無垢なる証人の紹介:2019年韓国映画。『戦場のメロディ』『ワンドゥギ』など社会派ドラマを手掛けてきたイ・ハン監督が、第5回ロッテシナリオ公募展で大賞を獲得したシナリオを映画化したヒューマン・サスペンス作品です。信念と現実の間で葛藤する弁護士が、担当する殺人事件の唯一の目撃者である自閉症の少女と交流を重ねていく姿を描きます。『私の頭の中の消しゴム』のチョン・ウソンが弁護士を、『神と共に』シリーズのキム・ヒャンギが自閉症の少女を演じています。
監督:イ・ハン 出演者:チョン・ウソン(スノ)、キム・ヒャンギ(ジウ)、イ・ギュヒョン(ヘジョン)、チャン・ヨンナム(ヒュンジュン)、ヨム・ヘラン(ミラン)、キム・ジョンス(マンホ)、チョン・ウォンジュン(ビョンウ)、キム・サンユン(シネ)ほか
映画「無垢なる証人」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「無垢なる証人」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
無垢なる証人の予告編 動画
映画「無垢なる証人」解説
この解説記事には映画「無垢なる証人」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
無垢なる証人のネタバレあらすじ:起
かつては人権派として正義と信念のために活動してきた弁護士スノ(チョン・ウソン)。しかし、スノは父が友人の保証人になったことで借金を抱えることになり、より給料の良い大手の弁護士事務所に所属することになりました。
しかし、この事務所は弱者救済を軽視して企業の利益だけを追求する事務所であり、いつしかスノも現実の波にのまれて信念と情熱を見失い、同じく弁護士をしている恋人からすっかり人が変わってしまったと愛想を尽かされてしまっていました。
そんなある日、スノはとある殺人事件の弁護を任されることになりました。被害者はウンテクという人物で、容疑者は長年ウンテクの家政婦を務めていたミラン(ヨム・ヘラン)という女性でした。ミランはウンテクの顔にビニールを被せて窒息死させた疑いがかけられているのです。
ミランと面会したスノは、ウンテクは2年前に妻を亡くしてから自殺願望があり、ミランはウンテクの自殺を止めようとしたのですが目を離した隙にウンテクは既に息絶えていたのだと聞かされました。スノはミランの無罪を勝ち取ることを約束し、事件の唯一の目撃者である高校生の少女ジウ(キム・ヒャンギ)から証言を得ることにしました。スノは今回の事件を解決させれば出世の可能性もあるのです。
無垢なる証人のネタバレあらすじ:承
スノはウンテク宅の向かいに住むジウの家を訪ねましたが、ジウの母はジウが重度の自閉症で他人との意思疎通が困難なことを理由に断ってきました。しかし、あらかじめジウに接触していた検察側は彼女が十分証言が可能であると判断しており、スノはジウに証人として法廷に立ってもらうことにしました。
スノは改めてジウの元を訪ねますが、ジウはなかなかスノに心を開こうとはしませんでした。それでもスノは根気強くジウに接触を試み、そのうちにスノはジウが常人よりも優れた聴覚と記憶力、そして数を言い当てる能力の持ち主であることに気が付きました。
そんなある日、スノは事務所からウンテクの息子マンホ(キム・ジョンス)が経営する会計法人の顧問弁護士を引き受けてほしいとのオファーを受けました。スノは報酬のために引き受けることにしました。
そんな時、スノはジウが唯一の親友だった同級生のシネ(キム・サンユン)から陰湿ないじめを受けていたことを知ります。それから程なくしてジウは発作を起こして入院してしまい、スノから事情を聞いたジウの母はジウは自閉症と引き換えに人より優れた能力を得たことを語りました。やがてジウは回復し、スノはジウの将来の夢が弁護士になることだと知ります。
無垢なる証人のネタバレあらすじ:転
ジウが証人として法廷に立つ日がきました。ジウは検察側の質問に対し、事件当時に袋(ビニール)を被ったおじいさん(被害者のウンテク)が逃げようとしたところ、女の人(被告のミラン)が近づいて顔を掴み、おじいさんを攻撃したと答え、更には「女の人は笑っていた」という証言をしました。
続いて弁護側の質問となり、ミランを無罪にしたいスノは自閉症の学術書を持ち出し、他者の考えと感情を簡単に理解できないはずの自閉症患者が本当にミランが笑っていたのか判断できるのかとと問いかけました。混乱するジウをよそに、スノは「証人のような精神病患者は攻撃か救助かを判定することはできない」と語り、改めて被告の無罪を主張しました。
そして一審の判決はミランの無罪判決となりました。しかし、スノはミランが傍聴席にいたマンホと視線を交わして一瞬ニヤッと笑みを浮かべたのを見逃しませんでした。
数日後、検察側はすぐさま控訴し、控訴審の準備に入ったスノはミランにこれからどうするのか尋ねると、ミランは息子に会いに行くと答えました。ミランには息子などおらず天涯孤独と聞かされていたスノが問い詰めると、ミランは慌てて否定しました。ミランの様子に不信感を抱いたスノは、独自の調査で彼女には婚外子がいること、生活苦のために養子に出していることが判明しました。更に、ウンテクは財産を寄付する公式証書を作ると決めた途端に死亡したこと、マンホの会計法人は経営が悪化していることなども明らかになりました。
スノは再びジウに証人になってもらおうと彼女の母の元に行き、法廷でジウを「精神病患者」と言ってしまったことを謝罪しましたが、母はスノを追い返してしまいます。しかし、ジウは母に「私は証人になりたい。自分は多分弁護士にはなれないけど、証人になってみんなに真実を伝えたい」と自らの考えを伝えました。
一方のスノも、父から誕生日祝いの手紙をもらい、その中に「お前が弁護士になりたいと言った時はとても嬉しかった。弁護士が嬉しかったんじゃない。良い子に育ったことが嬉しかった。失敗をしない人などいない。自分自身を愛してほしい」との言葉に大いに慰められ、励まされました。
無垢なる証人の結末
第二審の公判が始まり、ジウは再び証人として出廷しました。弁護側はスノの事務所所長が「ジウには証人としての資格がない」と改めて主張したのに対し、スノはさっき買ったばかりのハンカチの水玉模様をジウに数えさせたり、傍聴席の後方の警備員の微かな声も聞き逃さないことを証明させたりし、ジウには証人としての能力があることを証明してみせました。そのうえでスノは所長の制止を振り切って「判断を誤ったのは、私たちが自閉症に関して無知だったからです」と法廷内の全ての人に訴えました。
そして事件当時、ジウが聞き逃さなかった事実が明らかになりました。事件の実行犯はやはりミランであり、事件当時ミランはウンテクが死ねば自分もマンホも助かると語っていたのです。スノから真実を話すよう促されたミランは泣きながらマンホの指示でウンテクを殺害したことを告白、マンホはすぐさま逮捕されました。スノはジウを「立派な証人だったよ」と褒め称えました。
後日、スノは自閉症患者の支援学校に転校し、新たな友だちもできて楽しい日々を過ごしていました。ジウの誕生日会に呼ばれたスノは彼女にプレゼントを渡し、これからは自分もいい人になれるよう努力すると伝えました。そしてスノは恋人に自分は弁護士を辞めるかもしれないと語り、「君がいないとダメだ」と愛を伝えました。
以上、映画「無垢なる証人」のあらすじと結末でした。
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