孤独なふりした世界での紹介:2018年アメリカ映画。ある午後、デルが夜勤明けで寝ている間に彼以外の全人類は死滅してしまった…と思われた。もうひとりの生存者グレースが現れるまでは。孤独に慣れたデルは、最初は若い女を迷惑がるが次第になじんでいく。だがグレースは重大な秘密を抱えていた。エル・ファニングと『ゲーム・オブ・スローンズ』のピーター・ディンクレイジとが「地球最後の二人」になるSFドラマ。監督のリード・モラーノは映画カメラマンから監督に転じ人気ドラマ『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』の最初の三つのエピソードを演出してエミー賞を受賞した。
監督:リード・モラーノ 出演者:ピーター・ディンクレイジ(デル)、エル・ファニング(グレース)、ポール・ジアマッティ(パトリック)、シャルロット・ゲンズブール(ヴァイオレット)、ほか
映画「孤独なふりした世界で」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「孤独なふりした世界で」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
孤独なふりした世界での予告編 動画
映画「孤独なふりした世界で」解説
この解説記事には映画「孤独なふりした世界で」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
孤独なふりした世界でのネタバレあらすじ:起・もう一人の生存者
ある日、他の住民が皆死んでしまった町で、元々孤独な生活を送っていた小人症の男デル(ピーター・ディンクレイジ)は文字通り一人になった。
勤務先だった図書館に住み、家々を訪れては電池を集め掃除をして、遺体を毛布にくるみ埋葬地に運んで埋める。加えて、図書館に未返却だった本の回収をし、遺品となった写真の収集整理もする。
整理が済んだ家については、家の前の道路に×を印し、地図にも×印を記入していく。湖にボートを漕ぎだし釣りをする日もある。どうやら彼を残して全人類が死に絶えたようだった。
だが、ある夜、デルは遠くで花火が大量に打ち上げられるのを見る。昼になると路上の事故車の中で女が気絶している。
手当てを受けて目を覚ました彼女にデルは出ていくように言うが、その娘グレース(エル・ファニング)はデルにつきまとう。孤独な生活に慣れたデルを質問攻めで困らせる。しかしデルは行き場のないグレースのためにお試し期間の共同生活を認める。
孤独なふりした世界でのネタバレあらすじ:承・歩み寄る二人
カオスを嫌い静かさを好むデルにとってグレースは騒々しすぎる。グレースが拾ってきて「ドッグ」と名付けた犬も迷惑だった。夜のうちにデルは、繋がれていたドッグを逃がしてしまう。それを知ったグレースは、牧師だった父や、母や、ボーイフレンドの話をして、人との交流を避けるデルに反感をぶつける。
反省したデルは、グレースが使っている家に行く。植物を栽培している温室へ彼女を連れて行き、水やりの仕事を頼み、さらに家の片付けも手伝うように頼む。死体を埋める時は、グレースの発案で二人は10秒間息を止める儀式をするようになった。デルの地図の整理済みの家を示す×印はどんどん増えていった。
ある日グレースは、デルの地図にない家を発見する。それはかつてのデルの家だった。その家の掃除をしたがらず、するときは自分一人でやると最初は言い張ったデルだが、結局二人で清掃し、デルの母親の遺体を埋める。
孤独なふりした世界でのネタバレあらすじ:転・「両親」が現れる
二人はすっかり親密になったが、グレースにはデルに話していない秘密があった。グレースの使っている家の二階のベッドで目覚めたデルは異変を感じ、タンスから取り出した拳銃を手に階下に降りるが、そこにはグレースと、グレースの両親だという男女[パトリック(ポール・ジアマッティ)とヴァイオレット(シャルロット・ゲンズブール)]が朝食の支度をしていた。
グレースは家出人であること、町の外に何百、何千人もの人々が生き残っていることをデルは知る。デルは動揺して家を出る。「二人は本物の両親ではなく、カリフォルニアで無理やり家族にされた。家出をして何カ月も一人だったので追い返されたくなくて嘘をついていた」と言って、彼を引き留めようとするグレースの腕を振り払って、デルは自動車で図書館へ帰る。
パトリックが図書館に来てデルに「いっしょに西海岸の町に来ないか」と誘うがデルは拒否する。ヴァイオレットに「今度こそ本当の家族になりましょう」と言われたグレースは、自動車に乗せられて泣く泣く町を後にする。
孤独なふりした世界での結末:西海岸の町
グレースがいなくなってからデルの生活は荒れ始める。デルは決心して、パトリックが置いて行った彼らの住所のメモを本のページの間に探し出し、ドライバーが死んでしまって放置されていた自動車を乗り継ぐ旅に出る。
ついに、電気が通い夜景の美しい町に来た。グレースの家に、両親が寝る時間を待って拳銃を手に侵入する。グレースは多数の管につながれてベッドに横になっていたが、目覚めてデルに気づくとドッグが戻ってきたかを尋ねる。
早朝、起きてきたパトリックは、管を外したグレースとデルが家を出ようとしているのを見つける。パトリックは、誰もが持つネガティヴな感情――悲しみ、苦しみ、怒り、絶望、罪悪感等――を消しさる操作をグレースが受けつつあったとデルに説明する。
この町の人々はそのようにして過去の惨事を忘れて未来に生きようとしているのだ。パトリックが「(過去を)思い出す必要なんかない」と言った時、グレースは拳銃で彼を射殺してしまう。ヴァイオレットは「私には娘がいた」と話をし、血に汚れた家の掃除を始める。
外が明るくなる頃、グレースとデルは旅立つ。この町の住民はカラフルな服装をして、大惨事など無かったように幸福そうに歩いていた。町はずれでいったん自動車を停めた後、二人は彼方に続く道を進んでいくのだった。
以上、映画「孤独なふりした世界で」のあらすじと結末でした。
独特な世界観が観るものを惹きつける。決して甘くはないけど、どこかファンタジーの要素も含んだ描写が、現代社会への皮肉のような気もする。どこか厭世的なふたりの気だるい感じも良い。主演の二人も好演している。