キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンの紹介:2023年アメリカ映画。マーティン・スコセッシ監督が6度目のタッグとなるレオナルド・ディカプリオを主演に迎え、実話を基に描いた西部劇サスペンス。27年ぶりにレオと共演するのは名優ロバート・デ・ニーロ。ジャーナリストのデビッド・グランがアメリカ先住民連続殺人事件について描いたベストセラーノンフィクション「花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生」をもとに、スコセッシ監督と脚本家エリック・ロスが共同脚本を手がけた。
監督: マーティン・スコセッシ 出演:レオナルド・ディカプリオ(アーネスト・バークハート)、ロバート・デ・ニーロ(ウィリアム・〝キング〟・ヘイル)、リリー・グラッドストーン(モリー・カイル)、タントゥー・カーディナル(リジー・Q)、カーラ・ジェイド・マイヤーズ(アナ・ブラウン)、ジャネー・コリンズ(リータ)、ジリアン・ディオン(ミニー)、ウィリアム・ベルー(ヘンリー・ローン)、タタンカ・ミーンズ(ジョン・レン)、ルイス・キャンセルミ(ケルシー・モリソン)、スコット・シェパード(バイロン・バークハート)、ジェイソン・イズベル(ビル・スミス)、スターギル・シンプソン(ヘンリー・グラマー)、ジェシー・プレモンス(トム・ホワイト)、マイケル・アボット・ジュニア(フランク・スミス)、ジョン・リスゴー(リーワード検察官)、ブレンダン・フレーザー(W.S.ハミルトン弁護士)、ヤンシー・レッド・コーン(ボニキャッスル)、エベレット・ウォラー(ポール・レッドイーグル)、タリー・レッドコーン(オセージ族のリーダー)、デジレー・ストーム・ブレイブ(バーサ・ビッグハート)、エリシャ・プラット(ジョセフ・ビッグハート)、トム・シュルツ(ブラッキー・トンプソン)ほか
映画「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」解説
この解説記事には映画「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのネタバレあらすじ:起
1920年代のアメリカ・オクラホマ。オセージ族の居留地から石油が吹き出し、彼らは世界トップの個人資産を保有する大金持ちになっていました。
その土地フェアファクスへおじを頼って戦争から戻ってきたアーネストは、迎えにきたオセージ族のヘンリー・ローンの車で彼が所有するという牧場へとやってきました。出迎えたのは、自分のことを〝キング〟と呼ぶように笑うおじのウィリアム・ヘイルとその家族たち、そして弟のバイロンです。キングは「オセージ族は無口だが賢い」と、アーネストにも本を読んで知識を身につけるよう諭します。
そのころオセージ族の不審死が続き、20代の屈強な男性や40代の母親、20代の女性たちが突然亡くなったり殺されたりしていましたがいずれも捜査はされませんでした。
オセージ族の女性モリー・カイルは財産を管理する後見人との面談で、割当制度の追加受給の申請をおこなっています。モリーは糖尿病を患っており薬や腫物の処置のためにお金が必要なのです。
町では金持ちのオセージ族目当ての商売が盛んで、アーネストもまた客待ちのタクシーのようにモリーに声をかけ、彼女の送迎をするお抱え運転手のようになっていきます。
そんなアーネストにキングは、彼女は〝純血〟だから結婚すれば母親の資産も手に入ると話します。
夜、アーネストはバイロンやその悪い仲間であるブラッキーと出かけ、覆面をして金持ちから宝石を奪い、賭博場でそれを賭けますが全部スッてしまいます。
そんなある日、モリーはアーネストに上質な帽子をプレゼントし、家に招き入れます。母親はいい顔をしませんが、ふたりはその夜食事を楽しみました。
教会へ礼拝に行ったあと、モリーたち四姉妹はオセージ族の言葉で男たちの噂話をしています。姉妹たちはアーネストが金目当てだといいますが、モリーはそれでも顔のいい彼に好意をもっており、その後彼のプロポーズを受け入れ晴れてふたりは結婚しました。
キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのネタバレあらすじ:承
結婚式で幸福の絶頂にいたモリーですが、その後妹のミニーが病気で亡くなってしまいます。キングはミニーの夫ビル・スミスが受益権を奪うため妻に適切な治療を受けさせなかったと言い、寿命の短いオセージ族の母親やリータ、アナ、モリーの受益権の道筋を考えないといけないとアーネストに話します。
