荒野のストレンジャーの紹介:1972年アメリカ映画。1971年に『恐怖のメロディ』で監督デビューを飾ったアメリカ映画界の巨匠クリント・イーストウッドの監督2作目となる西部劇です。クリント・イーストウッド演じる謎の流れ者が西部の荒野の町に現れ、善人の皮を被ったあくどい町民たちや悪党を成敗していきます。
監督:クリント・イーストウッド 出演:クリント・イーストウッド(流れ者/ジム・ダンカン(二役))、ヴェルナ・ブルーム(サラ・ベルディング)、マリアンナ・ヒル(キャリー・トラヴァース)、ダン・ヴァディス(ダン・カーリン)、ウォルター・バーンズ(サム・ショー保安官)、テッド・ハートレー(ルイス・ベルディング)、ステファン・ギーラシュ(ジェイソン・ホバート町長)、ビリー・カーティス(モーディカイ)ほか
映画「荒野のストレンジャー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「荒野のストレンジャー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
荒野のストレンジャーの予告編 動画
映画「荒野のストレンジャー」解説
この解説記事には映画「荒野のストレンジャー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
荒野のストレンジャーのネタバレあらすじ:起
アメリカ・アリゾナ準州の荒野の町、ラーゴにどこからともなく馬に乗った流れ者(クリント・イーストウッド)がやってきました。流れ者はよそ者をじろじろ見る町の住民たちの視線をよそに通りを進み、荷馬車の馬を鞭打つジャイク・ロス(ジョン・クエイド)という男を一目見ました。
それから流れ者は町の酒場に辿り着き、馬を休ませて喉の渇きを潤そうとしたところで三人のガンマンに因縁をつけられました。しかし、流れ者は格が違うと三人を全く相手にせず、床屋(ウィリアム・オコンネル)に向かうと伸びた髭を剃るよう頼みました。
そこに酒場で出くわした三人組がまた現れ、再び流れ者に絡んできましたが、流れ者は三人を容赦なく撃ち殺しました。流れ者は床屋で働く小男のモーディカイ(ビリー・カーティス)から名を聞かれますが語りませんでした。
床屋を出た流れ者は絡んできた町娘のキャリー・トラヴァース(マリアンナ・ヒル)を馬小屋に連れ込み、抵抗するキャリーを強引に抱きました。その後、ルイス・ベルディング(テッド・ハートレー)の経営するホテルに泊まることにした流れ者は、宿帳に名を記すことなく部屋に入り、眠りにつきました。
ルイスの妻サラ(ヴェルナ・ブルーム)は強い印象を持つ流れ者を一目見て興味を抱きました。その夜、流れ者は、ひとりの保安官が三人組の男たちに鞭打たれて殺されていく夢を見ました。町の人々は保安官を助けようともせずただ傍観するのみで、保安官は「みな地獄に堕ちろ」と言いながら息絶えていきました。
荒野のストレンジャーのネタバレあらすじ:承
翌日、町の保安官サム・ショー(ウォルター・バーンズ)は流れ者に会い、流れ者が昨日撃ち殺した三人組は厄介者だったので罪は問わないと伝えました。そこに昨晩流れ者に抱かれたキャリーが銃を手に乱入、流れ者に発砲しようとしてサムに取り押さえられました。
流れ者が射殺した三人組は、町が悪党三人組に対抗するために雇った用心棒でした。ステイシー・ブリッジス(ジェフリー・ルイス)、コール(アンソニー・ジェームズ)とダン(ダン・ヴァディス)のカーリン兄弟からなるこの悪党三人組はかつてこの町の鉱山会社の用心棒として雇われ、町の住民たちに裏切られて投獄された経緯があり、この町の治安を守っていた保安官ジム・ダンカン(クリント・イーストウッド)を殺した張本人でした。
ブリッジスたちはこの度刑期を終えて刑務所から出所することになり、鉱山会社のデイヴ・ドレイク(ミッチェル・ライアン)やモーガン・アレン(ジャック・ギング)はブリッジスらの復讐を恐れて流れ者を新たな用心棒として雇い入れようと考えました。
かつてブリッジス一味を逮捕したサムは再び流れ者に会い、用心棒になってくれるよう協力を求めました。最初は乗り気でなかった流れ者でしたが、望むものなら何でも与えると言われると一転して引き受けることにしました。
