C階段の紹介:1985年フランス映画。パリのありふれたアパルトマンを舞台に、そこに暮らす人々の姿を描くドラマ作品。美術評論家フォステールは確かな審美眼を評価されているが、同時に高慢で皮肉屋な性格も有名だった。他人を見下しつつもアパルトマンの住人達とは適度に付き合う毎日。そんなある夜、アパルトマンの住人マダム・ベルナールが首吊り自殺をしてしまう。初めて他人に同情したフォステールは、これまでの自分を見直し人間的に成長していくのだった。
監督:ジャン=シャルル・タケラ 出演者:ロバン・ルヌーチ(フォステール・ラフォン)、ジャン=ピエール・バクリ(ブルーノ)、カトリーヌ・ルプランス(フロランス・マルタン)、ジャック・ボナフェ(クロード)、カトリーヌ・フロ(ベアトリス)ほか
映画「C階段」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「C階段」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
C階段の予告編 動画
映画「C階段」解説
この解説記事には映画「C階段」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
C階段のネタバレあらすじ:起・アパルトマンの人々
舞台はフランス、パリ14区。とあるありふれたアパルトマンでは、住人達の様々な人間模様が毎日紡がれていました。美術評論家のフォステール・ラフォンは、確かな審美眼を武器に鋭い評論を発表し続ける業界の有名人です。しかし高慢で皮肉屋、お世辞にも良いとは言えない性格から敵も多い人物でした。
アパルトマン中に響きわたるような声で痴話喧嘩を繰り返しているのは、売れない作家ヴィルジルとタイピストのベアトリスです。2人は恋人同士で、喧嘩しては仲直りする暮らしを続けていました。
彼らの喧嘩をフォステールと見物するのは、友人のブルーノです。彼は気ままな独身生活を送っており、時折フォステールに金の無心に来ていました。毎晩泥酔して帰って来るのは印刷工のジョス。
ゲイのクロードは愛人と騒ぎを起こし、傷だらけのところを住人に発見され介抱されます。彼は密かにフォステールを愛していました。住人達とあまり交流が無いのは、孤独な老婦人マダム・ベルナールです。フォステールは彼女を気にかけていましたが、特別話しかけることもありませんでした。
C階段のネタバレあらすじ:承・高慢なフォステール
そんなある日、フォステールはメッサンジェ画廊に足を運び、新しい広報担当フロランス・マルタンに惹かれます。巧みに気を引いたつもりでしたが、高慢な口ぶりが災いして彼女との仲は険悪になってしまいました。フォステールは水漏れを注意したことがきっかけで、毎朝クロードの部屋で食事をするようになります。
窓からマダム・ベルナールを見つけたフォステール。クロードは、彼女はアラブ人とユダヤ人の混血で、夫と娘を亡くしていると教えました。知らなかったと呟くフォステールに、クロードは「人の心から離れてるからさ」と笑います。
後日、画廊のパーティに出席したフォステールは、平凡なスピーチをするマルタンのおじを嘲笑し彼女から激怒されてしまいます。フォステールはそのパーティで感動を覚えるほどの絵画に出会いました。作者の名前はコンラッド、無名の画家です。フォステールは是非個展を開くべきだと考え、マルタンにもその旨を伝えました。
C階段のネタバレあらすじ:転・思いがけない悲劇
ブルーノは近頃1人が侘しいと感じていました。そこでアパルトマンの新顔であるシャルロットと結婚したいと考え始めます。彼女には幼い娘アニタがいました。フォステールは男性から男性へと渡り歩くシャルロットを娼婦扱いし、ブルーノを激怒させてしまいます。
苛立つフォステールはマルタンから自宅に誘われ、一気に有頂天になりました。当然夜の誘いも含まれていると思い込んでいたのですが、マルタンはあくまでコンラッドの個展について打ち合わせしたいというだけで、フォステールを断固拒否します。
フォステールはアパルトマンに帰り、1週間もの間部屋に引き篭りました。クロードに八つ当たりするなどして、アパルトマンでも孤立していくフォステール。その夜、マダム・ベルナールが階段で首を吊って自殺しました。
彼女は孤独に耐えられなかったのです。フォステールは、彼女に話しかけていればと自分を激しく責めました。初めて他人に同情した彼は人に優しくすることの大切さを痛感し、生まれ変わろうと努力し始めます。
C階段の結末:フォステールの変化
フォステールはコンラッドに直談判し、個展を開催することになりました。フォステールはマダム・ベルナールの遺灰を引き取り、彼女が行きたがっていたエルサレムへ里帰りさせてやりたいと考えます。しかしイスラエル人でもない、遺族でもないフォステールにそれは叶えてやれませんでした。
フォステールはブルーノと仲直りし、コンラッドの個展も成功を収めます。マルタンもフォステールを見直し、今度こそ彼をベッドに招待しました。しかしエルサレム行きを諦められないフォステールは、外交官の父に頼み遺灰を外交ルートでエルサレム入りさせることにします。
そうしたフォステールの働きを見たクロードは、「君は変わった」と評しました。フォステールは言葉が出ないほどの喜びを噛み締めます。
フォステールは評論を辞め、誰にも内緒で旅立ちました。エルサレムに到着し、こっそり取り出した遺灰を散骨します。フォステールが笑顔でマダム・ベルナールをエルサレムの大地へ送り、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「C階段」のあらすじと結末でした。
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