モリーと母、アーネストとその子供たちが住む家に、酒に酔った姉のアナがやってきました。素行が悪く銃を持ち歩いているアナですが、母親は彼女を一番可愛がっていました。しかしある日、そのアナが他殺体で発見されます。同じころ、チャーリー・ホワイトストーンという男性も殺害されており、オセージ族の人々は評議会を開きます。そこにはアーネストやキングも同席していますが、白人は財産目当てのろくでなしだとオセージ族のリーダーは言います。キングは2つの事件の目撃情報を募る報奨金を1000ドル上乗せすると発言し、また族長は別の白人男性マクブライドを首都のインディアン対策部に派遣し捜査を依頼すると言います。
しかしその道中、マクブライトは脅迫を受けた上、襲われ殺されてしまいました。
アーネストとモリーはアナの葬式の手配をする際、ミニーの夫だったビル・スミスが今度はリータと付き合っていることを知ります。モリーは自身で手配した探偵バーンズからビル・スミスもアナの事件を追っていると聞き、それをアーネストがキングに話すとキングはそれ以上調べさせるなと不機嫌になります。
キングの命令でアーネストはビル・スミスとリータ夫妻の殺害をブラッキーに依頼します。しかしその際、自分の車をブラッキーに盗ませて保険金をだまし取ろうとしたばかりにブラッキーはつかまり、肝心の殺人を実行する人間がいなくなってしまいました。アーネストはキングに怒られ、モリーを黙らせ主導権を握るよう命じられます。そのためアーネストはまず顔を隠してバーンズを襲います。そしてキングとともに元ロデオ王で今はすっかり麻薬や密造酒に手を染めているヘンリー・グラマーをたずね、爆弾で人殺しをしてくれる男がいると教えられます。
キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのネタバレあらすじ:転
糖尿病が悪化したモリーにキングは高価な薬インスリンを手配してくれました。医師のショーン兄弟に注射されることを嫌がるモリーは、アーネストに打つよう頼みます。
キングはオセージ族の友人ヘンリー・ローンに生命保険をかけるため、ショーン兄弟に健康診断をさせています。しかしうつ病で二度の自殺未遂を起こしているローンの結果は芳しくなく、またその後、妻の浮気を疑って相手の男性ロイ・バンチに殴りかかりケガをさせてしまいます。身柄を引き受けたキングはアーネストに、保険金を手に入れるためにあと数か月は生かしておかなければならないと耳打ちします。そしてローンはモリーの最初の夫で、オセージ族には離婚制度がないため、モリーに何かがあった場合、相続する権利があるかもしれないと告げるのでした。
その後モリーの母が亡くなり、キングはモリーに自分を頼るように言ってなぐさめます。そんな中、モリーが3人目を妊娠していることがわかり皆祝福しますが、キングだけは「こんな大事なときに子作りか」とアーネストに吐き捨てます。
アーネストはグラマーの手下であるジョン・ラムジーにヘンリー・ローン殺害を依頼します。自殺に偽装するよう前から銃で撃つよう念を押しますが、ラムジーは結局後ろから撃ってしまい、その上銃を持ち帰りアーネストに返してしまいます。アーネストはキングに呼び出され、ヘマをしたことを咎められます。その足でキングたちはロイ・バンチのもとへ行き、ローン殺しを疑われるだろうから町を出るよう促しますが、無実のバンチはそれを断ります。
キングはビル・スミス夫妻の殺害を急ぎ、アーネストに爆弾の準備ができる男に話をつけるよう命令します。嫌がるラムジーを脅してエイシー・カービーという男に爆弾を仕掛けるよう命じたアーネスト。モリーとともに妹リータを心配するフリをする中で犯行は行われ、予想以上の威力で夫妻の家は吹き飛びリータは亡くなってしまいました。
度重なるオセージ族への凶行に危機感を覚えたモリーは単身ワシントンD.C.へ向かい、クーリッジ大統領に捜査を直訴します。戻ってきたモリーに対しキングは、インスリンに別の薬を混ぜるようこっそりアーネストに命じました。
日に日に弱っていくモリーは教会で神父に、命を狙われていると告白します。そしてアーネストに、インスリンは医師を通さずあなたが駅で受け取って、と懇願するのでした。
キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンの結末
そんなある日、アーネストの家にワシントンから捜査員トム・ホワイトがやってきました。モリーは体調が悪いので後日来てくれと言って追い返したアーネストですが、その夜焦ってキングのもとへ行き捜査員が来たと報告します。
ホワイトはオセージ族の男性たちに話を聞き、族長たちは政府に金を貢いだ甲斐があったと口にします。
