ハニーボーイの紹介:2019年アメリカ映画。テレビで活躍する天才子役と前科者の父との葛藤を描く『ハニーボーイ』。子役を演じるノア・ジュプは、『ワンダー 君は太陽』『フォードVSフェラーリ』等で注目される若手俳優。その10年後を演じるのは、『ある少年の告白』や『WAVES/ウェイブス』にも出演している若手実力派俳優ルーカス・ヘッジズ。そして父親役を、本作の脚本を書いたシャイア・ラブーフが演じている。この物語はラブーフ自身の体験が元になっており、苦悩に満ちた“虐待親父”にどこか憎みきれない愛おしさを感じさせている。
監督:プロデューサー:アルマ・ハレル 脚本:シャイア・ラブーフ キャスト:ノア・ジュプ(オーティス 12歳)、ルーカス・ヘッジズ(オーティス 22歳)、シャイア・ラブーフ(ジェームズ)、FKAツイッグス(シャイ・ガール)ほか
映画「ハニーボーイ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ハニーボーイ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ハニーボーイの予告編 動画
映画「ハニーボーイ」解説
この解説記事には映画「ハニーボーイ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ハニーボーイのネタバレあらすじ:起
2005年。22歳のオーティス(ルーカス・ヘッジズ)はハリウッドの若手スター。今も危険な爆破シーンに挑んでいます。
苛酷な撮影、忙しい日々。次第にオーティスは酒に溺れるようになっていきます。
そして酒酔い運転で事故を起こし、ついに更生施設へ入れられてしまいました。
そこでPTSDではないかと告げられたオーティスは、何がトラウマの原因なのか探るように指示されます。
1995年。12歳のオーティス(ノア・ジュプ)はテレビで活躍する天才子役でした。
オーティスのステージパパであるジェームズ(シャイア・ラブーフ)は、彼が少しでも汚い言葉を使うとひどく怒り、その場で謝らせるような厳しい人でした。
着替えが終わり、ジェームズはバイクの後ろにオーティスを乗せて帰宅します。自宅は場末のモーテルの一室で、帰ると早速オーティスは外のプールに飛び込みます。
その夜、オーティスはドジャースの試合観戦に誘われた話をジェームズにしますが、どうも歯切れが良くありません。それもそのはず、連れて行ってくれるトムという男性は、“ビッグブラザー制度”の保護観察員なのです。アルコール依存症で前科のあるジェームズに育てられているオーティスは、トムを信頼し懐いていますが、ジェームズにはそれが面白くありません。ジェームズはトムに会わせろと言い、仕方なくオーティスは承諾するのでした。
ハニーボーイのネタバレあらすじ:承
更生施設での生活は22歳のオーティスにはガマンならないものでした。二人一組で行うプールでのあやしげなセラピー。カウンセラーの無意味な質問や強制される編み物、ニワトリの世話等々。オーティスはつい反抗的な態度をとってしまいます。
一方、12歳のオーティスは他人に気づかいのできる良い子でした。たまにタバコを吸うこともありますが、それはジェームズも認めていました。
ジェームズは定期的に“禁酒会”に参加していましたが、他人の告白に悪態をついて立ち去ってしまうなど、熱心な参加者とは言えませんでした。そのほかに高速道路脇の緑地の整備を行っており、その作業とオーティスの世話がジェームズの日課となっています。
ある夜、ジェームズとオーティスは屋台にタコスを買いに行きます。仲良く手をつないでいた二人でしたが、ジェームズはぱっとその手を振りほどいてしまいます。
それでも周囲にオーティスが芸能人だと気づかれるとジェームズは誇らしげでした。
実はかつてジェームズ自身、クラウン(道化)として活躍することを夢見ていて、今でも事あるごとにクラウンのような動きをすることがあったのです。
そんなある日、ついにトムがやってきました。ヘタなジョークを言いトムを迎えるジェームズ。プールサイドでバーベキューをしながら、ジェームズはトムがなぜ保護観察員をしているのか質問します。トムはジェームズを怒らせないよう気をつかいながら話していますが、ジェームズは突然トムに罵声を浴びせてプールに投げ落としてしまいました。
22歳のオーティスはプールで“自分をハグしよう”というセラピーを受けています。参加せずに文句を言うオーティスに先生が、「ひとりで森へ行って大声で叫んでこい」と提案しました。
ハニーボーイのネタバレあらすじ:転
ある日、母親から電話がかかってきました。12歳のオーティスは撮影でカナダに行くことになったとうれしそうに話しますが、母は前科のあるジェームズが出国できるか心配しています。そしてオーティスを通して両親の大ゲンカが始まってしまいました。ジェームズに電話をかわり、いたたまれなくなったオーティスは部屋を出ていきます。近くにあった廃車の窓ガラスをたたき割ってやり場のない気持ちを発散させるオーティス。そんな彼に寄り添ったのは同じモーテルに住むちょっと年上のシャイ・ガール(FKAツイッグス)でした。
かつてジェームズの犯した罪とは何だったのでしょうか?