流れ者はまず町長で雑貨店経営者のジェイソン・ホバート(ステファン・ギーラシュ)に先住民にタダで物を与えるよう指示、続いて酒場の主人リューティー・ネイラー(ポール・ブリンガー)に対して人々にタダで酒をふるまうよう命じました。更に流れ者は勝手にモーディカイを新たな町長兼保安官に任命し、町の住民たちに自警団を組織させて射撃の訓練をさせました。
しかし、町の住民たちが銃を全く扱えないことに気付いた流れ者は作戦を変更、ルイスのホテルから宿泊客を追い出してパーティーの準備をさせ、赤ペンキを用意させるなど突拍子もない行動に出ました。流れ者に追い出されたホテルの客は牧師(ロバート・ドナー)が自宅をホテル代わりに提供することで対処することになりました。
その頃、刑務所を出所したブリッジスとカーリン兄弟は馬を奪い、ラーゴの町に復讐するために動き出していました。
荒野のストレンジャーのネタバレあらすじ:転
流れ者の奇行にあきれ返ったアレンとルイスはドレイクに不満を訴えましたが、ドレイクは町の住民たちはブリッジス一味に殺されたダンカンを見殺しにしたことで弱みを握られており、全ての町民に責任があるとして引き続き流れ者を雇い続ける考えを示しました。
その頃、モーディカイはブリッジス一味がダンカン保安官を殺した時、町の人々は見て見ぬフリをした時のことを思い出していました。
その頃、流れ者はキャリーを強引に抱いていましたが、ルイスや町の住民たちは流れ者の数々の奇行について話し合っていました。その後、流れ者の元から抜け出したキャリーはアレンや住民たちと組んで流れ者を始末しようとしましたが、彼女たちの動きに気付いた流れ者はホテルの部屋を爆破して刺客を追い払いました。
ルイスはホテルを爆破されたことに不満を抱きますが、流れ者は全く相手にしませんでした。その夜、爆発を免れたサラの部屋で寝ることにした流れ者は、抵抗するサラを強引に抱いてしまいました。
翌朝、サラは流れ者にダンカンのことを知っているか尋ね、墓石に名が刻まれていないために霊が彷徨っていること、ダンカンのせいで町の人々はよそ者を恐れるようになったことを話しました。流れ者は「身に覚えがあるからだ」と語りました。
その後、流れ者は用意した赤ペンキでラーゴの町の看板を「HELL(地獄)」と書き換え、町中の建物を赤いペンキで塗るよう要求してきました。
荒野のストレンジャーの結末
ラーゴの町は金鉱で栄えてきましたが、今から1年前に金鉱の所有権が国にあることを知ったダンカンはそのことを報告しようとしたのです。しかし、金鉱が国有地になれば町の稼ぎが確実に減ってしまうため、ダンカンは消されることとなったのです。町の人々の愚かさにうんざりしたサラは町を出ると言い出してルイスと口論になりました。
その頃、ラーゴの町に迫ったブリッジス一味にアレンが現れ、助けてほしいと頼みました。しかし、アレンは金を出すことを拒んでブリッジス一味に殺され、アレンの行方を追っていた流れ者はダイナマイトを爆発させてブリッジス一味を挑発してから町に戻りました。
町の建物は流れ者の要求通りに赤一色に塗りたくられ、流れ者はモーディカイらに戦いの準備を促しましたが、流れ者はいざという時に姿を消してしまいました。そして遂にブリッジス一味が町に現れ、ドレイクや町の住民たちを次々と殺戮していきました。
夜になり、町を制圧したブリッジス一味の前に鞭を持った流れ者が現れ、手始めにコールを鞭で打ち殺しました。その様子を見た町の住民たちはあの時ダンカンがブリッジス一味に殺された時のことを思い出して戦慄しました。
続いて流れ者はダンの首を鞭で絞めて殺し、焦るブリッジスに銃弾を浴びせて殺しました。ルイスは建物の影から銃で流れ者を狙撃しようとしましたが、モーディカイはすかさずルイスを射殺して流れ者に助太刀しました。
翌朝、流れ者は町を去ろうとすると、ダンカンの墓石に墓碑銘を刻んでいたモーディカイから名前を教えてほしいと尋ねられました。ダンカンの墓石には「連邦保安官ジム・ダンカン この場に眠る」と刻まれていました。流れ者は「知っているはずだ」と答えてその場を立ち去り、陽炎の中に姿を消していきました。
以上、映画「荒野のストレンジャー」のあらすじと結末でした。
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