ノック 終末の訪問者の紹介:2023年アメリカ映画。『シックス・センス』や『サイン』など、奇妙で驚くような結末が魅力のスリラー映画の鬼才、シャマラン監督。彼の最新作がキリスト教の終末論をモチーフにした『ノック 終末の訪問者』だ。主演はシャマラン監督が彼しかいないと見染めた元格闘家のデイヴ・バウティスタ。屈強な外見の侵入者だが知的で優しい小学校教師という設定が面白い。侵入される家族側はゲイのカップルと彼らの養子である中国系の少女。両親を演じるグロフとオルドリッジは実際にゲイだと公表している当事者でもある。
監督:M.ナイト・シャマラン 原作:ポール・トレンブレイ「終末の訪問者」 出演:デイヴ・バウティスタ(レナード)、ジョナサン・グロフ(エリック)、ベン・オルドリッジ(アンドリュー)、ニキ・アムカ=バード(サブリナ)、ルパート・グリント(レドモンド)、アビー・クイン(エイドアン)、クリスティン・キュイ(ウェン)ほか
映画「ノック 終末の訪問者」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ノック 終末の訪問者」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ノック 終末の訪問者」解説
この解説記事には映画「ノック 終末の訪問者」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ノック 終末の訪問者のネタバレあらすじ:起
ゲイの両親エリックとアンドリューの養子として幸せに暮らしているウェン。彼らは休暇を利用して森の中のロッジに滞在しています。ウェンがひとり屋外でバッタの採集をしていると、大きな黒人男性が近づいてきました。知らない人とは話さない、と警戒するウェンに彼はレナードと名乗り、友だちになろうと話しかけてきました。
質問をしあいながら会話をしていると、向こうから武器のようなものを持った男女3人が歩いてきます。レナードはウェンに、危害は加えたくないと言いながら、君やパパたちに決断してもらわないといけない、と辛そうに言います。ウェンは急いでロッジに戻りエリックとアンドリューに危険な訪問者の存在を知らせます。
はじめは相手にしていなかったふたりも実際ドアがノックされ「中に入れてください」と言われ警戒します。電話線は切られ、携帯電話は圏外。ウェンたちはロッジ中の窓の鍵を閉め、ドアの前に障害物を置きますが、4人は窓ガラスを割ったり、ドアを破壊して侵入してきました。
エリックは黒人女性に殴られ倒れますが、殴った当の本人は看護師だといって傷を診ると言います。アンドリューは金髪の白人男性を殴っていますがレナードに抱えられたウェンの姿を見て反撃をやめました。
アンドリューとエリックは後ろ手に縛られイスに座らせられています。看護師の女はエリックの傷の処置をし、レナードは割れたガラスを片付けています。もうひとりの女ははずれたドアを直すのに悪戦苦闘し、アンドリューに殴られた男は悪態をついています。
リーダー格らしいレナードが男をいさめ、ゲイだから襲ったのかというアンドリューに「ゲイに偏見はない。ここに来るまで知らなかった」と答えます。そして「そろそろ時間だ」と言って自分たちが何者で、なぜここに来たのか語り始めます。
黒人の女はサブリナ。手術看護師を5年しているそうで、今回貯金をはたいてここへやってきたと言います。
レナードは小学校教師。バスケのコーチをしているそうです。
金髪の男はレドモンドと名乗り、ガス会社の技術者だといいますが、なにやら過去に前科があることをほのめかします。
するとアンドリューが、なぜお前たちの自己紹介を聞かなくてはならないのかと怒り出し、最後のひとりエイドリアンはなかなか話ができません。結局子持ちのメキシコレストランで働く女だということがわかったところでレナードが本題に入ります。
彼によると、なんの関係もなかったこの4人はそれぞれ啓示を受け、世界の終末のビジョンを見てしまったそうです。そしてその終末から世界中の人々を救うには、今日ここにいる家族の中からだれかひとりが自らの意志で犠牲にならなければならない、と告げたのです。
