ミナリの紹介:2020年アメリカ映画。アメリカ合衆国南部のアーカンソー州にやって来た韓国系移民家族。農業で成功することを夢見ている父親ジェコブに振り回される一家に、次々と困難が降りかかる。タイトルのミナリとは韓国語で香味野菜のセリ。たくましい地に根を張り、2度目の旬が最もおいしいと言われていることから、子供のために親が懸命に生きるという意味が込められている。不条理な運命に襲われても力強く立ち上がる家族の姿を描く。2021年の第93回アカデミー賞では、スンジャ役のユン・ヨジョンが助演女優賞を受賞した。
監督:リー・アイザック・チョン 出演:スティーヴン・ユァン(ジェイコブ)、ハン・イェリ(モニカ)、アラン・キム(デビッド)、ネイル・ケイト・チョー(アン)、ユン・ヨジュン(スンジャ)、ウィル・パットン(ポール)、ほか
映画「ミナリ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ミナリ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ミナリの予告編 動画
映画「ミナリ」解説
この解説記事には映画「ミナリ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ミナリのネタバレあらすじ:起
アメリカ、アーカンソー州南部の高原にやって来た、韓国人移民の4人家族。
長い距離を移動し、何もない土地に廃屋のように捨てられた車輪付きの平屋を、夫のジェイコブは「これが新しい家だよ!」と家族に見せました。ご機嫌なジェイコブとは反対に妻モニカは「約束が違う」と憮然とします。ジェイコブは、「土がいいこの土地で大きな農園を作る!」と家族に胸を張りました。
翌日、ジェイコブとモニカは孵卵場へと出勤しました。
ジェイコブはカリフォルニアでヒヨコ鑑別の職人を10年続けてうんざりし、農業で成功することを夢見ていました。
しかしここは都心からはるか離れた田舎町。心臓の持病を抱えている7歳の息子デビッドの病院から1時間以上もかかり、不満が頂点に達したモニカと、毎日のよう夫婦喧嘩になりました。
そんな両親を悲しい目で娘アンと息子のデビッドは見つめるのでした。
ミナリのネタバレあらすじ:承
夫婦はモニカの母スンジャを韓国から呼び寄せて、子供たちの世話をしてもらうことで、夫婦の平和を取り戻すことにしました。
ジェイコブには計画がありました。
3年間はヒヨコ鑑別と兼業して韓国野菜の栽培をし、いずれ農業一本にするということ。年間で3万人の韓国人がアメリカに移住していることを知って成功を確信していましたが、購入した土地は誰も買いたがらないいわくつきの土地でした。
そんな家族のもとへ韓国からスンジャがやってきました。初めて会うデビッドは“クッキーを焼いてくれるやさしいおばあちゃん”を期待していましたが想像と全く違うことにがっかり。スンジャは騒がしく毒舌で、料理は全くできず、唯一の特技は花札という一風変わったおばあちゃんでした。
一方、ジェイコブは地元の変わり者ポールに手伝ってもらいながら、ナスやパプリカ、トウガラシなどを順調に育てていきました。
地下水が涸れて土が乾いてしまい、農作物がだめになってしまうハプニングがあった際には、資金繰りに頭を抱えるモニカに「俺が責任を取る。ここで失敗したら出て行ってもかまわない」とジェイコブは決意を語りました。しかし、モニカは成功することよりも家族が一緒にいることが一番の幸せだと信じ納得できずにいました。
ミナリのネタバレあらすじ:転
これまでにスンジャを疎ましく思っていたデビッドでしたが、彼のいたずらをきっかけに2人の間に絆が生まれていきました。
両親から禁止されている川のほとりに2人で出かけては、スンジャが韓国から持ってきたミナリ(セリ)の種が育っていく様子を見に行きました。
そんなある日、デビッドは「デビッドの心臓が止まるかもしれない」という両親の会話を立ち聞きしてしいます。不安から眠れなくなり、スンジャに「死にたくない」と怯えます。そんなデビッドをスンジャは優しく抱き寄せ「絶対に死なせない」と励ましてくれました。
ところがその翌朝、デビッドが目を覚ますと、一緒に寝ていたスンジャは失禁して目がうつろのままぼんやりとしていました。すぐモニカが病院に連れていくと、スンジャは脳卒中を起こしていました。歩行がやや困難になり手に麻痺は残りましたが、大事には至らずスンジャはすぐに退院することができました。
翌日、デビッドの診察のため家族は街の病院へ行きました。デビッドの心臓は奇跡的にも回復を見せていました。
そのさらにあと、韓国の食材を扱う店での商談をまとめて、ようやく家族に希望が見えたと喜ぶジェイコブ。
ところが、モニカは違いました。「私は家を出る」と。モニカは家族を考えない夫と、苦しい生活にすっかり疲弊し我慢の限界に達していたのでした。
ミナリの結末
日は暮れ、あたりは暗くなっていました。
間もなく家に着こうとしているときに、モニカは何かが燃えているような匂いに気が付きます。なんと農作物が保管してある小屋が炎に包まれていたのです。
ひとり留守番をしていたスンジャが、ごみを燃やしているときに誤って火事を起こしてしまったのです。
燃え盛る炎の中、ジェイコブは少しでも使える農作物を救い出そうと突入していきます。そんなジェイコブのあとを追うようにモニカも続きます。
しかし炎の勢いが2人を襲い、命からがら逃げるのが精いっぱいでした。農作物は全て灰と化し、自責の念に駆られたスンジャをアンとでデビッドは「一緒に帰ろう」と慰めるのでした。
しかし、家族は再起にむけて立ち上がっていました。
いちから農場をやり直すために、地下水がわく場所を見つけることから始めました。そこにはこれまでに夫の農業に賛成していなかったモニカの姿もありました。
そして、デビッドに誘われて川のほとりに向かったジェイコブが見たのは、青々と生い茂るミナリ。
力強く根を張り生きるミナリの姿に、自分たちの姿を重ねるジェイコブでした。
以上、映画「ミナリ」のあらすじと結末でした。
この映画は、韓国ドラマの頑張れクムスンに出ていたお婆さん役のこの女優さんが好きで、見ようとしたのがきっかけ。
全く、先入観なしてで見たので、はじめはミナリって、人の名前かと思っていた。(笑)
ミナリがセリの事とは!
お婆さんが見つけたセリを植えるのにふさわしい場所が、あの小川のほとりで、後に父親の言葉が胸を打つ。
クムスンの時も、自然体なお婆さんで、包み込むような優しさ、しっかりとした考えを持つ態度に、好感を持てたし、なんか癒やされるお婆さん。
軽い脳溢血で身体が麻痺した演技、痴呆っぽい演技が実際になったようで、怖いくらいな演技だった。やっぱりこの女優さんは、凄い演技派。
子供がはじめは嫌っていたけど、段々お婆さんの良さが分かり、ほっとした。2人の子供達も、本当に演技が自然で上手い。
お婆さんが暗い中で留守番しながら、ゴミを燃やしていた時、嫌な予感がしてドキドキ。
火が燃え上がっで納屋が燃え始めた時、そのアクシデントにピッタリな音楽が流れたら、悲しみや自分が失ったかのように、苦労がどっと押し寄せた感じで、涙が込み上げて来た。
また、農業を1からやり直そうとする父親と母親の姿、そして、不幸な火災から家族の絆を強めたファミリーに、心から応援したいと思えた映画だった。