マンガで世界を変えようとした男 ラルフ・ステッドマンの紹介:2012年アメリカ映画。ラルフ・ステッドマンのアトリエを訪れたジョニー・デップは、作品の作成過程やラルフと関わりのあった人とのエピソードなど等を掘り下げながら、作品の真に迫る。
監督:チャーリー・ポール 出演:ラルフ・ステッドマン、ジョニー・デップ、ウィリアム・S・バロウズ、テリー・ギリアム、ハル・ウィルナー、ハンター・S・トンプソン、リチャード・E・グラント、ジャン・ウェナー、ほか
映画「マンガで世界を変えようとした男 ラルフステッドマン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「マンガで世界を変えようとした男 ラルフステッドマン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
マンガで世界を変えようとした男 ラルフ・ステッドマンの予告編 動画
映画「マンガで世界を変えようとした男 ラルフステッドマン」解説
この解説記事には映画「マンガで世界を変えようとした男 ラルフステッドマン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
マンガで世界を変えようとした男 ラルフ・ステッドマンのネタバレあらすじ:起・ラルフ・ステッドマンとの再会
ラルフのスタジオを訪れたジョニー・デップはドキュメンタリーのインタビューを始めた。
1969年に最初の本を出版したラルフは、作品を集めて画集を作った。その作品は現代にも通用するユーモアと狂気がある。人々に考えさせるような作品を作ろうとした彼は、画題を探すためにニューヨークで1000もの写真を撮った。浮浪者が多く、お金をせがまれながらも、スラム街に惹かれ、その顔を描きたいと思った。
この経験が、漫画は笑いのために存在するのではなく、物事を良い方向へ帰る力を持っていると確信させ、生涯の職業にすべきだと確信した。
マンガで世界を変えようとした男 ラルフ・ステッドマンのネタバレあらすじ:承・ハンター・S・トンプソンとの出会い
ニューヨーク滞在中に、ハンター・S・トンプソンに写真家の代わりに取材に同行し、ハンターの文章にラルフが挿絵を描き、ゴンゾー・ジャーナリズムが始まった。正反対のふたりは最高のコンビで、互いを変な奴だと思っていた。
ハンターとの記事とたくさんの仕事をするようになったが、取材地でヤジを飛ばすなど、ゴンゾー・ジャーナリズムにはよくない面もあった。ラルフは、衝動的に行動するハンターの生涯の記録係として、画家であることに徹し、時には八つ当たりをされるなど酷い扱いも受けた。
製品はモラルへの影響も恐れずラルフは描き続け、ベトナム戦争の時なんとか世界を変えようという使命を感じた。筆を武器にすることにしたラルフは、一線を越え不適切とされる表現にも挑んだ。やがて、新聞に記事を投稿し始めた彼に、ハンターは猛反対した。
マンガで世界を変えようとした男 ラルフ・ステッドマンのネタバレあらすじ:転・ラルフの根底にあるもの。
レンブラントやピカソに影響を受け、プロの画家を目指さずとにかく書き続けたラルフは、自分と共通点を感じるダ・ヴィンチの本を読むようになり、ダ・ヴィンチの本を一人称で書いた。
小学生のころから、権威への抵抗をしていたラルフの絵は周りからは邪悪だと言われる事もあった。大人になり世界人権宣言の冊子の挿絵を手掛けたラルフは、シリアス漫画を描くアーティストとして認められたかった。
1960年代から戦争に断固反対する作品を発表し続けているラルフは、感情を爆発させながら制御して描いた。それは、温厚なラルフの性格とは正反対の性質を持っていた。
マンガで世界を変えようとした男 ラルフ・ステッドマンの結末:ラルフの現在
ジャーナリストと言う肩書で執筆活動を続けるラルフだったが、かつてコンビを組んでいたハンターが銃で自死すると、共作する事がもう二度とないという事実にショックを受けた。それでも二人が作ったゴンゾー・ジャーナリズムは、互いに生かしあい、これからも死ぬことはない。
残されたラルフは空しさや、なぜ世界を変えようと足掻いたのか、今でも悩んでいる。そして積み重ねて来た作品と、まだ「漫画家」としてしか認められていないという事実に、悲しみとも、悔しさともつかない思いを抱いていた。
以上、映画「マンガで世界を変えようとした男 ラルフ・ステッドマン」のあらすじと結末でした。
マンガで世界を変えようとした男 ラルフ・ステッドマンのレビュー・考察:漫画とアートの境界はあるのか
ラルフの作品は、いわゆる日本でいう「漫画」(作中ではカートゥーンと言う言葉が使われている)ではなく、「風刺画」に近い印象を受ける。風刺と言う作風ゆえに、その表現は過激でもある。けれど、そのコレクターは世界中におり、オリジナルから複製された彼のサイン入りの絵が販売されている。ラルフは、自分がアーティストとして認められていない事を嘆いている。万人に受け入れられる事は必ずしも芸術ではない。たくさんの積み重ねの上にあるラルフの作品は、絵画ではないが版画もしくは風刺がと言うカテゴリーの芸術とはいえないだろうか。
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