そんなカルト宗教みたいな妄想、信じられるか!とアンドリューはあきれますが、レナードは冷静に、「我々の使命は終末を止めること」と言って引きません。するとレドモンドが「信じてない。時間のムダだった」と怒りをあらわにします。
ノック 終末の訪問者のネタバレあらすじ:承
レドモンドはひとり前に進み出てひざまずき、他の3人は農具のような武器を持ちまるでなにかの儀式かのように直立します。レドモンドが頭に白い布を被ると、窓の外から一瞬強烈な光が差し込みます。
「人類の一部が今裁かれた」
レドモンドの頭部には武器が振り下ろされ、白い布は真っ赤に染まります。ウェンには見せないようにアンドリューは配慮し、レナードは加害者ながら吐いてしまいます。彼らは死体をロッジの外に引きずっていき、床についた血のあとを掃除します。
そしてレナードがテレビをつけると突然特別番組が始まり、アリューシャン列島で発生した地震の影響でシアトルやポートランドなどが津波に襲われるというニュースとともにその映像が流れます。それは6mほどでしたが「これはちがう」と彼らは言い、その後余震と思われる地震によってさらに巨大な津波の衝撃的な映像が映し出されます。アンドリューはウェンを自室へ行かせ、レナードはふたりを説得させるように「世界中の人々が死ぬ」と言います。
ウェンたち3人はこのロッジにやってくる前に、車の中で「ブギー・シューズ」という曲を楽しそうに歌っていました。ここに着いてからは近くの湖にアンドリューとウェンがはしゃいで飛び込み、慎重なエリックは靴と靴下をきちんと脱いで揃えてから後を追います。
エリックはバスルームでサブリナから傷の手当てをしてもらっています。脳震盪を起こしたエリックに優しく接しながらサブリナは「(あなたたちと私たちは)同じ側にいる」と説得しようとします。エリックは「ぼくは家族の側にいる」といってそれを拒みます。戻ってきたエリックにアンドリューは心配そうに声を掛けますが、「(彼らの話を)信じてない!」とエリックは少しムッとします。
一方ウェンはこっそりロッジを抜け出しますが、レナードに見つかり戻されてしまいます。するとアンドリューが突然ひらめいたように、レドモンドのことを知っていると言い始めます。以前バーでエリックと飲んでいるとき、酔っ払いにからまれ殴られたことがあるアンドリュー。その犯人はオバノンという名前でしたが風貌がレドモンドに似ていたので、死体のポケットにあると思われる財布の中の身分証を確かめてほしいと訴えます。レナードは「見ない」と取り付く島もありませんが、女ふたりは動揺します
その夜は皆そのまま休み、静かに朝を迎えます。ウェンはエイドリアンの作った朝食を食べ、その後エリックにロープを切るためのナイフをこっそり渡します。アンドリューは自力でゆるんだロープから手を外そうと試みます。するとエイドリアンが次は自分の番だと、そして終末を止めなければ息子が死んでしまう、と泣いて懇願してきました。彼女はひざまずいて白い布をかぶり、制止するアンドリューとエリックの叫びも空しく殺されてしまいます。
ノック 終末の訪問者のネタバレあらすじ:転
レナードはエイドリアンの死体をとなりの部屋へ運び、戻ってくるとテレビをつけます。ニュースでは世界中で猛威を振るっているX9ウィルスについて放送されていました。アンドリューは、そのウィルスについては以前から話題になっていたし、時計を気にしながらテレビをつけているのは録画だからなのではないか、と懐疑的です。
すると突然ウェンが「アニメがみたい!」と駄々をこねて騒ぎ始めます。それは手筈どおりの行動でした。ウェンに気を取られたレナードを、ロープを切ったエリックがおさえようとしますが足のロープがそのままなので倒れ込んでしまいます。そのすきにアンドリューはロープをはずして外に飛び出し車を目指します。
