忘れじの面影の紹介:1948年アメリカ映画。知らない女からピアニストに届いた手紙の目的は復讐?それとも救済?――シュテファン・ツヴァイクの中編小説を映画化したメロドラマ。ドイツ生まれながら亡命を通じてフランス、イタリア、アメリカ映画でも足跡を残したマックス・オフュルス監督のアメリカ時代を代表する作品。主演は『レベッカ』、『断崖』等のジョーン・フォンテイン。
監督:マックス・オフュルス 出演:ジョーン・フォンテイン(リーザ・ベルンドル)、ルイ・ジュールダン(シュテファン・ブラント)、マルセル・ジュルネ(ヨハン・シュタウファー)、アート・スミス(ジョン)その他
映画「忘れじの面影」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「忘れじの面影」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「忘れじの面影」解説
この解説記事には映画「忘れじの面影」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
忘れじの面影のネタバレあらすじ:起・見知らぬ女からの手紙
1900年頃のウィーン。雨の夜、かつて天才ピアニストとしてもてはやされたシュテファン・ブラントがアパートに帰る。その日、翌朝に決闘をする約束をした。だがシュテファンは逃亡するつもりである。
唖者の執事ジョンから手紙を渡される。「この手紙が届くころきっと私は死んでいます」という文面にシュテファンは驚く。差出人はリーザという見知らぬ女だった。
リーザは少女だった自分が意識的な人生を生き始めた日を忘れない。その日、ウィーンで母親と二人で暮らす彼女のアパートに、新しい隣人が越してくる。それは音楽家で、唖者の執事が引っ越し業者に指示を出していた。
それ以来、リーザは音楽家の練習するピアノの音に耳を傾けるようになる。そんなある日、らせん階段を下りてきた音楽家のために外へ出るドアを開けてあげる。リーザがシュテファンと初めて会った日だった。
彼女は恋に落ち、シュテファンにふさわしい洗練された娘になろうと努力を始める。だが、母の再婚によりリンツに引っ越さなければならなくなる。でも、一目シュテファンに会うために駅から親の目を盗んで逃げだしてアパートに戻る。
らせん階段の上でシュテファンの帰りを待ったリーザが見たのは、夜遅く女を連れて部屋に入るシュテファンだった。
忘れじの面影のネタバレあらすじ:承・シュテファンとの一夜
18歳の時、リーザは親に紹介された若い軍人とお付き合いするが、ウィーンの音楽家と婚約していると嘘をついてしまう。
リーザはウィーンに出て、シュピッツァー夫人の婦人服店で、客のために見本のドレスを着てみせるモデルになる。仕事が終わるとかつて住んだアパートの近くに行って、今や有名ピアニストであるシュテファンの部屋を眺めるのが日課だった。
道に雪の積もっている冬の晩、とうとうシュテファンが街角に立つリーザに目を留める。シュテファンは自分の音楽に深い理解を示す不思議な女に魅せられる。そしてらせん階段を上って、今夜はリーザが彼の部屋に招き入れられた。
翌日、シュテファンはリーザの働く店をつきとめて彼女に会いに来た。その晩、シュテファンは公演のためにミラノに向かわなければならない。駅まで見送りに来てほしいと言う。リーザは仕事を早退して駅に行く。シュテファンの見送りに来ている他の人たちを見て臆するリーザの前に、シュテファンが歩み寄って別れを告げる。「二週間後」に会おうと言って。
忘れじの面影のネタバレあらすじ:転・再会
シュテファンがリーザの元に戻ってくることはなかった。リーザに男の子が生まれ、シュテファンと名付けられる。
9年後、リーザはヨハン・シュタウファーという裕福な男と結婚していた。その晩、リーザは息子にシュタウファーのことを「お父さん」と呼ぶように諭してから、夫婦でオペラ鑑賞に出かける。だが、その劇場にシュテファンも来ていた。
上演中にシュテファンの視線を感じたリーザは早退することにして階段を降りるが、シュテファンに呼び止められる。「以前どこかで会ったことがあるはずだ、君は誰だ」と問い詰められる。そして今や才能を浪費した彼がピアノを弾くことすらしなくなったことをリーザは知る。
二人の会話を夫は馬車の中で聞いていた。帰り道で夫は、妻に賢明な行動をとるように求めるが、リーザは今こそシュテファンが自分を必要としていると感じていた。
忘れじの面影の結末:絶望
翌日、リーザは息子を列車の個室に乗せて「二週間後」に会うと約束して旅行に行かせる。その列車でチフス患者が出たという騒ぎにリーザは気づかなかった。
リーザはシュテファンの部屋へ上っていく。それを夫のヨハンは馬車から観察していた。執事のジョンがリーザをシュテファンに取り次ぐ。しかし、彼はやはり昔の彼女を思い出さない。昨日の真剣さはなく、リーザを快楽の相手としか見ていないことがわかる。彼女は別れも告げずにシュテファンの元を去った。
リーザが会いに行った息子はチフスで死んだ。リーザにもチフスが感染した。手紙はリーザが死んだのち病院から送られてきたのであった。彼女を覚えていたかとシュテファンに問われたジョンは、かつて隣人だった少女「リーザ・ベルンドル」の名を紙片に書いた。
シュテファンは待たせてあった馬車に乗ってリーザの夫ヨハンを相手とする決闘へ向かうが、門を出るときに振り向き、少女リーザが彼を見送るのを想像して微笑むのだった。
以上、映画「忘れじの面影」のあらすじと結末でした。
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