリバーと共に逃亡しました。途中でカルロスはマルコ刑事に足を撃たれ、とあるビルへ逃げ込みましたが、突如として大きな爆発音がしたのと共に、カルロス・オリバー・マルコはビルに閉じ込められて、出られなくなってしまいました。
このビルは携帯電話も繋がらず、非常階段を下って1階に行くと、なぜか最上階の9階に辿り着いており、それは無限に続くループとなっていました。階段から他の部屋に行くこともできませんでしたが、なぜか1階と2階の間には自動販売機が設置されていました。
やがてカルロスの足の傷は悪化していき、オリバーは自動販売機で水を買って傷口の消毒をしましたが出血は止まりませんでした。仕方なくマルコ刑事は自分が持っているモルヒネをカルロスに痛み止めとして与えました。マルコ刑事はこの日は15回目の結婚記念日で、妻子と食事に行く予定だったことを嘆きました。
数日後、カルロスの容体は悪化していきました。なぜか自動販売機には常に新しい水や食料が自動的に追加されており、3人は不可解な状況の中で一緒に生き延びるしかありませんでした。やがてカルロスは息を引き取り、ビルにはマルコ刑事とオリバーの二人だけが取り残されました。
パラドクスのネタバレあらすじ:承
1980年。
サンドラ(ナイレア・ノルビンド)という女性は、息子のダニエル(ガブリエル・サントヨ)と娘のカミーラ(ポーリナ・モンテメイヤー)、再婚相手のロベルト(エルナン・メンドーサ)と4人で暮らしていましたが、ダニエルはロベルトのことを嫌っていました。カミーラは喘息持ちで吸入器が手放せない生活を送っていました。
ある日、一家はダニエルとカミーラの実父の元へ行くため車で出発しました。田舎の一本道を走った一家は途中のガソリンスタンドで休憩を取ることにしましたが、ロベルトがカミーラに買い与えたジュースにアレルギー物質が入っていたことからカミーラは発作を起こしショック状態に陥ってしまいます。慌てたロベルトは誤って吸入器を落として割ってしまい、予備用の吸入器も自宅に忘れてしまっていました。
カミーラの症状が悪化していくなか、一家は急いで家に戻ろうとしましたが、大きな爆発音と共に、何の変哲もない一本道はどこまで行っても同じ場所に出てしまう無限ループ状態になってしまいました。結局一家は家に辿り着けず、カミーラは命を落としてしまいました。
パラドクスのネタバレあらすじ:転
2052年。
35年もの間非常階段に閉じ込められたままのオリバー(ヘクター・メンドーサ)とマルコ刑事(レオネル・ティナジェロ)は助け合いながら何とか生き延びていました。オリバーは中年となり、マルコ刑事はすっかり年老いていました。二人は自動販売機から毎日のように出続けるカップラーメンやパンを食べ、ペットボトルの水を飲み、排泄は空のペットボトルの中にしていました。オリバーとマルコ刑事はカルロスの白骨化した遺体を階段の壁に掲げて毎日祈りを捧げていました。
2005年。
35年もの間、一本道から抜け出せないままの一家は年齢を重ねていました。サンドラ(レティシア・ゴンサレス)は認知症を患い、ロベルト(マルコス・モレノ)もすっかり年老いていました。サンドラとロベルトは車中生活を送り、中年になったダニエル(ラウル・メンデス)は二人から離れて道の外の緑の中で暮らしていました。久しぶりにサンドラに会ったダニエルは、母が自分のことを全く覚えていないことに衝撃を受けました。やがてサンドラもこの世を去り、ロベルトはダニエルに「それが老人だ」と語りかけました。
2052年。
マルコ刑事は遠い昔にロベルトが言った「それが老人だ」との言葉を思い出していました。実はマルコ刑事は一本道に閉じ込められたダニエルその人であり、このことを話したら自分は死んでしまうことを前置きしたうえでオリバーにこの世界の真相を語り始めました。
パラドクスの結末
2005年。
自らの死期を悟ったロベルトはダニエルにこの世界の真相を語り始めました。ロベルトの本名はルーベンであり、実は一本道の無限ループに入る前に一度同じようなループを35年もの間経験していたというのです。
1949年。
少年時代のルーベン(サンティアゴ・メンドーザ・コルテス)は親友のフアン(エリック・トリニダード・カマチョ)と共に学校遠足に行ったのですが、指導員と共にいかだに乗っていた時に無限ループに巻き込まれ、数日後にフアンは命を落としてしまいました。それから35年もの間、ルーベンは指導員と共にループから抜け出す方法を考えていましたが、この指導員もまたかつて列車に乗っていた時に35年もの間無限ループに閉じ込められていたのです。
無限ループに閉じ込められた理由とは、このループ世界はパラレルワールドであり、現実世界で本当の自分が起こしたことへの代償の意味が込められていました。マルコ刑事とオリバーはカルロスを死なせた代償であり、ダニエルとロベルトはカミーラを死なせた代償だったのです。
2052年のマルコ刑事はオリバーに、2005年のロベルトはダニエルに、無限ループを抜け出したら絶対に自分の名前を忘れるなとアドバイスしました。続けてマルコ刑事はオリバーに、決してエレベーターに乗るなと忠告してこの世を去り、ロベルトはダニエルに、決してパトカーに乗ってはいけないと忠告してこの世を去りました。
2005年。
ダニエルはようやく無限ループから抜け出しました。しかし、自分の名前を忘れてしまっていたダニエルは忠告を無視して道の先にあるパトカーに乗ってしまい、そこでマルコ刑事となりました。
2052年。
無限ループから抜け出したオリバーもまた自分の名前を忘れてしまっていました。オリバーもまた忠告を無視してエレベーターに乗り込んでしまい、ホテル従業員のカールとなりました。そしてカールはたまたまエレベーターに乗り合わせていた新婚の夫婦(アドリアン・ラドロン、ルチアナ・ビジェガス)と共に再び無限ループに巻き込まれていきました…。
以上、映画「パラドクス」のあらすじと結末でした。
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