ククーシュカ ラップランドの妖精の紹介:2002年ロシア映画。ラップランドで出会った、サーミ族の女性、フィンランド兵、ロシア兵、言葉の通じない三人はすれ違いながら奇妙な生活を送る。
監督:アレクサンドル・ロゴシュキン 出演:アンニ=クリスティーナ・ユーソ(アンニ)、ヴィッレ・ハーパサロ(ヴェイッコ)、ヴィクトル・ブィチコフ(イワン)、ほか
映画「ククーシュカ ラップランドの妖精」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ククーシュカ ラップランドの妖精」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ククーシュカ ラップランドの妖精」解説
この解説記事には映画「ククーシュカ ラップランドの妖精」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ククーシュカ ラップランドの妖精のネタバレあらすじ:起・ラップランドでの出会い
二次大戦末期、フィンランド軍の一員ヴェイッコは、仲間によって岩に鎖とザイルで固定され処刑されようとしていた。彼らは爆撃機からも見やすい位置にドイツ兵の制服を着せ投降できないようにして、置き去った。ヴェイッコが弾の抜かれた銃を覗くと、近くにはロシア軍がやって来ていた。ロシア兵たちの中では密告騒ぎがあり、その内通者を連れて行く所だった。しかし途中で味方の爆撃機に爆撃されてしまった。ヴェイッコが見ているとそこへ現地民の女性がやって来て埋葬しようとしているのが見えた。彼もこのままでは爆撃機の餌食になりかねないと、岩に埋め込まれたザイルを何とか引き抜こうと画策した。
無事にザイルを抜いたヴェイッコは、鎖を切ろうと、近くにいるだろう現地の女性の家を訪れた。そこには爆撃の中で生き残ったロシア兵とサーミ族の女性がいた。
ククーシュカ ラップランドの妖精のネタバレあらすじ:承・奇妙な共同生活の始まり
三人はそれぞれの言葉が全く通じなかった。ロシア兵はヴェイッコがドイツ兵の制服を着せられているせいで、彼をドイツ兵と勘違いしたままだった。彼は床に伏しており、サーミ族のアンニが看病をしていた。そうして言葉の通じない三人の生活が始まった。ある時は独白のように話し、ある時は食い違ったまま、口論をした。そして、ヴェイッコとロシア兵は、ここには彼女一人が冬を越すだけの貯えしかなく、夏が終わる前に出て行かなければならないと悟った。
若いヴェイッコは大学生の時に戦争がはじまり兵に取られ、もうここでは戦争は終わったと言った。しかしアンニの夫は四年前に兵隊にとられたきり、帰って来ていない。アンニは心身共に寂しかった。
ククーシュカ ラップランドの妖精のネタバレあらすじ:転・恋の季節と別れの季節
フィンランド人のヴェイッコは、アンニが戦争の匂いを落としてくれというので、即席のサウナ小屋を作り、アンニに止められながらもキノコ料理を作ろうとしていたロシア兵と一緒にサウナに入り汗を流した。そこでロシア兵は自分がアンニに想いを寄せている事や、今まで結婚で二回失敗し女運のない事を独白した。その小屋へアンニがやって来て、ヴェイッコを連れて母屋へ入って行った。ロシア兵は今回も振られたと一人で干し草にくるまって眠った。
翌朝、アンニはキノコ料理を自分で作って食べたロシア兵に解毒剤だと言って、下剤の薬湯を作って飲ませた。途端に腹を下した彼は、いたずらに辱められていると思い怒った。そして、ヴェイッコとアンニが恋人同士になった以上ここにはいられないと思い、一人で先に去ることにした。しかし、彼女の家の近くでドイツ兵を見つけてしまう。彼は急いでアンニの元に帰ると、ドイツ兵がいると言って二人に隠れるように言った。
ククーシュカ ラップランドの妖精の結末:死の国からの帰還
それからしばらくして、アンニの家の上を戦闘機が通り過ぎた。いつもはこんな所を通らないと言う彼女の言葉に、二人は戦闘機の降りていった方へ向かった。そこには墜落した戦闘機と、戦争は終わったと言うビラが散らばっていた。ヴェイッコは飛行士が女性だったことにショックを受けた。そして飛行士の一人からピストルを盗んだロシア兵は、ヴェイッコがライフル銃を壊そうと振り上げたのを、自分を殺そうとしたのと勘違いし、咄嗟に彼を撃ってしまった。急いでアンニの家へ連れて帰ると、彼女は身体から魂が離れて行ってしまうと言って、太鼓を鳴らしながら呪文を繰り返し、白い子供に死の国へ連れて行かれようとするヴェイッコの魂を、一晩かけて何とか連れ戻した。そして、一命をとりとめた彼の横で、一人寝が寂しいとロシア兵と寝た。
その冬、二人は共にアンニに毛皮のコートを作ってもらい、それぞれの故郷へ帰った。その帰り道それまでクソクラと呼ばれていたロシア兵は、イヴァンという名前だと明かした
それから数年後、アンニはまるでおとぎ話でも聞かせるように、双子の息子に二人の兵士たちと過ごした日々の話を語り聞かせていた。
以上、映画ククーシュカ ラップランドの妖精のあらすじと結末でした。
ククーシュカ ラップランドの妖精の感想・レビュー:言葉が通じない中で
彼らはいわゆる戦時中という一つの極限状態で出会う。そして言葉が通じないながらも、サーミ族の女性を挟んで戦争からは少し離れそれぞれの日常を過ごしてゆく。それぞれの習慣か、フィンランド兵は小さなサウナ小屋を作り、ロシア兵はキノコ料理に余念がない。そして、言葉が通じないながらも、サーミ族の女性と恋に落ち、抜け駆けされた方の男性は嫉妬する。言葉が通じずとも、暮らしの中で育まれていく愛情や友情があること実感する。
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