パリの家族たちの紹介:2018年フランス映画。これから母になる、母になったばかり、母になりたいがなれない、母になりたくない、それぞれの母への感情や理想が交錯する群像劇。
監督:マリー=カスティーユ・マンシヨン=シャール 出演:オドレイ・フルーロ(アンヌ)、クロチルド・クロ(ダフネ)、オリヴィア・コート(ナタリー)、パスカル・アルビロ(イザベル)、ジャンヌ・ローザ(ブランシュ)、カルメン・マウラ(テレーズ)、ニコール・ガルシア(アリアン)、ヴァンサン・ドゥディエンヌ(スタン)、マリー=クリスティーヌ・バロー(ジャクリーヌ)、パスカル・ドゥモロン(ジャック)、ギュスタヴ・ケルヴェン(グレゴワール)、ノエミー・メルラン(ココ)、ほか
映画「パリの家族たち」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「パリの家族たち」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
パリの家族たちの予告編 動画
映画「パリの家族たち」解説
この解説記事には映画「パリの家族たち」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
パリの家族たちのネタバレあらすじ:起・パリの母たち
教え子と恋をし、独身生活を謳歌しているナタリーは、徘徊癖の高齢の母親の世話をどうするか、姉で小児科医のイザベルと悩んでいた。彼女達の妹のダフネは二人の子を抱えたシングルマザーで、今日もシッターのテレーズに預けジャーナリストの仕事に明け暮れなかなか電話に出ない。
花屋のココは恋人スタンの子供を身ごもったが、彼は脳梗塞で倒れた母が心配で見向きもしてくれない。当の母親のアリアンは舞台女優として復帰するべく、セリフの練習と、リハビリにタップダンスを始めようとしていた。
そして、産休から復帰したばかりのこの国の大統領アンヌは、育児休暇をとった夫のグレゴワールの助けを借りながら母としての役目と大統領の務めの板挟みなっていた。
パリの家族たちのネタバレあらすじ:承・母の日
ダフネの娘が通う学校では、家族の形態の多様化により、学校で母の日を祝うと言う事を止めるという決定を保護者会で言うと、一部の母親が猛反発。母の日のお祝いを楽しみしている彼女達は、この決定に反対するデモを学校の前で開始した。
一方、ナタリーは母の日の成り立ちとその後の論争について、講義で話した。気ままに生きた母親を見て育ったナタリーは、自分が母親になることを望んでいないにも関わらず、子供を欲しがる年下の恋人を少し持て余していた。逆に姉のイザベルは、夫との間に子供を授かれないとわかると、養子を迎えることを決めた。
ナタリーとイザベルの友人ブランシュは、放任主義で育ち、彼女達からは羨望のまなざしを受けるが、今は母とは絶縁状態だった。
身籠った事を恋人に告げられないココを見守るおじでゲイの花屋の店主は、恋人と喧嘩をしてしまい、姪の悩みには気づかなかった。
パリの家族たちのネタバレあらすじ:転・母という役割
夫の助けを借りながら、育児と執務を完璧に行おうと奮闘する大統領だったが、国民からの支持率は下がるばかり、周りは次の選挙に向けて心配し、彼女自身は完璧に行えないという事実に自信喪失しかけていた。
タップダンス教室に通い、経過も順調に思われるアリアンは、何かと干渉してくる息子をかわそうと近所の友人に恋人のふりをしてもらい一芝居打った。
母親のダフネよりもシッターのテレーズに懐いている子供達、娘は反抗期に差し掛かり、息子は母の日のお祝いの準備をテレーズとしていた。ダフネは子供達の事をテレーズから聞くばかりだった。しかし、テレーズはある日の帰り、倒れて入院してしまった。仕事を切り上げ二人を学校に迎えに行ったりと母親としての役目をしたが、テレーズを恋しがる二人に、テレーズは辞めたのではなく、具合が悪くて暫く来れないと説明し、自分もまた自分だけ関わっていない母親の元を訪ねた。
テレーズの病室を訪れた大統領。そこでは母テレーズと娘アンヌに戻り、子育ての悩みを話すアンヌをテレーズは励ました。
パリの家族たちの結末:母の日の決断
そしてやって来た母の日、コウノトリの着ぐるみを着て職場のカフェにやって来たココに、スタンはやっと彼女の妊娠に気づいた。その頃彼の母アリアンは、復帰したはずの舞台でセリフを忘れてしまった事にショックを受け、自分から病院に入ることを決めた。
ダフネはシッターの娘で友人でもある大統領に、生放送でインタビューをした。そこで大統領は国民に出産し母になった事の悩みと葛藤を素直に打ち明けた。退院したテレーズはそれを一家総出でテレビで見守っていた。
それからイザベル、ナタリー、ダフネは母ジャクリーヌと介護施設のレストラン食事をし、デザートを食べる頃、一人ずつ席を離れ、娘たちの記憶の薄れている母をそのまま施設に預けた。
その後、イザベルは無事養子を迎え、ダフネは子供達と歩み寄り、ナタリーは喧嘩別れしていた年下の恋人とよりを戻した。
以上、映画「パリの家族たち」のあらすじと結末でした。
パリの家族たちのレビュー・考察:フランスの家族観
学校の授業シーンで挙げられてるように、フランスの『家族』は複雑で様々な形をとっている。それはとても自由で、ともすると『進歩的』に見えるかもしれない。けれど、日本のようにいわゆる家制度のようなものが存在しない代わりに、事あるごとに親類を含む家族で集まる。どこまでを家族とみなすのか、どこからが他人なのか、明確な指標がないからこそ互いに確認し合う。その姿はどことなく不自由で保守的にも映るけれど、母の日にプレゼントやお祝いに悩む姿は、日本のそれと大差がなく万国共通なのかもしれないとホッとする。
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