いつか読書する日の紹介:2004年日本映画。30年余りも密やかな想いを胸の奥に閉じ込めたまま、一人の男性を想い続けた女性の恋物語。ロケは監督自身が少年時代を過ごした長崎で敢行され、美しい風景と心に響く音楽で、大人の男女の純愛ドラマを描く。
監督:緒方明 出演:田中裕子(大場美奈子)、岸部一徳(高梨槐多)、仁科亜季子(高梨容子)、渡辺美佐子(皆川敏子)、上田耕一(皆川真男)、香川照之(スーパー店長)、杉本哲太(高梨陽次)、鈴木砂羽(大場千代)、ほか
映画「いつか読書する日」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「いつか読書する日」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
いつか読書する日の予告編 動画
映画「いつか読書する日」解説
この解説記事には映画「いつか読書する日」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
いつか読書する日のネタバレあらすじ:起
朝は牛乳配達、昼はスーパーで働いている50歳の独身女性・大場美奈子(田中裕子)。彼女の楽しみは、想いを寄せる同級生の高梨槐多(岸部一徳)の家に、毎朝牛乳を届けることでした。
牛乳配達を終えるといったん家に帰って朝食をとり、スーパーのレジを打つ仕事をする美奈子。そんな美奈子を見守っているのは、亡き母親の友人だった皆川敏子(渡辺美佐子)です。彼女には痴呆症にかかった夫・真男(上田耕一)がいて、彼を介護しながら敏子は小説を書いています。
真男を病院へ連れて行くときは、美奈子に一緒に付き添ってもらい、真男には敏子の診療だと嘘を付いて病院で診てもらいます。医師からは痴呆の進行が速いと言われた帰り道、新生児室の前で立ち止まる真男。敏子は美奈子を初めて抱っこした時のことを思い出し、二人で笑い合いました。
美奈子の父は製鉄所で働いていましたが、美奈子が幼い時に工場の事故で亡くなっています。そして高校生の時に、母親もトラックにひかれて他界。その時、母親は高梨槐多の父親と自転車で2人乗りをして、交通事故に遭って亡くなりました。二人の遺体が霊安室に置かれていた時、「一緒に置かないで!」と叫び、取り乱す槐多の母。同じ高校に通い、それまで付き合っていた美奈子と槐多ですが、このことがあってから二人は疎遠になってしまいました。
そんなことを思い出しながら、二人で酒を飲む敏子と美奈子。17才だった美奈子は当時のことをよく覚えていないと話し、話題は結婚のことになります。これまで結婚もせずに来たのはなぜかと聞く敏子。美奈子は寂しいと感じたことがなく、これからもこのまま一人暮らしを続けていくつもりだと伝えました。夜はたくさんの本に囲まれ夜を過ごしている美奈子。こうやってずっと一人の夜を過ごしてきました。
いつか読書する日のネタバレあらすじ:承
ある日スーパーで万引きをした少年が捕まります。警察に連絡しようとする店長に、市役所の児童課に勤務する槐多に連絡するよう伝える美奈子。すぐに槐多が迎えに来て、少年を家に送り届けます。少年の家はゴミが散らかり、ひもでつながれた弟がおなかをすかせて待っていました。
帰ってきた母親に食事を与えるよう話をする槐多ですが、まともにとりあわない母親。後日、警察立会いのもとに子供を一時保護することになったのですが、子供が連れて行かれても布団にくるまり寝ている母親に、きれた槐多が「本当にこれでいいのか?」と掴みかかります。
ある日、美奈子はラジオのDJに匿名でハガキを出します。「私には大切な人がいます。でも私の気持ちは絶対に知られてはならないのです。どんなことがあっても悟られないことが難しく、相手の気持ちを確かめることができないのが悔しいです。」と書かれていました。
できればその人と一日でいいので一緒に過ごしたいと書かれてあり、そのラジオを聞いていた槐多の妻・容子は、その内容から美奈子が書いたとわかります。末期癌の容子は自宅療養しており、ヘルパーの女性から毎朝牛乳を運んでいるのが美奈子だと教えてもらい、その日からずっと美奈子のことを気にしていました。
そしてラジオを聞いた夜に、容子は牛乳を入れる箱に一枚のメモを入れます。翌朝、そのメモを見つけた美奈子は激しく動揺。メモには、「早く来て 容子」と書かれていました。
いつか読書する日のネタバレあらすじ:転
メモを見つけた翌日、朝はいつもの通り牛乳を配達してスーパーでの仕事の後、美奈子はついに槐多の家をたずねます。そこで初めて容子と会った美奈子。容子は、自分が死んだ後の槐多のことを心配していました。槐多も美奈子を忘れておらず、自分が死ねば一緒に暮らしてやってほしいと頼む容子。
しかし美奈子はその申し出を断り、「また来ます」と言って家を出ます。その夜、容子は槐多に美奈子の話をしました。美奈子と向き合うよう説得し、自分の残り少ない人生でできることはこれくらいだと語る容子。
容子の体調がすぐれず、しばらく休暇をとった槐多が家に帰る途中、慌てた様子の敏子と出会います。真男が家におらず、美奈子も加わりみんなで探します。すると真男は川で座っており、ホッとする美奈子たち。この日、久しぶりに美奈子と真男は顔を合わせるのでした。
容子が亡くなり、葬式がとり行われます。葬儀に参列していた美奈子は、ヘルパーの女性から容子がずっと美奈子を待っていたことを聞かされます。美奈子と話をしたがっていた容子からの手紙を渡すヘルパー。手紙には、これから長い時間があるのだからもう一度やり直すよう書かれていました。
美奈子たちの親のことは遠い昔の話で、二人であれば乗り越えるとも書いてありました。「これからは二人で新しい生活を作ってほしい」との容子の願いも書いてあり、手紙を読んだ美奈子は意を決して槐多の家を訪れます。
いつか読書する日の結末
槐多に「付き合ってほしいところがある」と言い、美奈子が運転する自転車の後ろに槐多が乗って、二人乗りをして山道を走ります。そしてそれぞれの親が事故にあった場所を訪れた美奈子と槐多は線香をあげて、手を合わせました。
二人は昔を振り返り、美奈子はなぜ事故の後自分を避けるようになったのか尋ねました。最後には喧嘩のようになってしまい、美奈子が帰ろうとすると、美奈子をぎゅっと抱きしめる槐多。その夜、美奈子の家で二人は激しく愛し合いました。
翌朝、槐多が目覚めると「配達に行ってきます」と美奈子からのメモを見つけます。そして槐多が家を出て歩いていると、雨の増水した川に男の子が入っていくのを見つけました。槐多は急いで川へ飛び込み、男の子は無事助かったのですが、槐多は水死してしまいます。こうして美奈子の長い恋は、終わりを告げたのでした。
いつもの朝がきて、敏子の家に牛乳を運ぶ美奈子。敏子から「これからどうするの?」と聞かれた美奈子は、「本でも読みます」と返事をするのでした。
以上、映画「いつか読書する日」のあらすじと結末でした。
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