フロッグの紹介:2019年イギリス映画。とある町で二人の少年が失踪してしまいます。現場には15年前に解決済みの連続少年殺人事件で使用されたのと同じナイフが残されていました。模倣犯か過去の事件は冤罪なのか、警察を嘲笑うかのような事件の担当刑事が不可解な出来事に巻き込まれていく様を描いています。
監督:アダム・ランドール 出演:ヘレン・ハント(ジャッキー)、ジョン・テニー(グレッグ)、ジュダ・ルイス(コナー)、オーウェン・ティーグ(アレック)、リブ・ベアラー、グレゴリー・アラン・ウィリアムズ(スピッツ)、エリカ・アレクサンダー、ほか
映画「フロッグ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「フロッグ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
フロッグの予告編 動画
映画「フロッグ」解説
この解説記事には映画「フロッグ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
フロッグのネタバレあらすじ:起
刑事グレッグ(ジョン・テニー)の家庭に不協和音が流れていました。それは妻ジャッキー(ヘレン・ハント)の不倫が発覚したためです。
一人息子のコナー(ジュダ・ルイス)の怒りは相当なもので、おかげで母子の関係はギクシャクしてしまいます。息子の前では落ち着いて振る舞うグレッグでしたが、本当の所はジャッキーを許せるような状況ではありませんでした。
そんなグレッグに、少年が行方不明になった事件が回ってきます。少し前に別の少年も行方不明になっており、一連の事件に関係があるのではないかと署長は言います。グレッグは同僚のスピッツと共に事件を追うことになりました。
ジャッキーが自宅に帰ると、見知らぬ男と家の中で鉢合わせしてしまいます。男はグレッグの依頼で窓修理に来たと話しますが、どうにも辻褄が合わず男は立ち去っていきました。
その頃、失踪事件の捜査に当たっていたグレッグ達は、森の中で深緑のアーミーナイフを発見します。そのナイフを見て驚愕するスピッツ。過去にあった少年誘拐殺人事件で使われたナイフと同じナイフだったのです。その後、犯人は逮捕され、刑務所で服役しています。
その後、帰宅したコナーとグレッグの態度は相変わらずジャッキーに厳しいままです。そんな中、家のテレビが勝手についたり、食器がなくなっていたり、微妙にいつもあったものがなくなっていることにジャッキーは気づきますが、グレッグは取り合おうともしません。
2階にあがったグレッグ、逃げ出したハムスターを探している途中で何者かがクローゼットにグレッグを閉じ込めてしまいます。それに気づいたジャッキーがグレッグをクローゼットから出しました。グレッグはコナーのいたずらかと思っていましたが、どうも違うようです。
ジャッキーは自分の犯した罪をグレッグに詫び和解をしようとしますが、グレッグは受け入れず平行線のままでした。
フロッグのネタバレあらすじ:承
それ以降も不可解な現象は続きます。独りでに起動するパソコン、コナーの部屋のカエルのマスク、ジャッキーもグレッグも不思議に思いながらも普段の生活を過ごします。
ある日、ジャッキーの不倫相手だったトッドがジャッキーの元を訪れます。ジャッキーを諦められないトッドは寄りを戻そうとやってきたのです。家族再構築を願うジャッキーには迷惑な話でした。息子がいるからとトッドを追い返そうとしますが、なかなか帰りそうにありません。
すると突然トッドの頭にマグカップが落ちてきます。誰が投げたか分かりませんが二階の窓が開いています。怪我をしたトッドを放ってはおけませんでしたが、コナーを学校に送らなければならないジャッキーはトッドを地下室に残して出ていきました。
