ジェラシーの紹介:2013年フランス映画。妻子と別れ貧乏ながら同じ役者業の恋人と同棲を始めたルイ。しかし役を貰う事のできない恋人は次第に不満を募らせてゆく。あるカップルの心の移り変わりをモノクロの美しい映像で描く。
監督:フィリップ・ガレル 出演:ルイ・ガレル(ルイ)、アナ・ムグラリス(クローディア)、レベッカ・コンヴナン、オルガ・ミルシュタイン、エステール・ガレル、ほか
映画「ジェラシー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ジェラシー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ジェラシーの予告編 動画
映画「ジェラシー」解説
この解説記事には映画「ジェラシー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ジェラシーのネタバレあらすじ:起・新しい恋人との生活
ルイは引き留めるクロチルドと別れ、同じ役者をしているクローディアと同棲を始めた。娘は会社員をしているクロチルドが引き取り、ルイには面会を課さなかった。
同棲を始めた部屋は、アパートの屋根裏階で、天井も低く役者二人の貧乏暮らしが始まった。二人は、世話になっている老人にセネカの本を贈られた。
ルイは役者として順調に役を射止め、洗面所でセリフの練習をし、役のないクローディアはそれを聞いていた。ルイは同じ舞台で、エステル、リュシーと出会い、役者仲間と現場で意気投合していった。
ジェラシーのネタバレあらすじ:承・恋人は女優業休業中
オーディションに落ちたクローディアは夜のバーで一人飲みながら、バーテンと客の愚痴のやり取りを聞いていた。すると、男性客の一人が彼女を誘ってきたが、名前を呼ばないでと彼女は拒否した。
オーディションはうまくいかず、家では低い天井や棚に頭をぶつけるので、このボロ屋はもう嫌だと、クローディアは癇癪を起こし、ルイを困らせた。
ルイは娘をクローディアに会わせ、休日を公園で一緒に過ごした。家に帰った娘はクロチルドに、三人で順番にサンドイッチを食べた事や楽しかったことを話した。そして、最後に、ママはパパの事まだ好き?パパには恋人がいるのに、ママにはいない。と言った。
舞台の現場でエステルと少しいい雰囲気になったルイだったが、家に帰るとベッドで寝ているクローディアに寄り添うように眠った。
ジェラシーのネタバレあらすじ:転・部屋を出たいクローディア
公演が始まり、ルイを送ってはアパートで待つクローディア。終えて帰って来たルイは、浮気したら告白しあうか?と彼女に問うが、愛してくれたらそれでいいと答えが返ってきた。
ある日、楽屋に父と相思相愛だったという女性が現れ、帰っていった。ルイにとって、父親の存在は少し複雑なものだった。クローディアは友達サビーヌと、紹介されたアンリと観劇へ行った。そこで、自分は女優だけど仕事がないと言うと、アンリは興味があればといい、そのまま夕食へ行った。
帰宅した彼女は、建築事務所のパートの口を紹介されたとルイに話した。ルイが役者以外の仕事をするのを咎めようとすると、クローディアは、自分も稼ぎたい、もうここに住みたくない、貧乏でも貧相なのはいやだと嘆いた。
娘と二人で行った映画館で、隣に座った女性に電話番号を貰ったルイは、家に帰るとそれを捨てた。寝室には、クローディアから取り乱したことへの謝罪の手紙が置いてあった。
それから、クローディアと娘と三人で食事をしていると、パパが一番好きなのはパパのパパという話題になった。けれど、ジャン=ピエールは小さい頃に遠くへ行ったから印象が強いけれど、一番好きとは違うとルイは否定した。
クローディアとエステルにアンリを会わせると、エステルにはアンリが恋人のように見えた。一方ルイは、愛に限界がないと言う考えを諫められ、役者という職柄か、人間より役の方が理解しやすいのではと問われた。
ジェラシーの結末:クローディアの答えとルイのその後
ある日、クローディアに広い家へ連れて行かれたルイは、一緒に住みたいか聞かれた。それはクローディアが誘った男から贈られた家で、その男の家に同棲しろって言うのかと、ルイは激怒した。
そして、二人のそれまでのアパートで団員たちとパーティーをしていると、クローディアは荷づくりをし、別れましょうと言って出て行った。
ショックを受けたルイは拳銃を胸に当てて引いた。一命をとりとめた彼の元へエステルが見舞い、クローディアが来るかどうかはわからない、彼女も悩んでいるのだとエステルは言った。
舞台は代役を立てた。全快して娘と遊んでいると、リュシーと通りすがった。彼女は二か月の巡業の作品の役を射止め、生き生きとしていた。
公園でエステルと落ち合うと、娘はエステルに恋人のヴァンサンとの赤ちゃんが欲しいか尋ねた。貧乏だからと口ごもる彼女に、貧乏は関係ないでしょと娘は言うが、いろいろあるのよとエステルは言った。ルイはただそれを聞いていた。
以上、映画ジェラシーのあらすじと結末でした。
ジェラシーのレビュー・考察:象徴としての家
この作品の中には家が三つ出てくる。ルイが出て行った妻子の家、クローディアと過ごした家、クローディアがパトロンの男性にもらった家。最初の家は、いわゆる一般的な広さで社会的規範のお手本のような子育や家事と言った事柄が出てくる。一方クローディアと同棲した家は、天井が低く見るからに狭く、はじめはその狭さゆえに距離の近かった二人がだんだんと離れて行くのが顕著にわかる。そして最後の家、これは広いながらも未完成でそれは彼女がこれから築く未来のようにも、結局満たされることのなかったルイからの愛情への皮肉のように見える。
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