6月0日 アイヒマンが処刑された日の紹介:2023年イスラエル, アメリカ映画。第二次世界大戦中にユダヤ人の大量虐殺に関与したナチス・ドイツのアドルフ・アイヒマン。本作は女優グウィネス・パルトロウの弟であるジェイク・パルトロウが史実を基に監督・脚本を手がけ、1962年にイスラエルで処刑されたアイヒマンの極秘裏に行われた火葬の成り行きをアラブ系移民の少年の視点から描いていきます。
監督:ジェイク・パルトロウ 出演者:ノアム・オバディア(ダヴィッド)、ツァヒ・グラッド(ゼブコ社長)、アミ・スモラルチク(ヤネク)、ヨアブ・レビ(ハイム)、トム・ハジ(ミハ)、ヤコフ・ザラ・ダニエル(ヤコフ)、ジョイ・リーガー(アダ)、オシェル・マイモン(年老いたダヴィッド)ほか
映画「6月0日 アイヒマンが処刑された日」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「6月0日 アイヒマンが処刑された日」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「6月0日 アイヒマンが処刑された日」解説
この解説記事には映画「6月0日 アイヒマンが処刑された日」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
6月0日 アイヒマンが処刑された日のネタバレあらすじ:起
1961年、イスラエル。リビアから一家でこの国に移住してきた13歳のアラブ系少年ダヴィッドは、授業を中断してまでラジオのニュースを真剣に聴いている同級生たちを不思議そうに見つめていました。ラジオのニュースは、第二次世界大戦においてユダヤ人大量虐殺に関与したナチス・ドイツの戦争犯罪人アドルフ・アイヒマンに死刑判決が下されたことを報じていました。
放課後、ダヴィッドは父ヤコフに連れられ、町のはずれにある鉄工所に行きました。鉄工所の社長ゼブコは炉の掃除ができる体の小さい働き手を探しており、ヤコフはダヴィッドにその仕事をさせようとしたのです。
ダヴィッドはイスラエルの公用語であるヘブライ語が苦手なヤコフのためにも鉄工所で働く決心をしましたが、ほんの出来心からか社長室の棚に飾られていた金の懐中時計を盗んでしまいました。この懐中時計はかつてイスラエルの独立闘争で戦ったゼブコが戦利品として手に入れたものでした。
普段から学校でいじめに遭っていたダヴィッドは金欲しさに度々盗みを働いていました。良心の呵責に悩んだダヴィッドは懐中時計を元の場所に戻すことにしましたが、誤って壊してしまいました。
そんな時、ゼブコが独立闘争時代からの友人でアイヒマンが収監されている刑務所の主任看守ハイムと共に姿を表したため、ダヴィッドは咄嗟に机の下に隠れました。ダヴィッドはそこで、ゼブコとハイムが極秘裏にある計画を練っていることを知りました。
6月0日 アイヒマンが処刑された日のネタバレあらすじ:承
ゼブコとハイムが語り合っていた極秘の計画とは、アイヒマンを処刑した後に遺体を火葬する焼却炉を作るというものでした。しかし、イスラエルには元から火葬という風習はありませんでした。
ダヴィッドはゼブコに見つかってしまい、逃げ出すも捕まってしまいました。ダヴィッドはゼブコから尋問を受け、懐中時計を盗んだことを認めました。しかし、ゼブコはダヴィッドを解雇することなく引き続き鉄工所で働かせることにしました。
それからというもの、ダヴィッドは学校には行かずに鉄工所に入り浸るようになり、従業員たちとも心を通わせ会っていきました。ダヴィッドにとっては居心地の悪い学校よりも鉄工所での日々は何よりの幸せでした。
アイヒマン裁判の主任捜査官であるミハはアウシュビッツ強制収容所の生き残りです。ある時、ミハはアメリカからやってきたユダヤ人協会に自らの経験を語ることを求められました。協会のメンバーであるアダは辛い思いをしてまで語ることはないと諭しましたが、それでもミハは自らの過去を語り始めました。
ナチスのホロコーストを逃れ、命がけで入管局に辿り着いたミハはそこで初めて自らの経験を人に打ち明けたのですが、入管局の役人たちはミハの話を信用しようとはせず、その時から自ら語り続けることでしか理解してもらえないと強く感じるようになったそうです。
その頃、ゼブコの鉄工所では焼却炉が完成していました。すっかり鉄工所の一員となったダヴィッドは従業員の誰よりも焼却炉の使い方を覚えていきました。
6月0日 アイヒマンが処刑された日のネタバレあらすじ:転
アイヒマンの処刑は5月31日と6月1日の間の未明に執行されました。ミハも処刑に立ち合いました。ゼブコの鉄工所にも連絡が入り、一同は焼却炉をトラックに積んで刑務所に運ぶことになりました。ゼブコはアウシュビッツの生き残りである従業員ヤネクに「復讐を果たせ」と告げ、焼却炉の操作という大役を任せました。
しかし、いきなり大役を命じられたヤネクはパニック状態に陥り、上手く焼却炉の操作ができませんでした。困り果てたヤネクは鉄工所に電話をかけ、ゼブコから呼び出されたダヴィッドは何度も繰り返し操作方法を説明しました。ヤネクは無事に大役を務め上げ、アイヒマンの遺体は火葬されました。
明け方になってヤネクが鉄工所に戻ってきました。火葬が成功したことを知ったゼブコはダヴィッドを呼び出し、給料をやるから明日からもう鉄工所に来なくていいと解雇を告げました。ダヴィッドはなぜだと問い詰めましたが、ゼブコはダヴィッドは鉄工所で人生を全うすべきではなく、きちんと学校に行って勉強して良いところへ就職すべきだと諭しました。
こうしてダヴィッドは再び学校への日々に戻っていきました。
6月0日 アイヒマンが処刑された日の結末
ダヴィッドをいじめている同級生は学校でゴシップ誌を読んでおり、見たければ金を払えというような連中でした。この日も同級生はアイヒマンの処刑について報じた雑誌を読んでおり、ダヴィッドは金を出して見せてもらおうとしましたが同級生は見せてくれませんでした。ダヴィッドは同級生と取っ組み合いの喧嘩になりました。
その頃、アイヒマンの遺骨は刑務官たちによって領海の外へと散骨されました・・・。
・・・時は流れ、ダヴィッドは年老いた老人になっていました。ダヴィッドはウィキペディアの担当者に自分もアイヒマンの焼却炉を作った一員として歴史に名を残してほしいと懇願していました。
しかし、担当者は当時鉄工所で働いていた存命の元従業員数名に話を聞いても誰一人として証言しなかったとし、確かな証拠がなければ応じられないと回答しました。それでもダヴィッドは自分は歴史に触れ、歴史が自分に触れたのだと訴えると、担当者は時が経てばいつか明らかになる真実もあると諭しました。
以上、映画「6月0日 アイヒマンが処刑された日」のあらすじと結末でした。
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