行き止まりの世界に生まれての紹介:2018年アメリカ映画。「アメリカでもっとも惨めな町」と言われるイリノイ州ロックフォード。ここに暮らすキアー、ザック、ビンは幼いころから困窮した生活を送り、暴力的な家庭で育った。3人はそんな日常から逃れるようにスケートボードにのめり込んでいた。スケート仲間は彼らの唯一の居場所であり、家族だった。しかしいつも一緒だった仲間も、大人になるにつれ少しずつ道が分かれていく。ビンが撮りためたスケートビデオと共に描かれる12年間の奇跡のドキュメンタリー。全米ではアカデミー賞、エミー賞のダブルノミネートを果たし、世界中の国々でも賞を獲得した。
監督: ビン・リュー 出演:キアー・ジョンソン、ザック・マリガン、ビン・リュー、ニナ・ボーグレン、ケント・アバナシー、モンユエ・ボーエン、ほか
映画「行き止まりの世界に生まれて」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「行き止まりの世界に生まれて」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
行き止まりの世界に生まれての予告編 動画
映画「行き止まりの世界に生まれて」解説
この解説記事には映画「行き止まりの世界に生まれて」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
行き止まりの世界に生まれてのネタバレあらすじ:起
「ラストベルト」と呼ばれる、錆びついた工業地帯に位置するイリノイ州ロックフォード。キアーとザックそしてビンは、この小さな街でスケートボードを通じて出会いました。この物語はビンが撮った12年間に渡る、彼らの記録です。
キアー
家族とそりが合わない彼は、家ではほとんどの時間を一人で過ごしています。幼い頃を振り返り言いました。「スケボー仲間が家族だった」と。ザックとの出会いは、通りがかりの人に胸を殴られたときに、ザックがその人に向かって「ぶっ殺すぞ!」と即座に叫んだことがきっかけでした。一瞬でザックは憧れの存在となりました。
ザック
口うるさい親から逃れるように家出を繰り返していたザックでしたが、16歳になるとついに帰らなくなったと言います。恋人のニナがスマホでお腹の中の赤ちゃんの写真を見せると、「信じられない!」と感動の声を上げました。親として子供にできる限りのチャンスを与えるために卒業認定試験を受けましたが、質問すら理解することができませんでした。
行き止まりの世界に生まれてのネタバレあらすじ:承
ザックとニナは無事に出産することができ、名前をエリオットと名付けました。しかし、子育ての役割分担で常に揉めています。話し合いはいつも平行線。ニナはエリオットを連れて叔母夫婦の家へと出ていってしまいました。その頃、ザックは友達とスケートパークの設営を始めました。
キアーは初めての仕事に就きました。皿洗いではありましたが、職を手に入れた嬉しさは隠せません。キアーは両親が別居した後に引き取られた父親について語り出します。「父さんは頭ごなしに従わせようとする。だから殴ろうとした。次の日に家を出たよ」と。父親に最後に言った言葉は「大嫌い!」でした。
ザックとニナの息子エリオットが1歳の誕生日を迎えました。ザックからのプレゼントは小さなスケートボードでした。2歳で母親が出ていき、心が満たされないまま大人になったザック。両親のケンカが絶えず愛情に飢えていると語るニナ。2人は顔を合わせれば言い合いの毎日でしたが、同じ傷を抱えた者同士でもあったのです。
行き止まりの世界に生まれてのネタバレあらすじ:転
これまで撮影をする一方だったビンでしたが、今度は疎遠だった母親にインタビューを行う決意をします。ビンが幼少の頃にこの街に移り住み、間もなく母親は再婚しました。新しい父親はビンに暴力をふるう男でした。「母さんは彼の暴力をどこまで知っていたの?」と刺すような目で問うビンに、母親は「できるものなら今からやり直したい」と答えるのが精いっぱいでした。
キアーは皿洗いからウェイターに昇格していました。車も買い、家の家計も支えていました。しかし最近はザックに会っていないとのこと。そんなザックに対して「どれが本当のザックか分からない。大切な仲間なのに、何も分かっていないことがもどかしい」とキアーは打ち明けます。
その頃、ザックはコロラド州デンバーで新しい恋人サムと暮らしていました。ザックの夢だったスケートパークはつぶれてしまいまいた。仲間が資金を持ち逃げしたからです。ロックフォードの自宅には立ち退き勧告が貼られていました。しかし、ザックはしばらくすると、そのデンバーからも戻ってきました。デンバーに住む多くの人々が恵まれた生活をしていたため、堪えられなかったのでした。
行き止まりの世界に生まれての結末
ビンはキアーに告げました。「この映画を撮っている理由は、継父から暴力を振るわれていた自分をお前と重ねていた」と。キアーはその言葉に驚きましたが、「それならよかった」と笑顔を見せました。
ザックも自分と向き合おうとしていました。「息子には自分のようになってほしくない」と言葉を詰まらせながら訴えました。人生が苦しいのは自分が最低な人間だからだと、初めて涙を見せます。
キアーは葬式以来、初めて父親のお墓を訪ねました。やっとの思いで見つけた墓石を前に、これまで抑えてきた感情が一気にあふれ、キアーはその場にうずくまり泣いていました。
現在、ニナは高校のスクールカウンセラーを目指して勉強中。ザックは真面目に働き、屋根職人の責任者にまでなりました。キアーは街を出てデンバーで就職。スケートボードのスポンサーが2社付きました。ビンの母親は再婚。教会には母親をエスコートするビンの姿がありました。
以上、映画「行き止まりの世界に生まれて」のあらすじと結末でした。
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