ジェームズ11歳。ひどいアルコール依存症の親に暴力をふるわれ続ける悲惨な環境の中、ジェームズもまた酒とドラッグに溺れていきます。一度は軍隊に入ったもののストレスで除隊してからはコカインや麻薬にまで手を出し、失神した挙げ句に女性をレイプしようとして大ケガを負わせてしまいます。服役後は禁酒会に入り、息子であるオーティスの面倒を見ることで役立つ人間になろうと努力をしてきました。しかし、ジェームズ本人はその日々をつらく苦しいものだと感じており、息子の稼ぎで食べさせてもらっていることに複雑な思いを募らせていたのでした。
12歳のオーティスは、廃車の上に飛び乗って両手を広げます。そして上を向いて叫びます。
22歳のオーティスは森の中を歩き回り、12歳の頃のことを思い出していました。立ち止まって下を向き、地面に向かって大声で叫びます。
更生施設での治療はなかなか進まず、オーティスのイライラする日々は続いています。しかし、次第に父ジェームズの夢を見るようになっていたオーティスは、父とのやりとりで思い出したことがありました。
それは、いつにも増して不機嫌で、深夜なのにセリフの練習を強要してきたときのことです。
「ぼくが稼いでいるおかげで食べていけている。ぼくがボスだ」と12歳のオーティスが言い、激昂したジェームズは「出ていってやる!」と怒鳴りますが、オーティスは「出ていかないで。そばにいてほしい」と泣きながら訴えていたのです。
ハニーボーイの結末
12歳のオーティスはドラマの撮影中です。成功した子役が心ならずも親を捨てようとする展開で、自身の境遇と役柄が重なったオーティスは迫真の演技で絶賛されます。そのドラマをテレビの放送で見ているジェームズ。そしてそのジェームズをオーティスはそっと見ています。
オーティスは思い切ってジェームズに話しかけます。父親らしくしてほしい、やさしくすると約束してほしい、と。
しかしジェームズの答えは暴力でした。
オーティスを2発殴ったあと、ジェームズはバイクで酒場へ行き4年におよんだ禁酒を破ってしまいます。さらにドラッグにも手を出してしまいました。
オーティスが泣きながら外を歩いていると、シャイ・ガールがなぐさめてくれました。
彼女と幸せな夜を過ごした翌朝、バイクでジェームズが帰ってきました。ジェームズはシャイ・ガールを罵って追い出し、オーティスに「ヤッたのか」とたずねますが彼は否定します。そしてオーティスは、彼女を愛してると言いました。
ひとしきり嘔吐したあとジェームズはトイレに座り、出ていくだのトムと楽しく暮らせなどと毒づきます。しかしとうとう、オーティスがジェームズを雇っていると言ったことに傷ついたと告白します。
それを聞いたオーティスは、稼いでいたのは父さんといっしょにいるためだったと答えます。
「稼がないと出ていくだろ?」
その言葉にジェームズは泣き出してしまいます。
自分をけなすことをやめたらすべてを話す、とジェームズは言い、オーティスはうなずきます。
ジェームズは高速道路脇の緑地にオーティスを連れていき、そこでマリファナを育てていることを明かします。そこで、父のぬくもりに包まれながらマリファナを吸うオーティス。ジェームズは「おまえはアル中から生まれた」と言い、「みんな誰かを恨んでいる」とも言うのでした。
22歳のオーティスは、かつて住んでいたモーテルを訪れます。まだそこに住んでいる隣人にあいさつし、さらに進むと見慣れたドアが開け放たれています。その中から、クラウンの姿をした父ジェームズが出てきました。
部屋の前で父と息子はしっかりと抱き合います。
ふたりはプールに足を浸し、タバコを吸いながらおだやかに会話をします。
「親父の映画を撮るよ」
「カッコよく撮れ」
かつて父が運転していたバイクを今は息子が操り、その背後には父が乗っている…。
オーティスはそんな妄想をしています。
そして、12歳のオーティスはバイクにまたがり笑顔をみせるのでした。
以上、映画「ハニーボーイ」のあらすじと結末でした。
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