そのころキングは、ヘンリー・ローンの保険金が支払われないことに怒り保険会社で悪態をついたり、取引相手の男性に牧場を早く売ろうと必死に交渉したりしていました。
医師のショーン兄弟のところにも捜査員がやってきて、アナの検死について不可解な点があると問いただされます。
キングのもとにもホワイトがやってきますが、のらりくらりとかわして追い返します。
その後キングは手下のブラッキーを罠にはめて逮捕させ、爆弾犯カービーに強盗の口を斡旋するフリをしてだまし、射殺されるよう仕向けます。逃亡をはかったグラマーは事故死し、さらにアーネストにはつかまっても助けるから大丈夫だと嘘をついて、書類に署名させます。
捜査員たちが夜、集まって捜査状況を話し合っています。
ケルシー・モリソンという男がビル・ステップサンというオセージ族の男性を殺しその妻と結婚。その後その妻が死亡。そしてふたりの子どもを殺して相続した財産を得ようとしていたことが発覚し身柄を確保。そこでアーネストとバイロン兄弟の名前を出し、取引に応じる姿勢をみせたことが報告されます。そんな中、キングの所有する牧場で火災が発生。捜査員たちは、3万ドルの火災保険を契約したからだと言ってその様子を眺めています。
アーネストもその炎を見ながら、キングに言われた薬をインスリンには混ぜず、自分の酒に入れて飲みました。意識の朦朧としているモリーのベッドでアーネストも横になって眠ります。
翌日、アーネストは捜査員に身柄を拘束され、長い尋問が始まりました。立ったまま眠ることも許されない状況で、アーネストは犯罪については何も語りませんでしたが、ブラッキーの登場で動揺し、ふたりで話すことを認められます。その後、家に帰りたいと話すアーネストに対しホワイトは、証言すれば帰れると言って全容を聞き出します。
その証言によってラムジーは逮捕され、アーネストに裏切られたと知った彼もまた事の次第を話し始めました。
一方モリーの容態は悪化し、訪れた捜査員によって病院に運ばれ一命を取りとめます。アーネストは司法取引によって逮捕はされませんが、おじから守ってほしいと保護を訴えます。
キングは自ら出頭し余裕の態度をみせますが、ラムジーが獄中でキングからアーネストの殺害を指示されたと話して雲行きが怪しくなってきました。
法廷で証言することになったアーネストに対し、キングの弁護士が「アーネストと話をしたい」と発言しアーネストがそれを受け入れたことから混乱、休廷してしまいます。
アーネストはモリーと再会し、バイロンの運転する車でキングの弁護士やキングの家族、地元の名士たちのいる部屋に連れていかれ、キングに不利な証言はしないよう圧力をかけられます。世話になった身内を悲しませたくないとの気持ちからアーネストは証言を取り消すことを決意します。
翌朝、ふたりきりのときにモリーはアーネストに「道を誤らないでね」と言葉をかけます。
アーネストは迎えに来た捜査員たちに証言しないと告げます。法廷では、ケルシー・モリソンが証言台に立ち、キングの命令でバイロンと協力してアナを殺したと悪びれずに証言します。
牢に戻ったアーネストに知らされたのは百日咳を患っていた娘リトル・アナの訃報でした。泣き崩れるアーネストに隣の牢からキングが声を掛けます。
リトル・アナの葬儀に立ち会うことを許されたアーネストは、その後キングに対し、これからはふたりの子どもとモリーの面倒を見る、つまりキングとは袂を分かち証言する、と宣言します。
そうしてすべてが終わり、アーネストのいる部屋にモリーがやってきました。彼女はアーネストに、注射の中身は何だったの?と質問し、アーネストが少し考えたあと「インスリンだよ」と答えると、そのまま席を立ち無言で部屋を出ていきました。
「正義は勝った」と捜査局は内容を公表しました。医師のショーン兄弟は毒を投与したにも関わらず不起訴。バイロンは共犯者として逮捕されるもその後釈放されました。キングは終身刑になるも政治家に貢ぎ赦免され、のちに介護施設で亡くなりました。アーネストも終身刑を言い渡されますが、その後恩赦で釈放され、弟バイロンとトレーラーハウスで暮らしたそうです。
モリーはアーネストと離婚し、その後別の男性と再婚。亡くなったあとは両親や姉妹たち、そして娘の眠る墓地に埋葬されました。彼女の訃報記事に一連の殺人事件のことは触れられていなかったといいます。
以上、映画「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」のあらすじと結末でした。
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