ガンヒルの決斗の紹介:1959年アメリカ映画。レス・クラッチフィールドの原作を『八十日間世界一周』のジェームズ・ポーが脚本、『OK牧場の決斗』のジョン・スタージェスが監督を努めて映画化した西部劇です。先住民の妻を殺された保安官が犯人の父で旧友だった大牧場主との対決に挑む姿を描きます。
監督:ジョン・スタージェス 出演者:カーク・ダグラス(マット・モーガン)、アンソニー・クイン(クレイグ・ベルデン)、キャロリン・ジョーンズ(リンダ)、アール・ホリマン(リック・ベルデン)、ブラッド・デクスター(ビーロ)、ブライアン・G・ハットン(リー・スミサーズ)、ジヴァ・ロダン(キャサリン・モーガン)、ラース・ヘンダーソン(ピーティ・モーガン)、タイ・ハーディン(ローファー)ほか
映画「ガンヒルの決斗」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ガンヒルの決斗」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ガンヒルの決斗の予告編 動画
映画「ガンヒルの決斗」解説
この解説記事には映画「ガンヒルの決斗」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ガンヒルの決斗のネタバレあらすじ:起
アメリカ・オクラホマ州の町ポーリー。平穏なこの町にテキサス州から二人の若者、リック・ベルデン(アール・ホリマン)と、リー・スミサーズ(ブライアン・G・ハットン)がやってきました。リックとリーは酒の勢いで先住民の女性キャサリン・モーガン(ジヴァ・ロダン)をからかおうとし、抵抗したキャサリンは息子ピーティ(ラース・ヘンダーソン)を逃がしましたが乱暴されて殺害されてしまいます。
ピーティから知らせを受けたキャサリンの夫で保安官のマット・モーガン(カーク・ダグラス)は、変わり果てたキャサリンの遺体を見つけ、リックが乗っていた馬の鞍の刻印からキャサリンを殺した犯人はガンヒルの大牧場主にして有力者のクレイグ・ベルデン(アンソニー・クイン)の手の者であると確信しました。しかし、クレイグはモーガンの旧友であり、モーガンはクレイグが卑怯な真似をする男ではないことを知っていました。
その頃、クレイグはリーから馬が盗まれたと報告を受けましたが、平和な町には馬泥棒などいないとして取り合おうとしません。しかし、馬の鞍がなくなっていることから、クレイグはキャサリンに顔を傷つけられて戻ってきたリックに鞍を取り戻すよう命じました。リックは、鞍は酒場で盗まれたと嘘をつき、キャサリンを殺したことについては語りませんでした。
ガンヒルの決斗のネタバレあらすじ:承
モーガンは10年以上も会っていないクレイグから事情を聞くべく、鞍を持ってガンヒル行きの汽車に乗りました。その道中、モーガンは鞍の持ち主を知っているというクレイグの愛人リンダ(キャロリン・ジョーンズ)と会い、リンダを迎えに来たクレイグの使用人ビーロ(ブラッド・デクスター)の手引きでクレイグと対面しました。
クレイグとの再会を喜び合ったモーガンは早速鞍について話を始め、リックの顔の傷や動揺したクレイグがリックらを庇う様子から、犯人はリックらだと確信しました。息子には手出しはさせないと言うクレイグに対し、モーガンは夜9時発の最終列車でリックらを連行すると告げて立ち去りました。
モーガンが去った後、クレイグはリックとリーから事情を聞き、キャサリンをただの先住民と呼んで侮辱したリーを牧場から追放しました。
モーガンはガンヒルの町でリックについて聞き込みを開始しましたが、人々はみな町を牛耳るクレイグを恐れて口をつぐみ、保安官ですらもモーガンに協力しようとしませんでした。ただ一人、クレイグがリックばかり寵愛することが気に入らなかったリンダだけが密かにモーガンに協力し、リックはクレイグの経営する酒場にいるかもしれないと伝えました。
ガンヒルの決斗のネタバレあらすじ:転
