修道女の紹介:1966年フランス映画。百科全書派の中心人物として知られる18世紀フランスの哲学者、ドゥニ・ディドロの著した小説を原作とする。ヒロインのモデルとなる、意志に反して修道院に閉じ込められた実在の娘が存在する。ゴダール、トリュフォー、シャブロル、ロメールと共にヌーヴェル・ヴァーグの中心人物であるリヴェットがゴダール作品のミューズだったアンナ・カリーナを主演に迎えたこの作品は、一度は上映禁止処分を受けるが、ヌーヴェル・ヴァーグの仲間たちの支援で上映禁止が取り消される。
監督:ジャック・リヴェット 出演者:アンナ・カリーナ(シュザンヌ・シモナン)、フランシーヌ・ベルジュ(サン・クリスティーヌ)、リゼロッテ・プルファー(ド・シェル)、ミシュリーヌ・プレール(ド・モニ)その他
映画「修道女」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「修道女」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
修道女の予告編 動画
映画「修道女」解説
この解説記事には映画「修道女」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
修道女のネタバレあらすじ:起・修道女となる
1757年、パリ。小貴族の三女シュザンヌ(アンナ・カリーナ)は親族を前に、修道女となる請願の儀式を受けようとしていた。だが、神に貞潔、清貧、服従を誓うことを拒否して騒動を起こす。彼女が儀式に臨んだのは、修道女となることが自分の意思ではないことを主張し抗議するためだった。
しかし、母は、もう家にはお前の結婚持参金はないから修道女になれと彼女の説得をはかり、両親によって三か月間家の一室に彼女は監禁される。ついに聴罪司祭がシュザンヌに、彼女が母の不義の子であるという秘密を明かす。自分の立場を知ったシュザンヌは修道院に入ることを納得する。
供託金を払って入った修道院では修道院長のド・モニがシュザンヌに同情し、神への愛があれば他のことはついてきますと言って励ます。再び請願の儀式が行われた。だが、なぜか儀式の最中の記憶がシュザンヌに抜け落ちていた。
修道女のネタバレあらすじ:承・自由を求めて
シュザンヌが慕う院長が亡くなる。後任院長の若いサン・クリスティーヌは前院長が否定した苦行を復活させ、細かな規則を強制し聖書の所有すら許さない。彼女の美しい歌声は重宝されているものの、シュザンヌは反院長派のリーダーとみなされ「いじめ」を受けるようになる。新院長の元での生活に絶望したシュザンヌは修道女の地位を捨てることを願い、親しい修道女のつてを頼りに自分の手記を弁護士マヌリに届け、修道請願取り消しの訴訟を起こす。請願の儀式の記憶はまったくなく、請願は自由意志によるものではないからだ。
訴訟が起こされたことを知った院長は、醜聞になるのを嫌いシュザンヌに翻意させようとするが、シュザンヌが強く抗議すると、彼女に悪魔が憑いたと言いつのり、激しく虐待する。エベール神父による悪魔憑きの審問でも院長一派はシュザンヌを陥れようとするが、神父はシュザンヌが正常であること、非は院長による虐待にあることを見抜く。
神父は院長の解任が妥当であると大司教に言うが、院長の父が大司教の知人だったために院長の解任は避けられる。そして、修道請願取り消しの裁判でもシュザンヌが敗れる。だがマヌリ弁護士がシュザンヌのために供託金を集めたことによりシュザンヌは別の修道院に移ることになった。
修道女のネタバレあらすじ:転・修道院長のお気に入り
新しい修道院は規律についてやかましくなく、一見とても明るい。院長のド・シェルはシュザンヌをかわいがり、部屋には規律違反の鏡すら置いてくれた。しかし、院長以下修道院を、シュザンヌにとって未知の罪、同性愛の雰囲気が支配していた。
院長の自分への過剰な接近に不安を感じたシュザンヌは、告解の時に聴罪神父のルモワーヌ神父に相談する。神父は院長を悪魔と思って遠ざけよと指示する。指示にしたがったシュザンヌに拒まれながら、なおもシュザンヌに妄執する院長の姿は狂気を帯びていった。
修道女の結末:転落
おそらく院長の策略によって左遷されたルモワーヌ神父の後任のドン・モレル神父は、シュザンヌに自分も意志に反して僧侶になったと告白する。シュザンヌは彼に心を開くが、自分たちのような修道生活に向かない者には、院長同様に地獄が待っているのはないかと思われ、彼女は動揺する。
やがてモレルは修道院から脱走する計画をシュザンヌにもちかける。計画に乗って脱走したシュザンヌ。とうとう自由が得られたかと思ったが、逃亡先でモレルはシュザンヌを犯そうとする。逃げた彼女は道端で倒れているのを村人に発見され、農場の下働きをするようになる。だが、農場の女主人の話でモレル神父が逮捕されたことを知り、しかも女主人のような庶民が脱走した修道女に軽蔑しか抱いていないことを知る。
シュザンヌは街に逃れ物乞いをして暮らし、次いで高級娼館の女将に拾われる。化粧をして仮面をつけて宴会に出るが、宴会の最中、シュザンヌは神に赦しを願ってから窓から身を投げて命を断つのだった。
以上、映画「修道女」のあらすじと結末でした。
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