慕情の紹介:1955年アメリカ映画。第二次国共内戦の余波を受けているイギリス領香港で出会った混血の医師とアメリカ人記者。ベルギー人と中国人の血を引くハン・スーインの自伝的小説を原作とする、サミー・フェイン作曲による主題歌、シネマスコープにより撮影された香港の天然色の風景と共に忘れがたいメロドラマ。第28回アカデミー賞3部門受賞(劇映画・喜劇映画作曲賞、歌曲賞、カラー衣装デザイン賞)。
監督:ヘンリー・キング 出演者:ジェニファー・ジョーンズ(ハン・スーイン)、ウィリアム・ホールデン(マーク・エリオット)、トリン・サッチャー(ハンフリー・パーマー=ジョーンズ)、イソベル・エルソム(アデリーン・パーマー=ジョーンズ)、マーレイ・マシソン(ジョン・キース)、ソー・ヨン(ノラ・ハン)、フィリップ・アーン (重慶のおじ)、ほか
映画「慕情(1955年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「慕情(1955年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
慕情の予告編 動画
映画「慕情(1955年)」解説
この解説記事には映画「慕情(1955年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
慕情のネタバレあらすじ:女医と記者
1949年、イギリス領香港。内戦で中国から続々と難民が押し寄せていた。女医のハン・スーインは中国人の父とイギリス人の母をもつが、気持ちは中国人だった。いつか中国で働きたいと思っている。国民党政府の将軍の妻だったが、夫は共産軍との戦いで戦死していた。
病院は人手不足で仕事は厳しいが気分転換も必要ということで、ジョン・キース医師に誘われて病院理事長の家のカクテルパーティーに出かける。理事長夫人アデリーンの中国人へのステレオタイプに悩まされるが、アメリカ人記者マーク・エリオットと知り合う。
マークはスーインが非番の水曜日に食事の約束を取り付ける。マークが既婚者なのは聞いていたが、スーインは彼と祭りの騒音を聞きながら楽しい時間を過ごす。
慕情のネタバレあらすじ:眠れるトラを起こす
仕事先のシンガポールから戻ったマークが病院にスーインを訪ね、泳ぎに行こうと誘う。マークはシンガポールにいる妻には6年も会っていないという。
浜辺でマークは、努力したが妻とはうまくいかなかったことをスーインに話す。スーインは香港では彼女のような混血を悪く思う人がいるからと言って、自分に深入りしないようにマークに釘を刺そうとする。二人は湾の対岸まで泳ぎスーインの友人ノラとその夫の家を訪れ、小舟で戻る。
スーインへの愛を語るマークに、スーインは眠れるトラを起こすなという中国のことわざを話すものの、彼女自身もマークに魅かれていく。翌日は香港を一望できる病院の裏の丘で会い、草の上で二人はくちづけをする。
慕情のネタバレあらすじ:重慶でのできごと
スーインは至急の用事で重慶に旅立つ。スーインの妹スーチェンが共産軍を恐れて外国に逃げられるように外国人の家に住んでいることを、重慶で久しぶりに再会した親戚たちは恥じていた。
スーインは妹を訪れ、彼女のためにパスポートを取ると約束しておじの家に帰らせる。おじの家にはマークがやってきてスーインに求婚する。スーインはそれを受け入れる。
おじは結婚を許可したが、マークとスーインの未来は中国にはないと知る親類たちは形見の品をスーインに渡す。
慕情のネタバレあらすじ:マカオの占い
マークは再びシンガポールに行ったが妻は離婚を承諾しなかった。しかし一時もスーインと離れていたくないマークのために、スーインは休暇を取り、マークが仕事で滞在するマカオに行く。
二人で訪れた中国人占い師は87年間続く幸せを占ってくれた。だが朝鮮半島で戦争が勃発した。二人は直ちに香港に帰る。出勤したスーインは病院の職を失うことを知る。マークとの交際が理事長夫人に嫌われたのだ。
従軍記者になるマークは、病院の裏の丘でスーインと待ち合わせる。記者が死ぬこともあるのかと心配するスーイン。プレゼントをしたことがないのを悔やむマーク。すばらしい占いを信じてあわただしく別れる。
慕情の結末:戦場からの手紙
病院内の居室から去ることになったスーインに中国人同僚医師は、中国で働こうと勧める。同僚は新しい中国に希望をもつが、押し寄せる難民を見ているスーインは共産党を信じることができなかった。
そんな難民の一人で親と離れ離れになり事故で病院に送られていた女の子を引き取ったスーインはノラの家に仮住まいする。再就職先はなかなか見つからないがマークから手紙が次々と届く。離れてむしろ彼の近くにいるように気がしていた。
だが、新聞がマークの死を報じた。記事を見せられて最初は嘘だと叫んだスーインだが、その日届いていたマークの手紙を読んで気持ちを落ち着ける。
二人の思い出の場所である病院の裏の丘へスーインは行く。マークが手紙に書いたことばが思い出される。そして二人が共有した多くの光輝くことが。
以上、映画「慕情」のあらすじと結末でした。
「慕情(1955年)」感想・レビュー
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この映画「慕情」は、かつてハリウッドの大スターだったウィリアム・ホールデンの代表作の1本だ。
浜辺の二人が、2本の煙草に同時に火をつける、名ラブシーンをはじめ、アメリカ映画らしい、徹底したロマンの味わいを堪能できる。
ファースト・シーンで、画面いっぱいに広がる香港の街や、当時まだ残っていた古い中国の風俗の、どこかのんびりとしたユーモラスな風情。
そして、ヒロインのジェニファー・ジョーンズの美しくスリムなチャイナ・ドレス姿。
そうしたエキゾチックな香りが、この愛の物語にひとしおの趣を添えていると思う。
悲しかった