タイヤはパンクさせられていましたが、後部座席にはエリックが買ったという銃があるはずです。実はエリックは以前アンドリューが襲われたとき、短気な彼がまた襲われないよう彼を守るため内緒で銃を購入していたのです。銃があることを聞いたアンドリューはそれを取るためにここまで来ましたが、追ってきたサブリナに足を棒で殴られてしまいます。
反撃し、やっと車に入るもなかなか銃のボックスが開かず、これ以上危害を加えたくないサブリナが泣きながら棒で小突いてきます。アンドリューはようやく数発装填すると無我夢中で発砲しました。弾はドアをかすめて飛んでいきますが、驚いたサブリナは叫びながら森の方へ走っていってしまいます。
そしてアンドリューがロッジに戻るとエリックはレナードと格闘中でした。アンドリューがエリックを助けようとしていると、外から決死の覚悟でサブリナが走り込んできました。とっさにアンドリューは引き金を引いてしまい、胸を撃たれたサブリナは死んでしまいます。
レナードはサブリナの死体に毛布をかぶせて外へと運び出し、アンドリューはレドモンドの死体から財布を取り出し、彼が自分を襲ったオバノンであったことを確認しました。テレビには世界中で航空機が墜落している映像が映し出されており、既に700機が落ちていると伝えられています。アナウンサーが話すより先に、全く同じセリフを話すレナード。アンドリューは怒ってテレビ画面を割ってしまいます。
「これが偶然だというのか?」
エリックはレナードたちが主張していたことについて真剣に考え始めていました。エリックはウェンを外のツリーハウスに行かせ、レナードの最期の話に耳を傾けます。ウェンから見えないところでレナードはイスに座り、自分が死んでからは数分間しかチャンスがない。それを逃したら他の人々は皆死んでしまい、エリックとアンドリュー、ウェンだけが地球上に生きて残されることになると言います。それを防ぐにはどちらかが進んで犠牲になるしかない、とそう言ってレナードは自分の首をナイフで切って絶命します。
あたりには雷鳴が轟き、エリックはおだやかに話し始めます。4人の訪問者はさまざまな人間の心、感情を表している。レドモンドは恨み、エイドリアンは養い、サブリナは癒し、レナードは導き。それは黙示録の四騎士のようだとエリックは言います。そして皆のために自分が犠牲になると言うのでした。
ノック 終末の訪問者の結末
アンドリューは狼狽し、自分が死ぬから「殺ってくれ」と言い出します。ふたりはお互いに自分が犠牲になると言い合いますが、エリックが何十年後か、動物病院で働くウェンとアンドリューが車で楽しそうに食事に出かけるビジョンが見えると言い、君は残るべきだと彼を説得します。そして森の中には銃声が響き渡りました。
ツリーハウスにウェンを迎えにきたアンドリュー。ウェンは「エリックパパ、世界を救った?」とたずねます。アンドリューはウェンを抱きしめ涙を流します。
ふたりがツリーハウスから降りてくると、落雷を受けたロッジは炎に包まれていました。雨が降る中ふたりは森を歩いていき、やがてレナードたちが乗ってきた車を発見します。ドアはロックされておらず、中にはちゃんとキーもありました。しばらく車を走らせ、ロードサイドのレストランに立ち寄ると、多くの人々が無言でテレビを見ていました。テレビからは、災害は止まった、終わった、と奇跡を喜ぶような声が聞こえてきます。だれかに電話している女性も同じようなことを言っていました。
再び車に戻ると後部座席にはレナードがコーチをしているバスケチームの写真と表彰状がありました。サブリナの正看護師の身分証やエイドリアンが息子と写った写真もあります。そしてオバノン名のガス会社のIDカードもありました。
アンドリューが音楽を聴こうとスイッチを入れると、「ブギー・シューズ」のあのメロディが流れてきました。彼はそれを止めますが、ウェンが再びそれをつけます。やはり思い直してウェンがそれを消すと、最後にはアンドリューがまたその音楽をつけ、車は再び走り出すのでした。
以上、映画「ノック 終末の訪問者」のあらすじと結末でした。
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