モーガンは酒場に忍び込み、リックの顔の傷を確認して逮捕しました。モーガンはリックの警護についたビーロらを威嚇しながら外に出ましたが、拘置所にリックを預けることを断られ、やむなく最終列車が入る6時間後までホテルの部屋で待つことにしました。
リックがモーガンに逮捕されたことを知ったクレイグは、部下にホテルを包囲させ、モーガンの部屋を襲撃させました。モーガンはリックを盾にして銃撃を止めさせました。
やがて列車の到着が後30分後に迫り、焦るクレイグは自らモーガンの説得に乗り出しました。しかし、モーガンはあくまでもリックを連行することを告げ、密かにクレイグが忍ばせていた手下に威嚇射撃しました。一方、リンダは酒場でリーから事件の真相を聞き出し、密かにショットガンを持ち出してモーガンに送り届けました。
ガンヒルの決斗の結末
いよいよ列車の汽笛が近づくなか、酒に酔ったリーがホテルに放火してきました。モーガンはリックに銃を突きつけながらホテルを出て、クレイグが手出しできないなか馬車に乗って駅に向かいました。
その時、リーがリックを助けようとしてモーガンに放った銃弾は誤ってリックを撃ち殺し、モーガンはリーを射殺しました。
リックの死を知ったクレイグは列車に乗ろうとしたモーガンを呼び止めて決闘を挑みました。モーガンはやむを得ず決闘に臨み、一瞬早くクレイグを撃ち抜きました。クレイグはモーガンに、息子を立派に育てるよう言い残して息を引き取りました。
モーガンはクレイグの遺体に駆け寄るリンダを見つめたのち、最終列車に乗ってガンヒルの町を後にしました。
以上、映画「ガンヒルの決斗」のあらすじと結末でした。
この映画「ガンヒルの決斗」は、「OK牧場の決斗」「ゴーストタウンの決斗」と共に、「荒野の七人」「大脱走」などのアクション映画の名匠ジョン・スタージェス監督の”決斗三部作”の一編だ。
三作品とも題名通りの凄まじい決斗がクライマックス・シーンに設定されており、それぞれ趣向の異なったガン・プレイを見せてくれ、西部劇ファンの私を嬉しがらせてくれる。
なかでも、特に印象的なのは、この「ガンヒルの決斗」で、カーク・ダグラスとアンソニー・クインという二大性格スターの激突が緊迫感を盛り上げていることだ。
保安官と牧場主となって、数年ぶりに再会した親友同士—-。
だが、運命のいたずらは、この二人を敵味方に分けて戦わせるのだ。
保安官は妻の復讐のため、牧場主は親友の妻を殺した我が子を守るため——。
保安官は、妻を殺した犯人を逮捕するため、汽車に乗ってガンヒルの町へと向かう。
運よく彼は町の酒場で犯人を捕らえたが、帰りの汽車が出るまで6時間待たねばならない。
やむなく保安官は、ホテルの一室に閉じこもって、息子を奪回しようとする牧場主一味とにらみ合いを続ける。
やがて、汽車の到着時間が近づいて来た。
保安官は、ショット・ガンを犯人の喉に突き付け、引き金に指をかけたまま、ホテルから出て来る。
拳銃などと違ってシヨット・ガンは一発で頭が木っ端みじんに吹き飛んでしまうほどの威力を持っているから、さすがの牧場主も手が出せない。
この場面からラストにかけてが、この映画のクライマックスで、口を一文字に結んでほとんど無表情に近いカーク・ダグラスと、息子の身を案じながら追い迫るアンソニー・クインの悲痛な表情が、異様な迫力を漲らせる。
そして、最大の見せ場は、保安官と牧場主がプラットホームで対決する、ラストシーンだ。
じっと二人はにらみ合う。ほとんど同時に二人の銃口が火を吐いた。
いったい、どっちが勝って、どっちが負けたんだろうと、固唾をのんで見守っていると、やがて牧場主がヨロヨロと崩れるように倒れていく——。
このプラットホームで汽車の発射前の決斗というのは、ちょっと風変わりな趣向であり、善玉と悪玉の対決ではなくて、親友同士の撃ち合いなのだから、いっそう悲壮感が漂うのだ。
硝煙が消えて、勝敗は決した。保安官は駆け寄ると、ホームに横たわる親友の体を抱きかかえた。
微かに目を開けた牧場主が、苦しい息の下から保安官に向かって、「お前の息子は立派な人間に育ててくれよ」と言い残してガックリと息絶えるところは、アンソニー・クインの演技の見せどころだ。
さしずめ、これが舞台なら”いよう!”と大向こうから声が掛かる場面だろう。