フルメタル・ジャケットの紹介:1987年アメリカ映画。ベトナム戦争における新兵の苦悩や葛藤を描いたグスタフ・ハスフォードの小説「ショート・タイマーズ」をスタンリー・キューブリック監督が映像化した作品です。若き志願兵たちの過酷で先の見えない訓練の日々、そして戦場に駆り出された彼らが目の当たりにした戦争の現実とは…。
監督:スタンリー・キューブリック 出演者:マシュー・モディーン(ジョーカー)、ヴィンセント・ドノフリオ(レナード)、R・リー・アーメイ(ハートマン軍曹)、アーリス・ハワード(カウボーイ)、アダム・ボールドウィン(アニマルマザー)ほか
映画「フルメタル・ジャケット」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「フルメタル・ジャケット」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「フルメタル・ジャケット」解説
この解説記事には映画「フルメタル・ジャケット」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
フルメタル・ジャケットのネタバレあらすじ:起
ベトナム戦争の時代、アメリカ海兵隊に志願したジョーカーやレナードら新兵たちは、サウスカロライナ州の海兵隊訓練キャンプに入ります。そこで彼らを待ち受けていたのは、鬼教官として知られるハートマン軍曹の指導のもと、想像を絶する過酷で壮絶な地獄の特訓の日々でした。ハートマン軍曹は若き訓練兵たちの人格を徹底的に否定し、絶えず攻撃的で高圧的な言葉で罵倒し、殴る蹴るの体罰は日常茶飯事で、新兵たちは心身ともに変調をきたしていきます。特に落ちこぼれのレナードに対するハートマン軍曹の目は異常なまでに厳しく、新兵に連帯責任を科してレナード一人の失敗の責任を新兵全員に押し付けていました。レナードは新兵たちから恨まれ、就寝時にリンチされるなどいじめの対象となってしまいます。レナードと仲の良かったジョーカーでさえもいじめに加わざるを得ませんでした。
フルメタル・ジャケットのネタバレあらすじ:承
レナードは世話係に任命されたジョーカーら同僚のサポートを得てハードな訓練をこなし、やがて次第に射撃の腕を上げるなど成長を見せ、ハートマン軍曹からも認められるまでになりますが、同時に次第に精神を病み始め、愛用の銃に語りかけるなど常軌を逸した行動が目立つようになっていました。そして卒業式の前夜、遂に感情を爆発させたレナードは銃を持って発狂、駆け付けたハートマン軍曹を射殺すると、自らも銃を口にくわえて自殺します。この地獄の訓練は2名の死者を出すという最悪な結末に終わったのです。
フルメタル・ジャケットのネタバレあらすじ:転
時は流れ、米軍機関誌の報道部員となったジョーカーはベトナムに配置されます。やがて北ベトナム軍によるテト攻撃が始まり、カメラマンと共にジ最前線の街フエに向かったジョーカーは、かつての訓練所時代の同期だったカウボーイと再会し、彼が所属する小隊に同行することになります。個性的なメンバーで構成される小隊は、敵が後退するという情報を受けて偵察に向かいます。しかし現地で敵兵と交戦状態となり、小隊長や分隊長が相次いで戦死します。カウボーイは残兵をまとめるも、廃墟に潜んでいた敵の狙撃兵に銃撃され部下数名を失います。カウボーイは廃墟ビルの陰に隠れて無線で本部に連絡しようとした際、自らも狙撃兵の銃弾に倒れます。
フルメタル・ジャケットの結末
ジョーカーや生き残りの兵士は狙撃兵への報復を決意します。狙撃兵が潜むビルの廃墟に煙幕を焚いて侵入、狙撃兵の背後を取ると銃弾を浴びせます。瀕死の狙撃兵はまだ若い少女でした。少女は祈りを捧げると、ジョーカーたちにとどめを刺すよう嘆願します。脳裏に様々な思いが込み上げる中、ジョーカーは銃の引き金を引き、少女を射殺します。そして闇夜の戦場、ジョーカーら兵士たちは唄いながら行進します。ジョーカーは呟きます。俺はまだこの地獄にいるがまだ生きている。そしてもうじき除隊の日が来るだろう、と。
主人公ジョーカーを中心とした前半は訓練基地、後半は戦場を舞台にした話です。前半の訓練基地で、鬼軍曹が機関銃のように浴びせてくる罵倒の嵐は一つの見どころと言っても良いと思います。字幕で観ていても目を覆いたくなるぐらいですので、吹替版製作に当たっては大変苦労したようです。