その間にトッドは何者かに殴られて殺されてしまいます。帰ってきたジャッキーはトッドの遺体を見て驚きます。ジャッキーはグレッグを呼び、事の顛末を説明しました。マグカップを落としたのはコナーかもしれない…このままだとコナーに容疑が降りかかる、そう考えた二人はトッドの遺体を埋めて証拠を消すことにしたのです。
そうとは知らずに帰宅したコナー、いつものようにパソコンの前に座ると「フロッギングを知ってるか?」のメッセージ、コナーは他人の家に忍び込み人知れず物を物色していく「フロッギング」を調べ始めます。
パソコンに夢中なコナーの背後にカエルのマスクの人物が立っています。
グレッグとジャッキーが帰宅すると、コナーが浴槽に縛られた状態で発見されました。ジャッキーはコナーを病院に連れていき、グレッグはコナーを襲った何者かがいるかもしれない自宅を調べることにしました。
同時にスピッツは誘拐犯目撃の情報を得てGPSを追跡中で、グレッグと合流して捜査を続けるつもりでした。
自宅を調べるグレッグ。よく見るとあったはずの家族写真がなくなっています。突然鳴り出したレコードを確かめに行ったグレッグの背後から、カエルのマスクをした何者かが近づき、斧を振りかざし襲いかかります。
フロッグのネタバレあらすじ:転
時間が少し前に戻ります。グレッグ一家が全員出かけるのを確認して、ミンディと彼女を撮影するアレック(オーウェン・ティーグ)はその家の車庫に忍び込みました。やがて家の中に入り、屋根裏部屋にやってきます。ミンディはこれを、人がいる家に密かに入り込んで気づかれずに生活をするフロッギングで、自分たちはフロッグだと話します。
息を呑むようにバレないように過ごす、そしてバレない程度の物を拝借するのです。フロッギングが初めてのアレックは撮影係、しかしフロッギングをイマイチ理解していないアレックは家で拾ったカエルのマスクを被り、好き邦題動き回りミンディを困らせます。
口うるさいミンディを睡眠薬で眠らせたアレックは家中を動き回り、ギリギリを楽しむようになります。遠隔操作で家電を動かしたり、ハムスターを逃したり、グレッグを閉じ込めたりし始めました。
やりたい放題のグレッグに目を覚ましたミンディは驚きました。どうにかアレックをおさめようとしますが、どうにも言うことを聞きません。そしてついうっかり落としたマグカップが下にいるトッドに当たってしまったのです。
もう逃げなきゃまずい、そう考えたミンディでしたが、彼女の荷物は地下室にあります。ジャッキーが出ていくのを見計らい荷物を取りにいこうとしました。しかし地下室にはトッドがいたのです。
身を隠したミンディは信じられない光景を目にしてしまいます。怪我をしているトッドをバットで殴りつける男、それはグレッグでした。トッドを始末したグレッグは凶器のバットを車に乗せ、何食わぬ顔でスピッツと合流します。やがてジャッキーが帰宅し、トッドの遺体を目撃するのです。
グレッグが帰宅し、二人が遺体を埋めに出かけるのを見届けたミンディは、これがチャンスと上にあがります。するとアレックがカエルのマスクをつけて、家にいたコナーを気絶させていたのです。アレックの異常を知ったミンディは警察に通報しようとしますが、そうはさせじとアレックはミンディに襲いかかり、ミンディを気絶させました。
アレックはコナーを浴室に移動させ、気絶したミンディをグレッグの車に乗せて逃げようとしますが、グレッグとジャッキーが帰ってきました。アレックは身を隠します。
コナーを見つけたジャッキーが悲鳴をあげます。コナーを連れて病院に向かったジャッキーを見届けたグレッグ。そして彼は何故か自分の車に乗り、どこかへ走り出しました。アレックはカエルのマスクをつけたまま、それをただ眺めていました。
グレッグの車の中で目覚めたミンディ、ふと目をやった先に先程トッドを殴りつけたバットや行方不明の子供が着ていた衣服等が入ったカバンがありました。やがてどこかの林の中で車は止まります。
フロッグの結末
グレッグがいなくなった隙にミンディは警察に通報しました。警察はGPSで追跡すると話しましたが、電波が悪く途中で切れてしまいます。外に出たミンディは林の中にトレーラーハウスを見つけます。中を見ると監禁されている二人の子供を見つけます。
助けようと中に入りますが、背後からグレッグに襲われ気絶してしまいました。彼女の持ち物から自分がフロッギングされていたことを知ったグレッグ。ミンディを運び出し再び家に運び込みました。そして目を覚ましたミンディを射殺します。
そしてミンディの遺体に銃を持たせ、侵入者と撃ち合ったように偽装します。フロッギングの事実を知っているグレッグは、もう一人いることを知っています。口封じにアレックを探して殺そうと迫ります。
アレックも自らが標的になっていることを悟りました。遠隔操作で家電を操作し撹乱させ、グレッグに近づくアレック。そして斧を持ち彼に襲いかかります。
取っ組み合いになったアレックとグレッグ、有利に運んだグレッグは数発アレックを棒で殴り、アレックを気絶させます。そして自らを傷つけ、アレックに襲われたように偽装し始めました。とどめを刺そうとアレックの方を見たグレッグ、するとアレックの姿が消えていました。
気絶する振りをしていたアレックは、落ちていた銃を拾い上げると銃をグレッグに向けました。そしてグレッグに「あんたの正体を知っている」と言い放ちます。グレッグは言葉巧みにミンディとアレックを誘拐犯に仕立て上げようとします。
やがてパトカーのサイレンが聞こえてきました。少し焦りを見せたグレッグは、警官殺しは重罪だとアレックに焚き付けますがアレックは気にもしていません。やがてぼんやりとしか見えなかったアレックの顔をはっきり見た時、グレッグはその顔に見覚えがあることに気づいたのです。言い訳をし始めたグレッグにアレックは容赦なく引き金を引きました。
スピッツもようやくグレッグの家にやってきます。アレックから詳細を聞いたスピッツは、グレッグの車から数々の証拠品が出てきたのを見て驚きが隠せませんでした。
ミンディの通報のおかげで監禁されていた少年達を発見することができ、無事救出されます。騒然としている自宅に帰ってきたジャッキーとコナー、スピッツから事情を聞いたジャッキーは事態を把握することが出来ず、呆然としています。
負傷したアレック。アレックは15年前の事を思い出していました。友人のトミーと一緒にいるときに声をかけてきたのがグレッグだったのです。その後、彼に誘拐されてしまうアレックは心に深い傷を負ってしまいます。
グレッグに対する復讐を終えたアレックは、複雑な表情のまま運ばれていきます。
以上、映画「フロッグ」のあらすじと結末でした。
前半の展開に不自然な点が幾つもあったので、おや?っと思って観ていたら後半で伏線を回収して行く為だったのかと納得。手の込んだ仕掛けが施された作品だけに見応えは十分。男女の二人がフロッグとして他人の豪邸に侵入してご満悦。まるで戦利品を手にしたように自慢する二人の若者。フロッグとして入り込んだ先の家庭が複雑な事情を抱えていることが重層的に描かれている。映画の前半はヘレン・ハント扮するジャッキーの視点と息子のコナーの視点、警官である夫(父)のグレッグの視点の三つの視点で描かれてゆく。ひとり息子(一人っ子)が母親に対して必要以上に反感を増幅させ憎悪をぶつけるところに不自然さを感じたが実は重要な伏線だったのである。後半からフロッグの二人ミンディとアレックが加わって五つの視点になる。誰の視点に立って見るかで解釈が変わるのではないだろうか。俯瞰して映画全体を見渡すには再度見直しても面白いのかも知れない。この作品の中心的な柱(主人公)は、他でもないアレックだったのである。アレックの視点でこの映画の全体を見てゆけばスーッと腑に落ちる。「フロッグ」と言う映画はアレックの「復讐劇」を犯人の家族の目(三つの視点)を通して丁寧に描かれた秀作として高く評価できるのではないだろうか。